散歩の千三十二話 みんな徐々に強くなってきています
年末も段々と近づき、年末の奉仕活動ももう間もなくになります。
少ない時間でもやることをしないといけないので、今日もシロとアオはうちの馬に乗って町の巡回に出ています。
若馬も、訓練をかねて一緒についていきます。
いつの間にか芦毛の毛並みからアシちゃんって呼ばれるようになっていて、若馬自身も特に気にしていませんでした。
なんだか、若馬もうちのペースに染まってきましたね。
因みに、若馬は雷魔法に適性があることが判明しました。
そのうち、ライトニングホースの異名を名乗りそうな気がします。
「戦力が充実する分には、こちらとしてはなにも問題ない。その力も、十分に制御できている」
王太子様に報告しても、特に問題ないと言っていました。
関係者の馬もパワーアップしているけど、主人を守るという使命が元なので大丈夫だという判断です。
「それに、力が増している貴族は王家に親しい者たちだ。必然的に王家の力が増していると捉えてもいいだろう」
「各辺境伯家の力も増していますし、確かにそう捉えることができますね」
「軍も実力を増してきている。少なくとも、今年の年末奉仕活動は昨年のようにはならないだろう」
王太子様は、軍の不穏分子を排除した効果を期待していました。
既得権益にしがみついて利益を得ようとするものは退場し、指揮系統の整理も進んでいます。
兵の訓練も効率的になり、力も上がっています。
「後は、聖教皇選挙の結果を経て教会が安定するのを祈るばかりだ。そうしないと、シュンとスーの結婚式もできないな」
王太子様、真顔でとんでもない事をぶっ込んでこないで下さい。
危うく、飲みかけた紅茶を吹き出しそうになりました。
とはいえ、スーと結婚するにしても再来年以降ですよ。
執務室の職員も、そうですねと深く頷いていました。
「何にせよ、無事に聖教皇国から帰ってきてから考えましょう。それまでは、とにかく目の前のことに集中します」
「如何にも真面目なシュンらしいな。では、私も目の前に山積している課題に取り組むとするか」
王太子様も、ちょっとだけ笑っていますね。
こうして午前中の業務は無事に終了しました。
そして、昼食時にちびっ子たちがスーに「何で結婚していないの?」って聞かれて顔を真っ赤にしていました。
あと二年しないと駄目なんだよって教えても、ちびっ子たちはまだ理解出来ていませんでした。
こればかりは、しょうがないのかもしれませんね。




