千二十九話 プレ年末奉仕作業の日です
プレ年末奉仕作業の日になり、僕たちは朝から準備を整えて大教会に向かいました。
因みに、若馬も勉強を兼ねて同行することになっています。
「シュンお兄ちゃん、今日は何を作るの?」
「今日は、この間と同じくスープとおにぎりだよ。まだパン工房の釜が完全復旧していないんだよ」
大教会前で、シロたちと今日のメニューを確認します。
本番の年末の奉仕作業にはパン工房の釜も直る予定なので、パンとおにぎりを並行して配る予定です。
スープも豪華にする予定だけど、今日はいつもの奉仕作業で作るスープです。
「「「おはよー!」」」
「「「おはよー!」」」
ジェフちゃんたちも大教会に到着し、ちびっ子たちと元気よく挨拶をしていました。
そんな中、ジェフちゃんたちが僕の背中に注目していました。
「うー」
「「「あれ? ブレアちゃんだ」」」
実は、おんぶ紐でブレアちゃんをおんぶしていました。
ブレアちゃんは温かい格好をしているので寒くないし、背負っているのが僕なので問題ありません。
「あのね、ガイちゃんが風邪ひいちゃったんだ。治療したけどベリルさんがガイちゃんの面倒を見ているから、代わりに僕がブレアちゃんの面倒を見ているんだよ」
「「「そーなんだ!」」」
ジェフちゃんたちは、直ぐに僕の説明に納得してくれました。
ブレアちゃんは、ベリルさんと一緒にいられなくて機嫌が悪いのもあります。
「うむ、既にシュンは子守のプロじゃのう」
「全くですな。かなり手慣れている様子ですな」
王妃様、教皇猊下、お願いですからからかうのは程々にして下さい。
そして、今日はブレアちゃんの面倒をみないといけないので、僕も時々料理から離脱することになります。
「シュンが仕込みから離脱することくらい、計算に入れなければならぬ。良いシュミレーションになるぞ」
「その通りだ。おにぎりくらい、シスターでもできる。シュンに頼り切りになる方が問題だ」
ありがたいことに、王妃様と教皇猊下に限らず、シスターさんや奉仕作業に参加している貴族令嬢も頑張ると張り切ってくれた。
炊き出しの仕込みにはシャーリーさんもいるし、僕も心配はしていません。
でも、事前準備はしておきましょう。
シュイーン、ストトトトトン。
「キャッキャ!」
僕が身体能力強化魔法を使って高速で野菜を切ると、ブレアちゃんが面白そうに笑っていました。
こんなことで笑ってくれて、僕もホッと一安心です。
「シャーリーさん、ブレアちゃんのおむつを替えてきます」
「シュン様、こちらは気にせずにして下さい」
現場をシャーリーさんに任せ、僕は治療班の後ろでブレアちゃんのおむつを交換します。
衛生の為に、おむつ交換が終わったら生活魔法で僕とブレアちゃんの体を綺麗にします。
「だー」
すると、ブレアちゃんは僕に抱っこをせがんできました。
他のシスターさんも仕込みを頑張ってくれているし、僕は少しの間ブレアちゃんを抱っこしながらあやしていました。




