散歩の千二十五話 馬車工房で会った若馬
毎朝みんなのステータスアップを頑張りつつ、普段の業務や勉強も頑張ります。
シャーリーさんたちも、徐々に実力を増しています。
この分なら、年明けくらいには良い成果が出せそうです。
個人的には、シャーリーさんたちの馬が魔法障壁を発動し始めたのが気になります。
うちの馬もアオも張り切っているけど、お願いだからシャーリーさんたちの馬をUMAにするのは止めてね。
そんな中、うちの馬車の定期点検の時期がやってきました。
相談事があるので、僕たちも一緒に行くことにしました。
「なるほど。同行人数が増えたから、どうやって輸送するのかだな」
馬車工房の技師に相談すると、何となく予想できる話だったのか直ぐに色々と考えてくれた。
そんな中、一つの案を提案してくれた。
「一番簡単なのは、新たに馬と馬車を購入することだ。あんちゃんたちなら楽勝だろう。もう一案は、もう一台の幌馬車を連結する案だ。だが、元の繋げた馬車に負荷がかかるからあまりお勧めしないぞ」
聖教皇国への長距離移動なので、馬車の負荷は出来るだけ避けたいです。
うちは馬をもう一頭飼うスペースは余裕だけど、うちの馬は西の辺境伯領産の頑丈な馬なんだよな。
すると、技師がある事を提案してくれました。
「実はな、西の辺境伯領産の若馬が一頭いる。元の雇い主が虐待していて、大怪我を負っているのだよ。あんちゃんたちなら治療ができるはずだ。うちにいても、どうしようもないんだよ」
「「「直ぐに治療する!」」」
「「ブルル」」
あっ、技師の話を聞いたシロたちとうちの馬が、直ぐに馬車工房の裏手に行きました。
程なくして治療の光が辺りを照らしたけど、だいぶ強力な回復魔法を使っているぞ。
小さな回復魔法の光もあったけど、これはついでに他の馬を治療した光ですね。
程なくして、みんなが一頭の若馬を連れてきました。
芦毛の馬で、うちの馬よりも一回り小さいですね。
みんなと寄り添って歩いている姿を見ると、治療の成果もあってか特に馬に怪我は見当たりません。
「あのね、お馬さんの体中に鞭の痕があったんだよ。脚も痛めていたんだ」
シロの話を聞くと、前の雇い主にかなり雑に扱われていたみたいだ。
「何も悪いことをしていないのに、腹いせに蹴られたりしたんだって。ぷんぷんだよ!」
「まあ、それは酷いです。そんな扱いを受けていたなんて……」
商人などは、扱う動物への虐待を禁じています。
しかし、その商人は平気で動物への虐待をしていたんだ。
スーだけでなく、他の人たちもゴゴゴって怒りの炎が燃え上がっていました。




