散歩の千十四話 まだ赤ん坊に泣かれる西の辺境伯様
続いてやってきたのは、北の辺境伯様です。
「今年は、残念ながらフィーナはついてきていないんだよ。孫の面倒を見ると張り切っていてな」
そういう北の辺境伯様も、ニコニコしていますね。
アーサーちゃんは、ちょうど元気よく走り出してお喋りも始めた頃ですね。
フィーナさんにとっても、弟分が可愛らしくて仕方ないはずです。
そして、ある意味心配なのが西の辺境伯様でした。
「はあ……」
「あ、あの。どうしたのですか?」
「北の辺境伯が羨ましい……息子と弟になる子どもを抱こうとすると、いつもギャン泣きされるのだよ……」
エミリアさんとの子どもと先代様の子どもがいるけど、本当に残念なことになっているんだ。
ケントちゃんとトリアさんは、赤ちゃんの事をかなり可愛がっているそうです。
お兄ちゃんになると、張り切っているケントちゃんの姿が目に浮かびますね。
そして、今年はトリアさんも赤ちゃんの世話で不在だそうです。
そして西の辺境伯様とは、来年の件でも話をしないといけません。
「聖教皇国に行く際には、我が家からも護衛を出そう。胡散臭い生臭坊主の件は、俺も話を聞いているからな」
どうやら、ゲス枢機卿の件は他でも話が広まっているそうです。
何にせよ、護衛が増えるのはとてもありがたいですね。
こんな感じで、各地の辺境伯様と再会をしました。
辺境伯会議はまた行われるけど、これまた僕も参加することになっています。
各地からどんな話が聞けるか、ある意味楽しみですね。
「会議には、私も出席する方向です。西の辺境伯様には、色々とお願いをすることになりそうですね」
昼食時に会ったスーに、午前中の件を話します。
西の辺境伯家にまたお世話になるので、改めてお礼を言わないといけません。
その辺のことも考えないといけませんね。
「教会の聖職者と西の辺境伯を加えたもので、聖教皇国に行く関係の打ち合わせをする。もちろん、その際にはスーもシュンも参加してもらう」
お肉を頬張りながら、陛下も別の会議の事を通知しました。
関係者が一堂に集まる機会ってそうはないので、とてもいい機会だと言えましょう。
「僕も一緒に行きたいなあ」
「ジェフにはまだ長旅は早いわ。でも、そのうち近いところから始めましょうね」
「はーい」
ジェフちゃんが拗ねないように、王太子妃様も代替案を提案していますね。
温泉地の直轄領とかは、日帰りでも行けるからいいかもしれませんね。




