散歩の千五話 今日はスラム街での奉仕活動です
無事にシャーリーさんの謁見とジェフちゃん達への顔合わせも終わりました。
今日は、スラム街にある教会で炊き出しを行います。
シャーリーさんはほぼ強制参加になるけど、ジェフちゃんたちは安全の為に王城でお勉強です。
その代わりに、冒険者でもあるこの御三方を呼んでみました。
「王都の方の為に、私もお手伝いしますわ」
「私は、ちびっ子たちの面倒を見ればいいわね」
「みんな、元気いっぱいだもんね」
リアーナさん、ケーシーさん、テルマさんの三人なら、不審者くらいなら直ぐに対応できる実力があります。
それに、シャーリーさんとほぼ同じ年代なので、良い話し相手になってくれるはずです。
実際に、ケーシーさんとテルマさんが積極的にシャーリーさんに話しかけていました。
「今日は、シロが悪い人を捕まえるんだよ!」
シロはそう言い、うちの馬に颯爽と乗り込んでいました。
ノア君も馬に乗り込み、周囲の巡回を始めました。
ここで、シャーリーさんがある疑問を言ってきました。
「あ、あの、あの馬って普通の馬じゃないですよね? 行きはアオちゃんが馬を操っていましたが、アオちゃんは凄いスライムだと認識していました。でも、馬自体も何だか凄いと思いまして……」
「「「あー」」」
リアーナさん、ケーシーさん、テルマさんは、直ぐにシャーリーさんの言わんとすることを理解しました。
今も、目の前で犯罪者の襟首を咥えて引きずっているもんなあ。
「あの馬は、かなり特別な馬ですよ。人の言葉も分かりますし、魔法も使えますから」
「そ、そうですよね。先ほど馬が魔法を使った際には、思わず度肝を抜かれてしまいました……」
苦笑しながらリアーナさんが説明して、シャーリーさんも何とか納得して貰いました。
馬じゃなくて、UMAという新種の動物かもしれません。
因みに、シャーリーさんは回復魔法が使えるのでホルン、ヴィヴィ、ガード君のところにいます。
フラン、ジョディーさん、レンちゃん、ケーシーさん、テルマさんは、先に教会周りを箒などで綺麗にしていました。
僕は、教会のシスターと共に炊き出しの準備をしています。
昨年も来たスラム街の教会なので、勝手が分かっていて準備もスムーズです。
ガチャ。
「シュンさん、お待たせしました」
ここで、教会の責任者に挨拶をしていたスーとアオが教会内から出てきました。
スラム街の状況などを聞いていて、通信用魔導具で各所に伝えていたそうです。
「何か変わったことでもありましたか?」
「シャーリーさんが、うちの馬を見てびっくりしていたくらいかな?」
「あー、確かに初めて見たらびっくりしますよね」
スーも、思わず苦笑しながら僕の言わんとすることに気がついてくれました。
特に問題が起きているわけではないので、そのまま奉仕活動を続けましょう。




