散歩の千四話 ちびっ子たちとの顔合わせ
謁見後の話し合いも無事に終わったけど、まだまだシャーリーさんにはやってもらうことがあります。
僕たちは、控室からある場所に移動します。
因みに、ついて行くのは僕、スー、シロの三人です。
シャーリーさんは、どこに行くのだろうと不思議そうにしていました。
コンコン、ガチャ。
「「「あっ!」」」
部屋の扉を開けると、中では小さい子が講師に勉強を教わっていました。
そうです、ちびっ子たちがマーナさんから算数を習っていました。
その場に、シャーリーさんを連れて行ったのです。
シャーリーさんは、何でこの場に来ているのだろうと不思議そうにしていました。
その理由を、スーが説明しました。
「シャーリーさんは、これからジェフちゃんたちと接する機会が多いかと思います。フランちゃんたちとは既に面識はありますが、改めて挨拶をと思いました」
僕たちと接する機会が多いと、必然とジェフちゃんたちと会う回数も増えます。
だから、早いうちにお互いの顔を合わせようとしました。
ジェフちゃんたちは、直ぐにでも会おうと思っていたもんね。
「えっと、ホルツ男爵家のシャーリーです。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「「「わあ、パチパチパチ」」」
シャーロットさんがペコリと頭を下げながら自己紹介をすると、ジェフちゃんを始めとする面々がニコニコしながら拍手していました。
とっても微笑ましい光景ですね。
「えっとね、ジェフだよ!」
「初めまして、ジェフ王子殿下」
「違うよ。ジェフだよ」
「「「???」」」
シャーリーさんは、ちょっとぷりぷりしているジェフちゃんに少し困惑していました。
とはいえ、僕たちは直ぐにジェフちゃんの不満の理由が分かりました。
「シャーリーさん、ジェフちゃんは敬称ではなくジェフちゃんってちゃん付けで呼んで貰いたいんですよ」
「そーだよ!」
「えっ!?」
僕の指摘に、ジェフちゃんも元気よく返事をしました。
シャーリーさんはかなり戸惑っているけど、ここは頑張って呼んでみましょう。
「えっ、えっと。ジェフ、ちゃん?」
「うん、そうだよ!」
シャーリーさんに名前を呼んで貰って、ジェフちゃんもニコニコです。
公式の場などではキチンと呼べば良いし、こういう場なら問題ないですね。
「じゃあ、今度は僕だよ」
「私ですの」
「ふふ、順番ですよ」
他の子どもたちも、一斉にシャーリーさんのところに向かっていきました。
シャーリーさんもニコリと微笑む余裕ができたし、これで大丈夫ですね。
こうして、ちびっ子たちとの顔合わせも無事に終了しました。




