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さてミネルの家に行こうではないか! しかし歩くの面倒くさいし……よし、転移しよう。転移魔法は一度その場所に行ったことがあれば使えるからな。
まあ、ベアの時は『目の前』に転移魔法を使えば良かったからの、血管内にいたことが無くても使えたのじゃが。
とまあ、そんな感じで一度行ったことのあるミネルの家の前にポンと転移することにした。
「アルタ、付いてくるのか?」
「もっちろん。」
「ならワシに掴まっておけ。」
「へ?」
ワシに掴まっててもらった方が転移しやすいからの。
「行くぞー。」
「わっ、ちょっと待って!」
ワシの腕にアルタが掴まったのを確認した後、転移魔法でスッと移動する。
「よし、到着。」
一瞬でミネルの家の前に到着。こりゃ楽で良いな。
「うわぁーお。」
「で、今すぐ行ってもいいものか……」
「レタアちゃん! おはよう!」
時間を決めずに来てしまったがどうしようか、と悩んでいる間にタタタッとこちらに駆けてきたのはミネルだった。お、グッドタイミングじゃな!
「ミネルおはよう。あ、これ例の……」
「わぁ! そうこれこれ! レタアちゃん、届けてくれてありがとう! 後で婆ちゃんにもこれで連絡しよっと。」
ミネルが嬉しそうに笑うその姿はとても可愛らしく、ほのぼのとした気持ちになる。
まあ、それはすぐに崩れ去ったのじゃが。
「あ、そうだ……レタアちゃん、本当に申し訳ないんだけど、私の父と母に会ってくれない?」
「へ?」
「さっきの白い鳥の魔法を見た二人が、どうしてもレタアちゃんに会いたいって……言って。」
「ふむ、怒られる訳ではないな?」
「もちろん。というか私の魔法の家庭教師になってくれないかって話を持ちかけられると思う。多分。」
「成る程。」
ミネル一人の時に聞けるように細工するのを忘れていた。あらうっかり。
「てことでまず家に上がっていって! あ、アルタさんもどうぞ!」
「ありがとー……って、僕何の関係もない人間だけど、入っちゃって良いの?」
「あー……アルタさんはレタアちゃんの護衛兼彼氏枠ってことで!」
「成る程! それは良い!」
おいおい、良いのかそれで。まあ、この家に住むミネルが良いと言うなら良いのか。
「では改めまして、ようこそ我が家へ!」
「お邪魔しまーす。」
「お邪魔します。」
急なドキドキ御宅訪問が始まろうとしていた……




