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1-6

「できた!」


 今日はワシの五歳の誕生日。そのめでたい日に完成したのじゃ!


 感知阻害魔法が!


「さすがワシじゃな!」


 一人部屋の中で小躍りする。







 一人になれる時間がまとまって取れなかった故に、一つの魔法を作るのに二年もかかってしまった。


 前世のワシは一日中魔法を作っていたからの、一つの魔法を作るのに数週間から数ヶ月程で作り上げていたのじゃがな。まあ、仕方ない。


 しかし勉強を始める『五歳』という一種のタイムリミットまでに間に合ったのは良かった。


「これを常時掛け続ければ魔力を感知されることはない!」


 よし、出来た魔法を早速自分に掛けてみる。ふわり、全身に魔法が掛かった感触も実感出来た。


 一応確認のためにその上から一度感知魔法を使ってみるも、魔力はほとんど感じなくなっていた。


「成功じゃ!」


 これで出来損ないを演じる準備は整った。


「ワシの今世の目標、孤独死しない!」


 目標をもう一度確認し、気合いを入れる。









「レタアちゃん、お誕生日おめでとう!」

「お母様! ありがとうなのじゃ!」

「明日からレタアちゃんもお勉強が始まるけれども、頑張れるかしら?」

「もちろん頑張るのじゃ!」

「それは良かったわ。でもその口調はどうにかしてちょうだいね?」

「むむむ……善処はするつもりじゃ。」


 どうやらワシの一人称や口調は独特らしい。最近はずっとこの口調を直せ直せとお母様から言われる毎日なのじゃ。


 あ、心の中では今までママン呼びじゃったが、口調を直す第一歩として心の中でもお母様と呼ぶことにしたのじゃ。これで全く努力していないとは言わせない。


 じゃがのぅ……前世でも最期の二百年程はこの口調じゃったからなかなか癖が直らん。まあ、善処はするつもりじゃが。


「レタア、お誕生日おめでとう。」

「アルクお兄様! ありがとうなのじゃ!」

「あはは、またその面白い口調。」


 八歳になったアルクお兄様はワシの口調がツボらしく、ワシが話す度に肩を震わせて笑う。サラッサラの黒髪が太陽の光を反射して綺麗なのじゃ。


「レタア、誕生日おめでとう。」

「お父様! ありがとうなのじゃ!」


 お父様、やっぱり笑顔の中に少し疲れが見える。ここ二年もずっと働き詰めじゃったからのぅ……


 ワシはお父様と会う度に、前世のワシもよく使っていた疲労回復魔法をこっそり掛けているのじゃ。バレない程度に。じゃからお父様は倒れずにいられているのじゃが……


「お父様、疲れが見えるのじゃ。少しでもいいから休んで欲しいのじゃ。お父様が元気でないとワシは悲しいのじゃ。」


 毎度お馴染みの言葉も添える。


「……そうだね、まあ、善処はするかな。」

「絶対じゃぞ!」


 そのワシの言葉に、お父様はいつも通り答えずににっこり笑うだけじゃった。

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