1-5
「レタアちゃんっ!」
食堂に着くと名前を呼ばれる。
呼んだその人は、ワシと同じ白金色の髪を綺麗に結っていて、金色の瞳を輝かせている。この美人が今世のワシのママンじゃ。
「おかあちゃま!」
「あらあら、今日もニコニコねー。いいことあったの?」
「うん! おえかきちてたのー!」
「じゃあ後で見せてもらおうかしら?」
「うん!」
人と話すのはとても楽しいからか、意識しなくてもニッコニコの笑顔を浮かべているようなのじゃ。まあ、悪いことではないがの。
この日常が続くように、早く魔法を完成させなければじゃな。うむ。
「きょうはぼくのところにあそびにこなかったけど、どうしたの?」
食堂へ新たに入ってきたのはワシの三歳年上のお兄様。母親譲りの金色の瞳はママンそっくりでキラキラと輝いているのじゃ。
「おにいちゃま! きょうはひといでおえかきちてたの!」
「そうだったんだ。ぼくにもあとでみせてよ。」
「うん!」
いつもワシと一緒に遊んでくれる優しいお兄様なのじゃ!
「お話中申し訳ありません。」
「どうしたのかしら?」
執事のカフがママンに話しかける。どうしたんじゃろうか。
「レーン様は今お仕事がお忙しいようでして、先にお食事を取られるように、と。」
「あら……それなら仕方がないわね。では三人で先に頂きましょうか。」
「はーい。」
「はい。」
ママン……やっぱり少し寂しそうじゃ。何かワシに出来ればいいのじゃが……。まあ、今のワシ(三歳)に出来ることなど無いに等しいがの。
ああそう、レーン、というのは今世のパパンの名前じゃ。
それにしてもここ最近パパンは忙しそうなのじゃ。ちゃんとご飯食べてるのかの? ワシは心配なのじゃ。
「れたーもおとうちゃまのおてちだいちたい!」
「あらあら、レタアはお父様思いなのね? なんて優しい子なのでしょう!」
「ぼ、ぼくもおてつだいする!」
「ええ、アルクお兄ちゃんも優しいわね。でもお兄ちゃんはお勉強がお仕事、レタアは遊ぶのがお仕事よ。頑張れるかしら?」
「で、できる! ぼくがんばる!」
「れたーも!」
「二人ともいい子ね~。」
お兄様とワシの頭をお母様は撫でてくれる。ああ、暖かいのぅ……
にへにへと笑顔が溢れる。