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「ねぇ、レタアちゃん。」
「なんじゃ?」
タタタッとこちらに戻ってきたミネルはワシに話しかけてきた。む? なんじゃろう?
「レタアちゃんにかかっている呪いって誰からかけられたの?」
「ばっかミネルヴァ! 直球に聞く馬鹿がどこにいる!」
ミネルに質問され、イーニャお婆ちゃんは何故か焦る。マルとアルタは驚きつつも黙ってやり取りを見ていた。
じゃが、はて、呪い、呪い……? 呪いなんて受けてないし、そんなのかけられそうになったら跳ね返すが……?
首を捻って思い出そうとしたが、全く思い当たる節はない。うむむ? 何か勘違いしているんじゃないか?
「呪い……とはどういうことじゃ?」
「え、自覚してないの?」
「まさかそんなことがあるのかい?」
ミネルだけでなくイーニャお婆ちゃんにも驚かれたぞ。むむむ?
「レタア、お前さんは自分にかけられた呪いを自覚していないのか?」
「ワシにかけられた……あ。」
呪いではないが、魔法なら掛けたな。自分で。
「もしかしてあれ、かの?」
自分で掛けた感知阻害魔法と幻影魔法。あれは呪いではないな。
「思い出したのかい?」
「あ、いや、自分で掛けてるからな。思い出す云々ではないのじゃが。」
「はぁ!? お前さんはアホなのかい!? いや、魔力量がアホなのかい!?」
え、イーニャお婆ちゃんにアホって言われた……。ちょっと傷ついた。
というか魔力量がアホって何じゃ?
「魔力切れを起こさないのかい!? 常時魔法を使い続けると魔力量的に他の魔法が使えんだろう!? 効率悪いだろう!?」
「どうどう。」
鼻息荒く質問攻めするイーニャお婆ちゃん。とにかく落ち着いてくれ。ワシが口を挟む余裕すらないからな。
「イーニャお婆ちゃん、ワシは他の魔法も使えるぞ? ほれ。」
ここは室内なので無害そうな水の玉をポワッと作り出す。
「なっ、レベル三!?」
「あ、やべ。」
呪文唱えるの忘れてた。どう誤魔化そう。ダラダラと冷や汗をかく。
「え、えーと、それは置いておいて。ワシは常時魔法を掛けていても魔法は使えることの証明は出来たじゃろう?」
ヒラヒラと両手を振って自分が無害であることを表現する。が、イーニャお婆ちゃんはまだワナワナと震えている。
「お前さん、何者だい?」
「昨日も言ったじゃろう? 新人冒険者のレタアちゃんじゃと。」
「そういうことを言ってるんじゃないよ。その年齢でレベル三とか前代未聞だろう?」
「あー……」
「婆ちゃん、レタアちゃんは私と同年だよ。」
「「「はぁ!?」」」
ミネルの爆弾投下にイーニャお婆ちゃんとアルタ、マルが一斉にワシを見る。それもくわっと目を見開いて。その顔怖いんじゃが。
「どう見ても十五、六だろう!?」
「身長とかはどうなってるの!?」
「……。」
今まで黙っていたアルタもイーニャお婆ちゃんと共に騒ぐ。マルは現実を受け入れられないようで軽く気絶していた。
さて、これはどう収拾をつければいいじゃろうか。




