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ミネルは打開策を考えているようで数秒うんうん唸っていると、ハッと顔を上げて目を輝かせる。なんじゃなんじゃ?
「そうだ! レタアちゃんって警備の仕事してるんでしょ?」
「え? ああ、そうじゃが……」
「ならさ、レタアちゃんが出勤する日に合わせて私が家を抜け出して、家の近くからここまで一緒に来てもらうってのはどう!?」
「どうって……まあ、いいが。」
「やった!」
「ちょちょちょっと待て待てい!」
仕事の一環なのだからいいじゃろうとワシが了承すると、イーニャお婆ちゃんが待ったをかける。そしてミネルの首根っこを掴んで店の奥へと引きずっていった。なんじゃなんじゃ?
ワシら三人は展開の早さにぽかーんと呆けることしか出来なかった。
イーニャside
「ミネルヴァ、何を考えているんだい!?」
ミネルヴァを店の奥に連れて行き問いただす。
「え? 何のこと?」
しかしわえの危機感をミネルヴァは感じ取れないようだ。ぽけらっと逆に質問してきた。
「あのレタアとか言うやつに護衛を頼むだなんて!」
「どういうこと? レタアちゃんはいい子だよ?」
それは見せかけなのではないかとわえは思っている。
「……わえはあまりあやつを信用していない。」
「何が?」
「……わえには魔力が大量にある。だから『見える』んだよ。あやつに纏わりつく呪いが。」
「呪い……?」
昨日レタアと出会った時からおかしいと思っていた。ただの冒険者が呪いを受けるわけもないし、冒険者であることも本当のことなのかどうか……。
「あやつは昨日魔道具を買うこともなく物色していたから、他の魔道具屋のスパイだと思った。さらに言えば呪いによってどこかの誰かに操られているとな。」
「え……?」
「だが呪いをかけることが出来る程の魔力持ちはなかなかいない。わえでも厳しいだろう。だから誰に呪いをかけられたのかと思って、な……」
だからそんなよく分からないやつとは関わらない方が良いと思うんだがな。ミネルヴァはわえの気持ちを理解してくれるだろうか……。
「じゃあ、私がそれとなく聞いてこようか?」
「ばっ、馬鹿かお前さんは! もう少し自分の立場を考えて行動しなさい!」
「伯爵家令嬢だってこと?」
「そうだ。」
「えーめんどくさい。」
こっの……! もっと危機感を持てミネルヴァ! わえだけが焦ってもどうにもならんだろうが!
「じゃ、それとなく聞いてくるね!」
「待っ……!」
わえの忠告を聞かずにタタタッと店に戻っていったミネルヴァ。……はぁ、まあいざとなれば魔力持ちのわえがどうにかせねば、だな。
わえも店の方へと戻る。




