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ぽてぽてと歩き続け、一時間程経った。鬼から逃げ続ける一年を過ごしていたおかげか、少し疲れた程度で収まっている。ワシ、体力付いたのぅ。しみじみと思い耽る。
さて、やるべきことはまだたくさんあるからの、ぽてぽてと街を歩き続ける。
屋敷の外に出るのは今世では初めて。やはりどうしても気分が上がるというものじゃな。るんるん気分で歩き続ける。
もうこうなったら楽しむしかないな。前向きに、前向きにじゃな!
「しかしまずは衣食住をどうにかせねば……」
『住』は最初のうちは宿屋を使うのも手だが、どうにもお金が必要になる。なんぼかは持たされたとは言え、湯水のように湧き出るわけでもなし。早々に仕事を探さねばならんな。しかし……
「この見た目だと……絶対舐められるな。」
何たって今日でやっと六歳児じゃからな。ふむ……。
「ならば……」
まずは服屋へレッツゴー!
「あらあら、一人でどうしたんだい?」
ちと迷ったが、どうにか服屋へ辿り着いた。ニコニコと笑顔を振りまきながら店主に対応する。
「お姉ちゃんにおつかいを頼まれたのじゃ!」
「そうかい。まあ、ゆっくり見ていきな。」
「はーい!」
まあ、嘘じゃがの。姉などいない。
しかし嘘のおかげで怪しまれずに服屋へ入ることが出来た。これからワシには合わないサイズの服を買うつもりなのじゃから、怪しまれないのは好都合。さっさと服を見繕ってさっさと出よう。
「……あ、これ可愛いのじゃ!」
「だろう? それは自信作さ。」
「わあ、すごいのじゃ!」
よし、これにしよう。ワシの勘がこれだと言っている。
全体的に茶色、それも裾に向かってどんどん色が濃くなっているフレアワンピース。とても可愛いのじゃ。
「これに合う靴もお願いします、なのじゃ!」
「あいよ。」
「毎度あり!」
ちゃりん
ちと痛い出費じゃが、必要経費じゃからの。一式揃えた。ワンピース、靴、靴下、諸々……。
そして日にちを置いて、今まで着ていた六歳児用の服を売りさばいてしまおう。茫然としながらも服とか諸々お金になりそうなものを全て持ってきたからの。少しは足しになるじゃろう。
さて、と路地裏へと向かう。




