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さてさて、魔法の鍛錬を始めて一ヶ月近く経った頃。毎日底をつく寸前まで使い続けているからか、ほんの少し、ほーーーーんの少しだけ魔力の向上が見られた。
ミネルが使った感知魔法では感じ取れない程少なく──と言うことは前世のワシが作った感知魔法を埋め込んだ魔力装置でも無理だろう──、ワシ自らが使った感知魔法でほーーーーんの少し変化が見られた程度なのだが。それでも変化があったことに喜んでもいいと思う。
「明日は事前に知らせていた通り魔術師団に社会科見学しに行きます。準備は終わってますか?終わっていないなら早よしろ……です。それでは今日はここまで。さよーなら。」
と、未だに名乗りもしない担任(笑)が一方的にそう言ってそそくさと教室を出て行った時にずっと違うことをワシは考えていた。
本当、あんな先生──先生とすら呼びたくもない程酷い態度だよな──が担任で、このクラスの子ども達が可哀想だ。ワシなんて話半分で聞き流している程。敬う相手は選ぶタチじゃからな。
そう言えば魔術師団と言えば、ディエゴがいたよな。……あ、魔物討伐に結局参加できなかったことを直接謝れるだろうか。一応魔力が回復した後に伝達魔法は使って謝罪したものの、やはり面と向かって謝るべきであろう。
まあ、ディエゴはあれでも一番偉い人間だからな、会えるとは限らないんじゃがな。
会えたら、少し話したいとも思った。
「さあ皆さん前の人から離れないでくださいね。」
担任(笑)は他に人がいるからだろうか、ワシらI組の子どもにも優しく言葉を並べていた。うわー、こういう大人にはなりたくないな。
そんなことを考えながら魔術師団がある建物の前まで行く。
「魔力いっぱいある人達は将来のためにも見学しておけば良いけど、あたし達には縁遠すぎて説明されても頭に入るかな……」
「ユーリ、その差を埋めるべく鍛錬しているんじゃ。卑屈になりすぎなくても良いんじゃぞ?」
「そーおー?」
最初はライト魔法を十秒灯すのを計二回しか出来なかったのに、いまは一度だけなら十一秒灯せるようになったんじゃ。誇っていいと思うぞ!
「マイナスなことを考えるよりも、普段入れない場所に行けることに対してワクワクした方が良いと思うんじゃが! どうじゃろう!」
ワシは思ったより楽しみだったらしい。頬が緩んだままそう四人に質問してみると、四人ともフッと強張っていた顔の力を緩めたようだった。




