14
あの後よく分からない雰囲気になり、そのままそこで授業が終了してしまった。
何一つ決まっていないことに焦りはしたが、休み時間にでもまた話し合えば良いかと楽観することにして。
さてさて、お昼休みになり窓側全員でご飯を食べることにした。食堂は人の目が多すぎると言うことで、各自お弁当を持って人気のない空き教室を探すことに。五人並んでぞろぞろと廊下を進む。
「空き教室を見つけるだなんて難しすぎない?」
「広すぎるものね……」
気を落としがらも皆歩き続ける。ワシはその時ふと淡い記憶の中から一つの場所を思い出した。
「あ、あの……一つ、駄目かもしらんが、良さそうな場所を思い出したんじゃが……」
今どう使われているか分からないので確証はないが、いい穴場があったのを思い出したんじゃよ。そう、前世でワシがよく使っていた……
「それを早く言ってよぉ」
「駄目元じゃから、もし駄目だったらすまん。」
「それでも良いわ。候補があるっていうだけでも気の持ちようが違うもの。」
グリタリアは嬉しそうにそう言う。皆も同じように頷いた。
「じ、じゃあ付いてきてくれ。」
四人を引き連れてあの場所に、ワシが昔に使っていた研究室に向かう。
「ここじゃ」
教会の裏手にある鬱蒼とした林。その奥の奥にある小屋、そこがワシの隠れ家じゃった。研究棟にも研究室は幾らでもあったが、あそこは人が多くて集中できなくてな。この小屋を作ったんじゃよ。勿論、魔法で。
しかしまだ小屋が残っていたことにまず驚き、誰かに使われた形跡がないことにも驚き──よく考えたら扉に魔法で鍵を掛けたんだっけ──、色んな意味で声が出なかった。
「わ、なにここ!?」
「結構古い……歴史的建造物と言えそうだな」
ガウディロはマジマジと小屋を見て回る。そんなに貴重でも無くないか? ワシが作業の片手間に作った小屋だし。
「は、入れるの?」
ニイナは不安そうに呟く。
「多分……」
鍵は魔法。それを使えば開くはずじゃ。ワシは扉に触れ、鍵の魔法を発動させる──




