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ワシら窓側五人は今一度お互い自己紹介し、皆敬称を取った。そしてその後話し合ったのはもちろん、魔法歴の授業に関して。
何について調べるかをまず決めなければならないのだ。
「私は魔法の成り立ちについてが良いと思ったわ。そうすれば私たちのような落ちこぼれがなぜ生まれてしまうのか、分かると思って。」
「グリタリアと重複するかもだけど、わ、私は魔法を発見したマルモウトについて調べたいかな……」
「この学園ができた理由や、時代背景が良いと僕は思ったね。わざわざ落ちこぼれも通わなければいけない義務の理由が知りたいね。」
「私は断然ラールルについて! あんだけ魔法の才能がありながら、森に引き篭もるその神経を疑うよ! ちやほやされまくりでしょうに!」
「うぅっ」
ユーリの悪気のない言葉にワシの心が少し抉られる。名前が出てきた時点でドキッとしたんじゃがな。あぁ、心臓に悪い。
「レタア、あなたはこのグループのリーダーでしょう? 率先して意見出しなさいよ。」
グリタリアはそう言ってワシに話題を投げかける。が……
「と、言われてもワシ、平民で碌に勉強なんてしてこなかったから……なんとも……」
クラスティル家にいた時に少しは齧ったけど覚えていない、だなんて言えないし。いろんな意味で。
家のこと、記憶力のなさ、エトセトラエトセトラ……
そんなわけで、言葉を濁しに濁したら、四人から同情した目を向けられた。
「そうだったわね。レタアは勉強する余裕すらなかったのよね。じゃぁそれなら私たちが教えて差し上げればよろしいのではなくて?」
「何もわからないまま入学してすぐに見捨てられ、学ぶ機会をも奪われ……それでも誰かと仲良くしたいがために恐れずあたし達に声をかけてきて……レタア、あんたほんと勇気あるよ」
「うじうじしてた僕たちが恥ずかしくなってくるよ。レタアは僕たちが守るから! できる事は少ないかもしれないけど。」
……? 話の流れがよく分からないんじゃが……? 何故皆涙ぐむんじゃ?
「み、皆……?」
一人ずつ視線を合わせに行くが、誰とも合わない。なんてこった、ワシ、知らずのうちに何かやらかした!?
「レタア、わ、私達は貴族の端くれ、だから……一般教養くらいなら教えてあげられると思うんだ……! 何でも聞いて良いからね!」
ニイナに手を取られ、なんだかよく分からないうちにワシはコクリと頷いていた。




