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とりあえず、学園生活はしばらく続くのだから少し考える時間を取ってもいいだろう、と教室に戻ることにした。その間三人に軽い防御魔法をかけておく。後でプファニストさんにもかけるつもりだ。
次の授業は件のグループ学習、魔法歴の授業だったらしい。担当のお爺ちゃん先生──ミューニッツ・ヒーラリングという名前らしい──は豊かな髭を手で梳きながら話を続ける。
「この学園に入る前に、各自魔法歴の勉強も終えているでしょうから、ワテクシが改まって教えることはしないでしょう。その為、この時間はグループでテーマを決めて、そのことについて調べてまとめてください。その出来を見て評価しますゆえ。」
なるほど、それはそれで面白そうじゃ。陽の当たる暖かい席に座ってぬくぬくしながら、内心ワクワクする。
「偉人について調べるも良し、歴史上の出来事について調べるも良し、魔法の成り立ちについて調べるも良し。そこはグループ内で話し合って決めてください。」
何か質問は? そう聞くミューニッツ先生。それに反応する人はおらず、じゃあ今から早速始めてもらいましょうか、と手を叩く。
それを合図にグループごとに集まり、図書館に向かうなり何なり動き始める。ワシもその流れに乗りニイナやユーリ、ガウディロさん、プファニストさんの元へ。
「わしらが見捨てられているなら、別に授業に参加してもいいわけじゃろう? その第一歩として窓側でグループを作ろう! プファニストさんも一緒にどうじゃ?」
プファニストさん以外の三人は即了承してくれた。そのことに内心ほっと安堵したのは内緒じゃ。
「どうせ見捨てられているなら、三〜四人で組むはずのグループをこの五人で組んでも何も言われないんじゃないか? ワシ、一人もこぼしたくないんじゃ。だって一人は寂しいから。」
「……あなた、名前は何と仰ったかしら?」
初めてまともに会話してくれた、とワシは心が浮き立つ思いでプファニストさんにもう一度自己紹介する。
「ワシはレタア! 窓側一番後ろじゃが、一人にはなりたくないので、皆と仲良くしたいです! じゃ!」
興奮からいつもより大きな声が出てしまったが、それが気にならないほどワクワクドキドキしている。もしかして仲良くなれるんじゃないか、と言う下心もあるのじゃが。
「……ふふ、周りの目を気にして塞ぎ込んでいた私が馬鹿みたいじゃない。良いわ、私の事はグリタリアと呼んでくださいな。家名を出すと家に迷惑もかかるから。」
「分かった。グリタリアさん、よろしく、なのじゃ!」
グリタリアさんが 仲間に なった !




