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次の日、良案も出ず悩みながら教室に入ると、異様な雰囲気を肌が感じとった。何か、ピリピリしてる……?
といっても誰かに聞くこともできず──誰も目を合わせてくれないからな──、席について聞き耳を立てることにした。
「魔法歴の授業さ、私と組んでくれない?」
「もちろん! あと二人早く集めないと!」
「俺とこいつ、仲間に入れてくんない?」
「いいよー」
ふむ、グループを組む授業があると。そうじゃったか、聞いてなかった。
まぁグループを組むのはいいとして、え、それじゃあワシ、今すごく不利では?
先程も言ったが誰も目すら合わせてくれないし。避けられてるし。
どうしようどうしよう、ワシ、ぼっち……
ううむ、だからといって受け身でいては、状況は変わらないだろうからな。誰彼構わず、ひたすら声をかけてみるか。主に、窓側の方から順に。
「ニイナ、おはよう」
「……」
まずは前の席のニイナから。しかし話しかけてもニイナはふっと目を逸した。それを目の当たりにして、ワシは内心泣きそうじゃった。
いやまだまだ、とニイナの前の席に座る女子生徒に話しかけてみる。
「あー、ええと、はじめまして? ワシはレタアじゃ。グループに入れてはくれないか?」
「……アー、ハジメマシテ。ホカノヒトガナントイウカ……」
一応返事はしてくれたが、話したくないと言わんばかりの棒読み。はは、心が抉られる。
いや、次こそ! そのまた前の席の男子生徒に話しかける。
「はじめましてワシはレタアじゃグループに入れてくれんか?」
「僕は……ちょっと……」
むむ、手強い。やんわりと断られたぞ。
いや、まだまだ。そのまた前の席の女子生徒に話しかける。
「はじめましてワシはレタアじゃグ(略)」
「はじめまして、あたしはユーリ・ウェルリンバートン。なんかいろんな人に話しかけてるみたいだけど、その様子ではうまくいってないみたいだね。」
「あ、ああ。そ、そそそうじゃな。」
まさか言葉を交わしてくれるとは思わず、話しかけた側のワシが驚いてしまった。




