24 アルタside
「感知魔法、使ってみるか?」
そう言ってレタアちゃんは不敵に笑う。しかしそれが何者なのか、魔力持ちではない僕には分からなかった。
「感知魔法って、毎回の訓練後にレタアちゃんが私に使ってくれたあの?」
「そうじゃ。ミネルの魔力量を測るために使っていたアレじゃ。」
ああ、それか。成る程成る程。毎回のようにレタアちゃんに付いて回っていたから、そう言われて理解したよ。
でも、急にその魔法を練習するだなんて、何か理由があるのだろうか。
(一般のギルド職員かつ、今日回るはずだった情報故に今日休みを取ったアルタが知る術はなかったのだ。)
「つい昨日知り合った奴から、その魔法の呪文を聞き出したからな。練習出来るぞ。」
「わぁい! 新しいこと新しいこと!」
レタアちゃんの提案に、新しいもの好きのミネルちゃんは喜んだ。
「それがな、この魔法はワシが作ったものの中でも複雑な分類になるらしくてな、呪文が『レベル二』のものしか与えられなかったらしいのじゃ。」
「ほへぇ……?」
ミネルちゃんはポケラッと呆ける。多分言われた意味がよく分かっていないのだろう。まあ、僕なんてもっと分からないけれども。
「いいか、この世界の人間は基本レベル一の魔法でしか扱えない。それなのにこの呪文はレベル二しか用意されていない。故に誰も扱えていなかった。」
「な、成る程……?」
「しかしワシやミネルならレベル二は少し使えるじゃろう? 物は試しってことで練習してみないか?」
「だいたい理解した! 頑張る!」
僕もなんとなく理解はした。だけど……
「……レタアちゃん、部外者の僕が質問してもいいか分からないけどさ、なんで急にその魔法の練習を始めようと思ったの?」
「ああ、それか。かくかくしかじか……」
「成る程。昨日のその対策会議で決まった『魔物の魔力量を測る魔道具』が数も少ないし一気に測れないから、レタアちゃんが変装して感知魔法を使うことになった。それでその魔法を使える人間が一人でも多い方が良いからミネルちゃんにも練習してもらう、と。」
「簡潔に言えばそういうことじゃ。」
へぇ、そんなことになっていたのか。ということは今頃ギルドでもその話が回っているところかー。
「じゃあさ、僕は今日、魔物を狩る方に専念するね。」
「あ、ありがとう。」
これでも僕は元冒険者だ。魔法のことについてはからっきしだけど、こっちならきっと僕も活躍出来る。とにかく測る組以外は狩って絶対数を減らせ、とお達しが出ているなら今日から始めても問題はないだろう。
レタアちゃんに少しでも良いところ見せたいし、頑張っちゃうね!




