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バレンタイン短編  作者: strength
3/4

バレンタイン当日

おはよう。今日は心理の研究協力の日だね」

祐希の声はいつでもイケボだと思う。


「おはよう。これ、チョコ。どうぞ」

私は緊張で手が震えて語尾も震えていた。ビブラートかよって心の中でツッコんだ。


「あ、ありがとう」

もう心がキュンキュン鳴いている。


意を決して私は言った。緊張で声は震える。


「ずっと前から好きでした」


返事してくれるまでの間が永遠にも思えるほど長かった。緊張が心を押し潰してくる。やばい。


お願い神様。私の恋を叶えて。


「そ、そうか。お、俺もだよ」


祐希の返事を聞いて心がソーダのようにシュワーってなった。なんかうまくいえないけどシュワーって。


「よかった。ありがとう。神様」

私は頬を涙が流れるのを感じた。


「ど、どうして泣いてるの?何か悪いことした?」

祐希が慌てている。


「やーい。女の子泣かしてやーんの」

男子が茶化してる。そんなんじゃないのに。


「嬉しいんだよ。ずっと前から好きだった人との恋が叶ったから」

まだ、涙が止まらない。


そんな私の背中を祐希は抱きしめてくれていた。自分の服が汚れてしまうのに。


「よかった。嬉しかったなら笑ってほしいな。泣くんじゃなくて。泣き顔も可愛いけど笑ってる顔見たいな」


そんなこと言われたら笑うしかないじゃん。私はぎこちない笑顔を作った。涙と鼻水でぐしゃぐしゃで声震えてるけど笑った。


「祐希反則。私が告白したんだからあなたもしなさいよ。うん。とかじゃなくて」

声震えてるけど。


「わかったよ。今日は煮干しの日なんだ。あと、ふんどしの日でもあるんだけど。いつか一緒に煮干しの出汁で味噌汁作ろうよ」


バレンタインでしょ。チョコくると思うじゃん。ねぇ。泣いていたの忘れるぐらい訳がわからない。


「なんでやねん」

全力でツッコんでしまった。ふんどし?煮干し?なぜ?


「なんでツッコんだの?人の告白に普通ツッコむか?」

祐希が膨れている。


「普通だったらツッコまないよ。バレンタインで甘いの期待してたらしょっぱい出汁の話が出てきて素でツッコんじゃったよ。煮干し。煮干しって。はは。アハハハ」

やばい。笑いが止まらない。たしかに自分が命令したんだけど煮干しって。面白い。


「どうした?壊れた?」

祐希が私の顔を見ている。好きな人の前でこれってどうなんだろう。


「壊れてないよ。アハハハ、ハハハ。マジウケる。煮干しって」

この後しばらく笑いが止まらなかった。


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