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第1話 もうすぐバレンタイン
寒空の下、私はいつもの学校に向かう。
「おはよう」
私の声が響く。
「おはよう。もうすぐバレンタインだね。早苗は誰に渡すの?」
友達の美咲が聞いてきた。
私にはずっと片想いしている人がいる。学校一の奇抜な人、覇叉未咲祐希だ。
「えっ?だ、誰かなぁ。あ、はは」
しどろもどろすぎる。でも、こんなの聞かれたら緊張して話せるはずないじゃない。
「もしかして好きな人がいるの?えっ、誰?」
「えっ?いや、そんな人いるわけないじゃない。バカだなぁ、もう」
私は明るい声色を使って全力で首を振りながら言った。
そこに祐希がいたのを見て私は少し落ち込んだ。