第33話 真相
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「そ、そんな……私たちが勝手にアンコールをしたから穂乃果ちゃんは……」
隣で俺と同じ格好で縛られている夏花さんが恐怖しながら呟いた。
「違う。違うよ夏花さん!!穂乃果ちゃんが死んだのは2人のせいじゃない!……悪いのは居眠り運転をしていた運転手だ!!」
そうだ…夏花さんと零は何も悪い事なんてしていない。
「うるさい!悪いのはお前たち2人だ!!…お前たちがあんな事さえしなければ……!!」
恨む対象を2人にする事で穂乃果ちゃんへの復讐を正当化しようとしているのだろう。
しかし、今の神山さんを刺激してはいけない。
話を続けて時間を稼がなければ……
「神山さん、あなたはこの2人の事を悪く言っていますが、あの日、あなたが穂乃果ちゃんを迎えに行っていればあんな事にはならなかったんじゃないですか?」
「……さっきから言わせておけば訳の分からない事を…もういいです。瀬良さん、あなたもう死んでください。」
自分に都合の悪い解釈は捨てているのか…
頼む……間に合ってくれ。
神山さんがナイフを持って俺の方へ足を進めてきた……その時だった!!
バンッ!!
「動くな!!!警察だ!!!」
「っ……!?どうして警察がこんなところに…!?」
「神山文香…殺人未遂の容疑でお前を逮捕する。」
「ど、どうしてここが……」
康「悪いな海斗、遅くなっちまった。」
そうやって俺に謝りながら警察の後ろから姿を現したのは、康平だった。
瀬「お前、来るのが遅すぎるんだよ…まぁギリギリ間に合ったみたいだけどな。」
神「ど、どういう事?!お前たちまさか……!!」
神山さんが今まで見せたことのない焦った表情で俺に問いかけてきた。
瀬「実は俺……あなたが犯人だってわかってたんです。」
体を縛られてはいるが、俺は得意げにそう言った。
神「……ど、どこで気づいたの…?」
「神山さん…以前あなたは、2月以降にならなければ夏花さんと零のスケジュールが合わないと仰いましたよね……?」
「そ、それがどうかしたの?」
「ではどうして今日、こうして2人をここに連れてこられたんですか?……2月以降でなくても榎本さんたちの話を聞くことも出来たはずです。」
「そ、それは…急に今日の休みが決まっただけで…」
「それに、よく考えれば初めからおかしかったんです。こんなトップアイドルと俺たち一般人なんかが一緒に遊んだり出来るわけがない。……おそらく神山さんは、俺を監視出来る所に置いておきたかったんじゃないんですか?」
「なんで私がそんな事を…」
「……俺があの日、あなたの顔を見たからですよ。」
「……。」
➖➖➖光莉と別れた後➖➖➖
違和感を繋げる事で犯人が神山さんであると確信した俺は、康平に電話をかけ、ある頼み事をした。
「もしもし康平か?」
「どうしたんだよこんな夜中に…?」
「いいか、よく聞いてくれ……以前、俺たちを襲った黒服の正体が分かったんだ。」
「まじかよ?!一体誰なんだ…?」
「……神山さんだ。」
「え…?お前それ本気で言ってんのか…?」
「康平、今は時間がない…俺の話を聞いてくれ。」
「わ、分かった。」
俺の真剣さが伝わったのか、康平の声もトーンが低くなった。
「今、俺の店に夏花さんと零が神山さんと一緒にいる。非常に危険な状態だ……でも、俺はこれから店に向かって敢えて捕らえられたいと思う。」
「どうしてそんな危険な事を?!」
「理由は後で話す。だからお前は警察を呼んで、一緒に店に来て欲しい。……頼む、黙ってそうしてくれ。」
「……分かった。殺されても文句言うなよ…」
「あぁ。助かる。」
そう言って俺は、康平に頼みごとをした。
なぜ今から警察を呼んで突入しないのか……それは、今突入してしまうと神山さんを刺激し、2人が殺されかねないからだ。
そこで、俺も一緒にとらわれる事で、警察が突入しても俺が体を張って時間を稼ぐ事ができると考えた。
だから俺は気づかないフリをして店に戻り、わざと気絶させられたのだ。
神山さんの事だから、恨みをじっくりぶつけるためにまずは俺たち3人を殺さずに気絶させるだろう…そう確信していた。
➖➖➖➖
「私の考えは瀬良さんには筒抜けだったわけですね…」
もうこの状況では誰一人として殺せないと思ったのか、神山さんが全てを失ったかのように無気力に膝をついた。
「神山さん……穂乃果ちゃんのこと大好きだったんですよね…?」
「……はい。」
「だったらどうして穂乃果ちゃんの大好きだった『電脳少女』に復讐なんかしたんですか……こんな事をしても穂乃果ちゃんは喜ばないと思います…」
「……。」
そこからは口も開く事なく、神山さんは連行された。
俺たちを恐怖させたこの事件が解決に至った瞬間だった。
➖➖➖➖
事件解決後、『電脳少女』との関わりが薄くなり、以前と同じ日常を送っていた俺に滝枝さんから電話がかかってきた。
「もしもし瀬良さんですか?滝枝です。榎田さんから番号を教えてもらいまして……」
どうやら滝枝さんは、以前俺の店に来たことがあったらしく、いろいろと衝撃を受けたらしい。
「なるほど…だかた顔に見覚えがあったのか……」
実は1度だけ滝枝さんを疑ってしまったのは言わないようにしておこう。
そうして、再び画面越しから『電脳少女』を応援する日々がスタートした。
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次話が最終回です!
では!




