第29話 再開
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夢のような時間が終わり、俺は2人と別れた後、帰り道を1人で歩いていた。
今日のライブの景色が目に焼き付き、音楽も頭を離れない……しばらくはこの興奮が冷めない日々が続くだろう。
…ブーブー…ブーブー…
そろそろ家に着こうかと言う時に、右ポケットに入れておいたスマホが鳴った。
また榎田さんかと思って画面を確認すると、意外なことに神山さんからの電話だった。
俺は5コール目で電話に出た。
「もしもし?」
「もしもし瀬良さん?神山です。…今日のライブは楽しんでいただけましたか?」
「はい!もう最高でした!…それに、3人まとめて招待して頂いで…本当にありがとうございました!」
「ふふ…それならよかったです。」
「それで神山さん、今日はどういった用事で…?」
「はい。突然で申し訳ないのですが…明日の夜、店の閉店後にお伺いしてもよろしいですか?」
「神山さんだけでですか…?」
「いえ、結城と風見と3人でお伺いしようかと……2人がどうしても瀬良さんに伝えたいことがあるようでして…。」
2人が俺に?……一体なんなのだろうか……
そう言えばこの前、零が夏花とはライバルになるって言ってたな……
ここでラブコメ的な展開が起きるのであれば、2人が俺の前で正々堂々戦うことを宣言してきそうだが…
流石にそれは調子に乗りすぎか……
「分かりました。待ってます。」
「ありがとうございます。22時頃にお伺いしますね。それでは失礼します。」
ピ…
当分の間はもう会えないと思っていたが、さっきまで東京ドームを貸し切ってライブをしていた国民的グループ、『電脳少女』と明日の夜に会えることになった。
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1月11日、ライブ翌日、今日は昨日の疲れが抜けていないのか体がとても重く感じる。
しかしそれは俺だけではなく、千尋と康平も同様で動きが鈍かった…
康平に関しては声が枯れており、全く使い物にならなかった。
「それじゃ瀬良さん、お先に失礼します…」
夜20時、いつもと同じように千尋と康平が先に上がった。
これから1人……頑張るしかないか……
この後、夏花さんや零に会えることだけをモティベーションに閉店までの残り2時間を働いた。
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22時。
ようやく閉店の時間だ…長かった。
締め作業をノロノロとやりながら神山さん達を待っていた。
…カランカラン…
「やっほー海斗…久しぶり。」
「お久しぶりです。」
零を先頭に3人が店に入ってきた。
この前のことがあった上に、日数もかなり開いてしまったので、俺たちはお互いにどこか気まずかった。
俺は3人を4人がけテーブルに誘導し、コーヒーを出した。
「神山さん。今日は予定大丈夫だったんですか?」
「昨日がライブだったので、彼女達は今日1日オフなんです。」
「なるほど…そういうことだったんですね。」
俺はまず、改めて昨日のお礼とライブの感想を気持ち悪いくらい細かく伝えた。
4人が揃って15分が経った頃だろうか…神山さんの様子が急変した。
「ま…窓の外に誰かいる…!!」
!!??
俺たちは窓の方に目をやった。
姿は見えないが、何者かが店内を覗いていた…!
「だ、誰だ!!」
俺は立ち上がり、慌てて店の外に出て確認をした。
瞬間…俺は驚愕した。
黒服だ。
そして、こちらに気がついた黒服が走って逃げていった。
「せ、海斗さん?誰かいたんですか…?」
中から夏花さん達が不安そうに聞いてきた。
「く、黒服だ!黒服がいた!!」
「「「!!??」」」
「俺はあいつを追いかける!大丈夫…あいつは武器を持っていなかった。3人はここにいてくれ!!」
夏「それでは海斗さんが危ないです…!」
「もたもたしている暇はない!これを逃しちゃだめな気がするんだ!!」
神「……わ、分かりました。でも、決して無茶はしないで下さい!私は警察に連絡しておきますから!」
「ありがとうございます!」
そう言って俺は、黒服を追った。
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どっちだ…どこへ逃げやがった!!
俺は必死に腕を振って黒服を追いかけた。
ドンッ……!!
道を左に曲がった瞬間、俺は人とぶつかってしまった。
「す、すみません!怪我はありませんか?」
「は、はい…大丈夫です。……せ、瀬良さん?」
「え…滝枝さん?…どうしてこんなところに?」
驚いたことに俺とぶつかった人間は、榎田さんの後輩、滝枝さんだった…
「…実はわたし、ここら辺に住んでいてランニングしてた所なんです。…そういう瀬良さんは?」
「今人を追いかけてたんです。…誰かこっちに走ってきませんでしたか!?」
「あぁ…それなら、あっちの通りの方に走っていきましたよ。」
「ありがとうございます!!」
「ちょ、ちょっと瀬良さん…!?」
俺はそれを聞くや否や、通りの方に走った。
滝沢さんが警察だということを完全に忘れており、走っている途中でそのことを思い出したのだが、もう遅かった……
通りに出た俺は、必死に周辺を探した。
まだ遠くには行っていないはずだ……幸い今日は人通りが少ない。
その時、タクシーに向かって手をあげている黒服の人物を発見した。
俺は必死に足を動かし、黒服のもとへ駆けつけた。
「そこまでだ!!」
俺は黒服の腕を掴み、黒服に向かってそう言った。
その瞬間、黒服はフードを脱ぎ、俺に顔を向けた。
!!!!
……嘘だろ?
ひ、光莉…………?
読んで頂きありがとうございました!
では!




