第27話 風見零
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「好きだよ。……って言ったらどうする?」
「……え?」
彼女が何を言っているか理解出来ず、俺の脳みそはフリーズしている。
一瞬、本当に告白されたのかと思った……
沸騰した水が瞬間冷却されるのを身をもって体感したみたいだ。
めちゃくちゃガッカリしたのだが、やはり心のどこかでホッとしている自分がいる。
それがどうしてなのかは、自分ではもう分かっていた。
「ねぇ、黙ってないで答えてよ……海斗だったらどうするの?」
「正直……めちゃくちゃ嬉しい。死ぬほど嬉しい。俺にとっては夢みたいな話だ。」
「だったら…付き合うの?」
「いや……今の俺は、零とは付き合えない……」
「それはどうして…?」
「俺と零じゃ釣り合わないよ…」
「そんなの関係ない。」
「…そう、関係ないんだ。以前の俺だったら間違いなくさっきみたいな事を言い訳にして逃げてたと思う。」
「……?」
「俺、みんなと一緒にいるうちに気付いたんだ。零は国民的アイドル『電脳少女』のメンバーである以前に、夢に向かって突っ走る1人の女の子なんだって…。」
「海斗…」
初めて病院で喋った時、アイドルについて喋る零の目はとても輝いて希望に満ちていたのを今でも鮮明に覚えている……
「今ここでそれをやめてしまったら、零も俺もきっと後悔する……大袈裟かもしれないが、世間から批判され、居場所が無くなるかもしれない。」
「それに……付き合うならこんなコソコソじゃなくて、堂々と付き合いたいしな!!」
これが1番の理由かもしれない…
「……それもそうね。海斗の言う通りかも。」
零は星空を見上げながらそう言った。
「じゃあ海斗は私が引退したらまたこうして会ってくれる?」
「もちろんだ!あの店でコーヒーでも作って待ってるよ。」
と言うことはつまり、活動を再開すれば2人きりで会うことはなくなるのだろう……
「じゃあ、私と夏花はライバルになるわね。」
「……?」
「実はね、旅行のあの日の夜、海斗と夏花の会話を全部聞いていたの……」
「聞いてたのか!?」
「夏花には悪いと思ってるし、すごく後悔しているけど、気づいたら2人に声をかけてた。…たぶん、すごく嫌だったんだと思う……」
「お前、結構手段を選ばないのな……でもそのおかげで、俺たちはまだこの関係でいられたのかもしれないな。」
俺は苦笑いしながら言った。
「私、ほしいと思ったものは必ず手に入れるって決めてるの…だから海斗、覚悟してなさいよ。」
「うん。それまでは応援し続けるよ。」
俺と零はお互いスッキリしたような感じで、また星空を見上げながら他愛のない話を続けた。
➖➖➖➖
帰りは行きと違って、車の中は静かだった。
零は先程のこともあって気疲れしたのだろう…助手席で気持ちよさそうに眠っている。
零や夏花さん、ついでに光莉も、来週からは活動が再開するので会う機会も極端に減るだろう。
いや、もしかしたらもう会えないかもしれない……そう思うと悲しくなった…
遠いはずの帰り道が、とても近く感じる……もっとこの時間が続いて欲しかった俺は、法定速度で東京に帰った。
〜〜〜
「それじゃ海斗、今日はありがとう。……楽しかった。」
「俺も、一生の思い出だよ。」
「大袈裟だなぁ……じゃあ、また今度会いましょう。」
「また今度…?」
「1月10日のライブ、来てくれるんでしょ?」
「そうか…ライブか!!もちろん行くよ!!」
「海斗…チケット当たってたの?」
「もちろん!」
「当たってないと思ったのに……でもこれ、クリスマスプレゼント。みんなで使って。」
零は封筒のようなものをくれた。
「開けてもいい?」
それは、3人分のライブの招待状だった。
「特別席だから、2人も誘って来てね?」
喜びで手の震えが止まらない。
「ごめん…俺何も用意してない…」
「いいの。私が勝手にしてることだから。それより、私にとってはライブに来てくれる事が最高のプレゼントよ。」
「ありがとう…零。」
1月10日が待ちきれなくなって来た。
読んで頂きありがとうございました!
では!




