第22話 俺たち親友だ!
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クリスマスパーティー当日、俺と千尋と康平は早めに集まって準備をしていた。
「瀬良さん!それはこっちに置いてください!……康平さん!手が止まってますよ!」
「お、おう…悪い悪い。」
はじめてのクリスマスパーティーということで、千尋は凄く張り切っている。
テーブルや椅子を動かし、店の中も綺麗に飾りつけるよう千尋隊長に指示され、俺たちは動き回って作業をしていた。
「な、なあ千尋。何もここまで盛大にやる必要はないんじゃないか…?」
「私に任せるって言ったのは瀬良さん、あなたですよね?……それに、光莉ちゃんたちも来るんですから飾り付けは豪華にしないと寂しいじゃないですか!」
俺のこの発言がさらに千尋の魂に火をつけてしまったようで、追加で買い出しにも行かされた。
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「…うん!これで完璧です!」
千尋は満足そうに、綺麗に飾り付けられた店内を見てそう言った。
「「や、やっと終わった〜…」」
俺と康平は空気を抜かれた風船のようにしぼみ、椅子に座った。
「ちょっと2人とも、まだパーティーすら始まっていないんですよ?しっかりしてください!」
「だって…こんなにキツイなんて思わなかったから…」
「2人とももうおじさんですね…何か顔が老けて見え始めてきました。」
「おいおい…たった4歳しか違わないのに何言ってるんだ。」
たしかに、年々体力の衰えを感じるシーンが増えたような気がする。
スキーの時もそうだ…たった3、4時間滑っただけであんなに疲れてるとは思わなかった……
「あっ!そうだ忘れてた!…2人ともちょっと待っていて下さい!」
「「ん?」」
そう言って千尋は裏のスタッフルームから少し大きめの袋を取り出してきた。
「千尋…それには何が入ってるんだ??」
「ふふふ……よくぞ聞いてくれました。…じゃーん!!」
「「……っ!!」」
そう言って、テンション高めの千尋が袋から取り出したのはサンタのコスプレ衣装だった。
「千尋…それはいったい何だ?」
「見ての通りサンタの衣装です!」
「…なるほど…で、どこに飾れば良いんだ?」
「飾りません!着るんです!!3人でこれを着て、光莉ちゃんたちを歓迎しましょう!」
「…おいおい、何を言っているんだ千尋……まだ大学生のお前は良いかもしれないが、俺たちはもう26歳なんだぞ(童貞だけど)」
「そうだぞ千尋、海斗の言う通りだ。俺たちはもういい大人なんだから(童貞だが)」
珍しく康平と意見が合った…やはり付き合いが長いからなのだろうか。
「ひ、卑怯ですよ!こう言う時だけ手を組んで……」
「おいおい、それじゃあまるで俺たちが悪いみたいじゃないか〜。なぁ康平?」
「海斗の言う通りだぜ。俺たちはこんな衣装死んでも着ないからな!」
そう、別に俺たちは何も悪いことはしていない。
着たい派が1人、着たくない派が2人…ただそれだけじゃないか…多数決制度万歳!!!
しかしその瞬間、千尋が不敵な笑みを浮かべた。
何か、とんでもない武器を隠し持っているかのような…そんな表情だった。
「……あ〜あ……ここのバイト辞めようかな〜」
「お、おい千尋!それは卑怯だぞ!!」
この脅しは想定外だった!
今千尋に辞められた店が回らなくなるし、普通に寂しい……それだけはまずい!
「おい海斗!こんな事で動じるんじゃない!辞めるなんて冗談に決まっている!!」
「……あ〜あ……光莉ちゃんに康平さんを無視するよう頼んでみようかな〜」
「千尋……それだけは、それだけはやめてくれ…」
26歳のいい大人2人(圧倒的童貞)が22歳の大学生の女の子に完全敗北した歴史的瞬間だった。
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結局俺たちは千尋の脅しに負け、サンタのコスプレを着ることになった。
「あ…言い忘れてましたけど、この衣装ここの経費で落としてるんで。」
「……え?まじ?」
「まじです。3着で1万円ほどしました!」
千尋は親指を立て、満面の笑みでそう答えた。
「何てことしてくれるんだ!しかも3着で1万円って高すぎだろ…」
予想外の出費にうなだれていた俺だが、ここである一つの疑問が浮かんだ。
「おい千尋。3着買ったって言ったけど、夏花さんたちの分は買っていないのか?…それとも彼女たちは衣装を持参してくるのか?」
「い、いえ…光莉ちゃんたちには普通に私服で来てもらうので、彼女達の分は買っていません。」
千尋がそう言った瞬間、俺と康平は動きを止め、ゆっくりと顔を見合わせて互いに頷いた。
間違いない、今俺と康平が考えていることは同じ…異体同心だ。
「おい、千尋。夏花さんたちの到着まで後どれくらいだ…?」
「えっと…30分位です。」
「ギリギリだが間に合いそうだな。」
「瀬良さん、何をするつもりなんですか?」
「千尋……夢を追いかけたいと思った事はあるか?」
「はい…?意味が分かりません…」
「康平!」
「大丈夫だ海斗、もうタクシーは呼んである。」
「流石だぜ、相棒」
「「…じゃあ千尋、行ってくる」」
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…カランカラン…
「あ、帰ってきた。もう、2人ともどこ行ってたんですか?」
俺たち2人は千尋の問いかけに対して無言で微笑み、まるで魔王との死闘から帰還した勇者のような貫禄で店内に入った。
「その袋……まさか…光莉ちゃんたちの分の衣装まで買ってきたんですか!?」
「そのまさかが今君の目の前で起きているんだ。」
「さっきの2人をちょっと格好いいかもって思った自分を殴りたいです…」
「それに、やるからには盛大に盛り上げないとな…それを考えると2万円の出費何て屁でもないさ…」
「さっきと言ってる事違いすぎませんか!!??」
〜〜〜
…カランカラン…
千尋をなだめた後でサンタのコスプレに着替え、3人を待っていると、入り口の扉が開いた。
「お待たせしました〜!!」
読んで頂きありがとうございました!
では!




