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第19話 スノーマジック

よろしくお願いします!

ブックマークと評価ありがとうございます。



時刻は門限の19時。


皆ちゃんと時間通りに帰って来たのだが、見るからにヘトヘトだった。


「スキー場で見かけないと思ったら、2人とも先に帰ってたんですね……私もそうすればよかった。もうヘトヘトです…」


疲れ果てて今にも海岸に打ち上げられたタコみたいになりそうな夏花さんがそう言った。



「どうして2人は早く帰って来たの?」



疲れが全く表に出ていない零が、不思議そうに尋ねて来た。



「実は……私が足をくじいてしまって、それを見つけてくれた海斗さんがロッジまで運んでくれたんです。」



少し赤くなりながら千尋が返答した。


「海斗に変なことをされなかったか…?」


ニンジンを持った康平が、心配した顔で千尋に声をかけた……おそらくニンジンは光莉に断られたのだろう…


「い、いえ!海斗さんがそんなことするわけありません!」


「千尋……」


俺の変態説を強く否定してくれた千尋の言動が内心とても嬉しかった。




➖➖➖➖




そして俺たちはシャワーと夕食を済ませた…流石に夜更かしをする体力が無かったので今日はもう寝る事になった。



シャワーでラッキースケベを期待した人もいるかも知れないが、このロッジにはお風呂場が2つあり、そんなエロ漫画みたいな事にはならなかった。



夜ご飯は、俺たちがシャワーを浴びている間に神山さんが作ったカレーを頂いた。


昼と同様に手伝おうかと思ったが、神山さんにひと睨みされキッチンにすら入れて貰えなかったが、光莉は雪だるま作りで疲れており、夜の食事で会話に参加することができたのは嬉しかった。



そして、それぞれが部屋に入り、就寝した。



➖➖➖➖




寝れない……


日付は進んで深夜1時。

体は疲れているのだが、全く寝れない…


別に康平の寝息がうるさいとかそういうのではない。

逆に康平の寝息は静かすぎて怖いくらいだ…


このまま横になっていても寝られないと思った俺は、外に出て一服する事にした。



昼と違って、夜はまた独特な寒さを肌に感じた…


今日は天気が良かったため、月明かりが雪を照らし、スマホで辺りを照らさなくても周りが見える程だった。



俺は一階の窓を開けてテラスに出て一服する事にした。


特に何も考えるわけでもなく、椅子に座ってただタバコを吸っていた。




ガラガラガラ…


「瀬良さん…?」


俺が2本目のタバコに手をかけたところで、窓開けてテラスに出てきたのは夏花さんだった。



「どうしたんですか夏花さん?夏花さんも寝れなかったとか…?」



静寂の中いきなり声を発せられたので、内心とてもビビっていたが、それは表には出さずに返事をした。



「誰かが部屋を出ていく音がしたので、気になって見にきたんです。」


「ご、ごめんなさい!起こしちゃいました?」


「いえ…私も疲れているのになかなか眠れなかったんです……」


「俺も同じです…」




「タバコ、吸うんですね。初めて知りました。」


そう、隠していたわけではないのだが夏花さんや零の前では吸ったことがなかったのだ。



「ごめん、タバコ嫌いでした?」


「いえ、この業界で働いているのでタバコに抵抗は無いです……光莉は嫌いかもしれませんが。」



「確かに光莉は嫌いそうですね…」




「なんか、2人で話すのはずいぶん久しぶりな気がします…」


「確かに…ここ数日は常に他に誰かがいましたもんね。」


なんだろう…どこかふわふわした気分だ。

冬の夜空の下こうして2人で話しているからだろうか…




「瀬良さん…」



「…何ですか?」



「私…瀬良さんのことになると、ついつい空回りしちゃって全然上手くいかないんです……」



「零がいるとムキになっちゃうんですかね…?」



「それもそうなんですが……私がそうなるのは瀬良さんのせいですよ?」



「え…」


こういう時何て返事していいかわからず、言葉に詰まってしまう…いい加減こういう自分に嫌気が差してきた…



「あの日、瀬良さんに助けてもらってから、私の中で何かが変わったんです」


「お、俺も、あの日からじぶんが別人になった気分なんです。」



「私にとって瀬良さんは……そ、その…ヒーローなんです……」



「夏花さん…」



あ、あれ?

自分で言うのもなんだが、もしかしていい雰囲気なんじゃないか…?



自然と会話が止まり、しばらく見つめあった。



タバコか、それともこのドキドキどちらが体を火照らせているのか、そんな事は自分の中では分かっていた…





「私、瀬良さんのこと……」





「…ねぇ、2人で何やってるの?」


「「!!??」」


そこには、月の光で神秘的に見える零が立っていた。



「れ、零!?起きてたの?」


「夏花が部屋から出ていくのが見えて、あまりにも長かったから気になって探したの……そしたら2人でいい雰囲気になっちゃって……」



「来るならあと3分遅く来てよ……」


「なに夏花?何か言った……?」


「んーん、なんでもない…はぁ〜…今日はもう寝ましょう?」


下を向き、どこか諦めた感じで夏花さんがそう言った。



「いや、俺はもうちょっとここにいます。」



「そうですか。じゃあ零、戻りましょう。」



そう言って、夏花さんと零は部屋に帰っていった。



夏花さんが何を言おうとしたのかは分かった。



ただ、それを口にするとこの関係が終わってしまいそうで…



冬の綺麗な夜空にタバコの煙が寂しく消えていった……





読んで頂きありがとうございました!

では!

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