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第18話 雪山と後輩

よろしくお願いします!

ブックマークや評価ありがとうございます!



リフトから降りた俺たち3人は、康平と千尋が降りて来るのを待っていた。


あいつら、変なことしてないといいけど……


そうやって心配していると、2人が慣れた滑りでリフトから降りて来た。



よかった……康平の顔色も良くなっているし、何もなかったみたいだな。


しかし、その安心は一瞬でぶち壊されるのだった…



「…ありがとう千尋、おかげでスッキリしたよ(吐き気が)」


降りてくるや否や、親指を立てながら康平が千尋にとんでもないことを言い出した。



「「!!??」」

俺と零はお互い顔を見合わせて唾を飲み込んだ。



「いえいえ!手を上下させるだけだったので(背中をさする時に)、私はこの通り元気です!」


千尋は笑顔でそう言った。こ、こいつら…ちょっと目を離しただけでこれかよ……



「海斗…あの2人を同じリフトに乗せたのは失敗だったわね。ごめんなさい。」


そう言って、とんでもない幻を見ているかのような顔で零が謝って来た。



➖➖➖➖



時刻は少し飛んで午後3時。


俺たちは思う存分楽しんで滑っていた。


ここのスキー場は先日オープンした上に、平日ということもあってあまり人がおらず、快適に滑ることができた。



途中、夏花さんが俺に滑りの指導を求めて来たが、零の監視の目を抜け出せず何度も口論になことは言うまでもないだろう……



そんな2人を横目に俺はトイレに行く事にした。



「ふう〜……」


冬の小便はどうしてこんなにも気持ちがいいのだろう…そんな変な疑問を抱きながらトイレから出た時だった。



「…もしかして瀬良さんですか?」


急に男2人組に声をかけられた。


「すみません…どちら様でしょうか?」



「あぁ、ごめんなさい。以前、警察署でお話を伺った榎田です。」


「ど、どうして榎田さんがここに…?」


まさか、さっきの従業員が通報したのか!?

いや、ここは長野県…東京の警察が来るはずがない。


「今日は、少し早めの冬休みで、後輩とここに滑りにきたんです。」



「よかった…そういうことだったんですね…」


「……?」



「ところで榎田さん、後ろの方は?」


榎田さんに話しかけられた時から気になっていたのだが、後ろの人がその後輩なのだろうか?



「あぁ、紹介が遅れてしまって申し訳ない。こいつは俺の後輩で滝枝(たきえだ)と言います。…ほら、お前からも自己紹介しろ。」


榎田さんにそう言われて、後ろの痩せた男が俺に自己紹介を始めた。


「は、初めてまして。榎田さんの5つ後輩の滝枝雅紀(

たきえだまさき)と申します…」


どこか元気のない滝枝さんは、小さい声で自己紹介を始めた。


あれ……この人どこかで……??



「よろしくお願いします。私は瀬良海斗と言って、以前榎田さんにお世話になったものです。」



「ところで瀬良さん、今日は1人でここに?」


「いえ、バイトのみんなで滑りに来ているんです。」


「そうでしたか、お互い楽しみましょうね。それではまた。」



流石にアイドルと一緒に来たとは言えない俺だった。




➖➖➖➖




トイレから戻って皆を見失った俺は、しばらく1人で滑る事にした。


滑り始めてから3時間以上が経ち、俺は滑る感覚をかなり取り戻していた。


「もう少し難しいコースを滑ってみるか……」


普通のコースでは物足りなく感じ始めたので、俺は1回だけ難しいコースに挑戦しようと思い、さっきまでとは違うリフトに乗り込んだ。



「流石に急斜面だな…」


リフトから降りた俺は、その光景に少しビビったが、幸いほとんど人が居らず、こけても迷惑にならないと少しだけ安心した。


「…よし!」


自分に気合を入れて俺は滑り出した。



しかし、案外滑り始めてみるとそんなに難しくなく、こける事なく滑ることができた。


「もうすぐで(ふもと)だ……」


その時、俺は視界の端に足を引きずりながら下山している人を捉えた。


見覚えのあるウェア……間違いない、千尋だ。



「千尋!!大丈夫か!!??」


俺はすぐに駆け寄り、声をかけた。


「瀬良さん…」


辛そうな声だ…怪我でもしたのだろうか?



「何があった!?」


「調子に乗って滑っていたら転んでしまって……足をくじいたみたいです……」


右足に重心をかけているので恐らく左足を捻ったのだろう。


「そうか…救護室が近くにある。おぶってやるから俺に乗れ!」


「い、いいですよ!自分で歩きます!」


「千尋、恥ずかしいのは分かる…でも今はお前の怪我が最優先なんだ。頼む……。」


「…分かりました。お願いします。」



そう言って俺は、恥ずかしがる千尋をおぶって救護室へと向かった。


スキーの板は後でまた取りに来よう…今は千尋が心配だ…



➖➖➖➖



救護室に到着した俺たちは、事情を説明し、千尋の応急処置をしてもらった。


救護室の人曰く、捻挫の可能性が高いという。


千尋も先程のようにそれほど痛がってはいなかったので、明日病院で見てもらう事にした。



「残念だが千尋、今日はもう滑れないな…」


「調子に乗った罰ですね…」

千尋は笑ってはいるが、その顔はどこか寂しそうだった。



「俺ももうたくさん滑ったし、一緒にロッジへ帰ろう。」


「そんな…まだ19時まで2時間もありますよ?私のせいで瀬良さんに迷惑かけたくないです……」


「あのなぁ千尋、そこは後輩らしく甘えればいいんだよ。それに……もう十分滑ったし、俺はもう大満足だ。」



「瀬良さん…」


「ほら、乗れよ」


そう言って俺は、千尋をおんぶするためにしゃがんだ。


「ありがとうございます…」


「今度は恥ずかしがらないんだな。」


「はい…今はおんぶして欲しいなって思ってましたから……」




そこから俺たちは、お互い喋らないままロッジへ帰った。



康平には後で謝っておこう……





読んで頂きありがとうございました!

では!

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