第12話 クレイジーカップル
よろしくお願いします!
零と夏花さんが交互に店を訪れる日々が続き、今日で1週間になろうとしていた。
毎日来たら俺の迷惑になるのではないか、彼女たちのその気遣いが奇跡的にこの2人が交互に訪れるという状況を生み出していた。
「順番でいうと今日は零の日か…」
俺は、ミスこそしなくなったものの、この1週間ずっと上機嫌に働いていた。
「康平さん、もうかつての瀬良さんは戻ってこないのでしょうか……?」
「まだ希望を捨ててはダメだ。頭を殴られたのが今になって響いてきただけで、また元に戻るかもしれない、、」
「だって…もう1週間ですよ…?」
「う〜ん…しかし他に何か理由が考えられるとすれば……あっ」
「あっ…」
「「……女か」」
??何か視界の隅で2人がコソコソやっているが、何をやっているんだろう?
まさかあの2人、付き合っているのか……?
いやいや、そもそも康平は3次元に興味が無いし、あのルーズさは千尋のタイプではないだろう。
まぁでも…そんなことどうでもいっか!
仕事仕事。
「…確かにそうですね。いや、もうそれに間違いありません。」
「あぁ、しかもよく見てみろ。今まで気がつかなかったが、海斗の鼻の下の長さが尋常じゃない程伸びてやがる……」
「でも康平さん、瀬良さんって朝から晩まで仕事やってるのにそんな時間なんてあるんですか…?」
「確かにな…朝は現実的に厳しいだろうし……もしかして夜にこっそり会っているんじゃないか??」
「ふむふむ…これはもう調査するしかないですね。」
「あぁ。」
気にはならないと言ったが、やはり2人がこちらをチラチラ見ているのがどうしても気になって来た俺は、後ろからこっそりと2人に近づき会話を盗み聞きすることにした。
まぁどうせ、お客さんの愚痴でも言い合っているんだろう……
「康平さん……今夜空いてますか…?」
!!!???
う、嘘だろ!?
まさか…本当に付き合っていたのか!!??
しかも千尋から誘っているじゃないか!!あんなボサボサロン毛2次元オタクのどこに惚れたんだ!?
いやいや、焦るな……俺の勘違いかも知れない。
「あぁ、もちろんだ。集合場所は、公園でいいか?」
「はい、大丈夫です!!」
公園…?おそらく〇〇公園のことだろう…
……はっ!!!あの公園は確か…特殊な性癖を持った者たちが夜な夜なそこで行為に及ぶという……そんな都市伝説を聞いたことがある。
まさかこいつらが…?
いや、でもそこに集合したからと言って変な事をすると決まったわけじゃない。
俺がこいつらを信じないで誰が信じるんだ…
「…ふふふ笑…こういうの初めてなので楽しみです!(尾行が)」
え……???
「ちゃんとバレないように変装してこいよ(瀬良に)」
…ふー…あーこれ完全にクロだ。
こいつらできてやがる。しかも相当クレイジーに。
だから俺の目を気にしてコソコソしてたのか…
というかここで話さなくてもいいだろ……
でも俺にこいつらの愛についてどうこう言う権利はない。
ここで俺がするべき事は、こいつらの恋を温かく見守って協力してあげる事じゃないか。
「おい、2人とも!客足も減ってきたし、今日はもう上がっていいぞ」
せめて今日くらいは早くバイトを上がらせてやろう……
「…え?でもまだ19時ですよ?」
「いいんだ。後は俺1人で何とかするから。」
「な、何でそんな温かい目で見てくるんですか!?…でも瀬良さんがそう言うなら、上がらせてもらいますね。」
そう言って、クレイジーカップル康平&千尋は俺の粋な計らいによっていつもより早く退勤した。
「幸せにな……」
俺は2人が出て行った後、扉に向かってそう呟いた。
【一方店の外では】
「…あれは完全にクロだな。」
「はい、私たち2人を早く上げて何かするつもりですね。」
「あぁ、つまり俺たちは邪魔者って訳だ。」
「許せない。私達に隠し事をするなんて……」
「とにかく、今夜奴の犯行現場を取り押さえるぞ。時間は後で連絡する。」
「はい!それじゃ康平さん、また後で!」
そういって2人は拳を合わせ、一時解散した。
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では!




