百合と向日葵
街から遠く離れた田舎、さらにその奥にある過疎化が進んだ村には、唯一の子供として2人の少女が住んでいました。
他の同年代もしらず、いつも2人で楽しく遊んでいます。
残暑残るこの時期は、夏用の秘密の遊び場に行く事が多く、晴れた今日も2人の姿がありました。
澄み切った川の水、大きい石からだんたんと小さく砂になっている川辺、そよ風で揺らぐ木々の葉、太陽の光を浴びて青々と育った芝生、絵に描いた様な光景に生き物たちと自然が織りなすBGMは、まるでおとぎの国の様な空間を生み出しています。
おそろいの白いワンピースに少し日焼けした肌を覗かせ、水遊びやサワガニを捕まえたりしていつも遊んでいます。
「ユリちゃん、今日も暑いね~。」
「だから2人だけの秘密の場所に来たんじゃない。」
「そっか~。」
「もう、ヒマワリは、いつもポワポワしているわね。」
「エヘヘ~」
「褒めてないから。」
「(゜ぇ゜)」
レジャーシートを敷いて、拠点となるスペースを確保します。
その後は、時間が立つのも忘れて、飽きる事無く遊び続けています。
「ユリちゃん、髪の毛伸びたね。」
「暑いから切りたいんだけどね。」
「ユリちゃんの髪、黒くて綺麗だから切ったらダメだよ! こうすれば、ほら可愛くなったよ~♪」
ヒマワリは、リュックの中に入れておいたシュシュを取り出し、ユリの髪をツインテ―ルの纏めました。
少し、頬を染めてユリは、視線を外します。
「ありがとう。」
「どういたしまして~」
「さぁ、遊びの続きするわよ!」
「は~い」
「その前にお洋服汚れちゃうから脱いじゃおうか?」
「でも~」
「平気よ、誰もいないんだから。」
「うん!」
2人は、あられもない姿になり、浅瀬へと入って行きます。
まだ育ちざかりの肌に水滴が付き、太陽の光が反射し、神秘的な光景を描いています。
「きゃっ、ユリちゃん冷たい~」
「ふふふ、ぼ~っとしているからよ!」
「えい! きゃ~」
つるん バシャン
「ちょっと、ヒマワリ大丈夫?」
「えへへ、転んじゃった」
「もう、気を付けてよね。 はい、手」
「ありがとう~」
「少し、重くなったわね?」
「えっ、太ってないよ~?」
「う~ん、また少し、お胸が成長してないかしら?」
「そう言えば、ママが最近スポーツブラじゃ、きついかしら?って言ってたよ~」
「ぐぬぬ、ここか!」
「きゃ、ちょっとユリちゃんやめて、くすぐったいよ~」
「あなた本当に日本人なの? えい、えい!」
「ちょ、ちょっと、やめ、パパもママも日本人だよ~~~」
父も母も生粋の日本人なのに洋風な姿のヒマワリは、ユリより少し、大人びたスタイルをしていました。
しばらくじゃれ合った2人は、息を切らして、芝生へと寝転がりました。
「もう、ユリちゃん、体が熱くなっちゃたじゃない~」
「あなたが悪いのよ。」
「えぇ~」
そんな2人に忍び寄る影が・・・・。
カサッ
「誰!」
「えっ? ユリちゃんどうしたの?」
「今、誰かいたのよ!」
「本当?! どうしよう、私達、服着てないよ?」
「ヒマワリは、私が守るわ!」
「ユリちゃん♪」
ヒマワリは、ユリの後ろに隠れて、音がした方を伺っています。
「キュー?」
「えっ、兎?」
「なんだ、脅かさないでよ。」
安堵した2人が油断した隙に兎は、2人の下着を咥えて持ち去ってしまいました。
「キュー!」
「あ、ちょっと、待ちなさい!」
「私達の下着かえして~」
「どうしよう、お家に帰れないよ~」
「お家に帰ったらこっそり新しい下着を取って来るから大丈夫よ!」
「ありがとうユリちゃん~」
2人は、結局親に見つかり、叱られたそうです。
そして、山の方では、下着を履いた兎がいたとかいなかったとか。