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異世界よ!飯なら俺の飯を食え!  作者: 霜降りトマト
8/8

協調

「ん~?みーと??」


「ミートスパと覚えてもいい。作りながら教えよう。まずは粉にした麦の上から水をかける…ほぉ、()んで綺麗な水だな!」


文太は小さなタルを覗くとタルの底が鮮明に見えてまるで入っていない様な錯覚を覚える程純粋度が高い。


「この近く、ピュアスライムがいるよ~。ピュアスライムはきたないみず、きれいにする。きれいになったらこのみずいっぱいとれる。」


いちこは小樽をパシパシと叩き説明する。


「素晴らしい!綺麗な水は旨さの(みなもと)。」


文太は小さなタルから水をお椀に似た物ですくい粉にした麦の上からかける。

手で混ぜながら水を足して混ぜる。数分後粉がモチモチした生地に変わった。


「ここから木の棒を横にして平たく伸ばす。」


木の棒を横にして生地を押し付けてコロコロ転がし伸ばしていき何回か繰り返す。


「そして端から細かく…切る!」


伸ばした生地を細く均等に切っていくが少し文太は驚いた。


(混ぜこねてる時もそうだが妙に馴染むな…このナイフも使いなれた包丁の様にしっくりくる。)


文太は心の中で考えるもすぐに料理に集中する。


細かく切られた生地を潰さない様に優しく転がし丸みをつける。


「いちこよ。これを日に乾かせば乾麺(かんめん)になり保存も長く保てる。」


「このフニフニが~?」


「さて、このフニフニは()でればパスタの完成だが見極めにはコツがいる。」


いちこに指示して火の上で沸騰(ふっとう)している鍋に細かくした生地を入れていく。生地はゆでのぼる圧で上下に動いていた。


文太は自分の手の甲に軽く指をトントン当てているが目線は鍋に向けている。いちこが文太を見ていると突然文太は鍋に腕を伸ばし一本の生地を(つか)んだ!


「アチチチ!…よし、いい頃合いだ。いちこよ。これを食べてみろ。」


いちこは言われるがままに茹でた生地を食べてみた。いちこは驚いた。味に驚いたのではなく食感に驚いたのだ。


「フア~、ナニコレ~!かむとはずんでムチムチしてる~」


「フム、俺の予想した感想だな。アルデンテにしたかったが…時間がわからんからな。しかし案外出来るものだな。」


文太は頷きながら茹で具合を確認していた。


「しかし何と綺麗な水だな!茹でた生地の油が全くない…」


文太は茹でた生地を細い木の棒を(はし)代わりに使って別な器に入れていく。その傍らにドスンと物が置かれる音が聞こえた。


「狩ってきたブモ。」


▼▼▼▼


名:ラビラビ(死骸)

発見難易度:G

食用:鮮度(100)


▲▲▲▲


ブルテリが倒したラビラビを持ってきたようだ。

最初見たヤツは腐敗がひどくあまり見なかった文太だが食材となるときっちり調べ始めた。


「肉がきたな!ふん…ふん…ウサギの耳があるまんまるなモコモコ生物だな…毛と耳は邪魔だから切り取って…うむ?毛に何かあるな?種か?」


文太が切り取ったラビラビの毛からヒマワリの種に似た物が絡まっていた。横で見ていたいちこが教えてくれた。


「それセピアラの種だよ~花が咲く時にパーンって種を飛ばして咲くんだよ~」


▼▼▼▼


名:セピアラの種

発見難易度:G

食材:鮮度(95)


▲▲▲▲


「ほぉ、食用?」

文太がセピアラの種を少しかじって確かめると文太の目は見開かれた様に力が入った。


(こ、この味は!!!)


「かなりピリピリするでしょ~?あたしらはあんまり食べないだよ~」


「いちこよ……この種は集める事は簡単なのか?」

文太は手をワキワキしながらムフーと鼻息荒くいちこに聞いた。


「ん~そこらじゅうにいっぱい咲いてるから種ならすぐに集められるよ~」


「ウム!ならば余っているゴブリン方に集める様に頼む!!」


「は~い」といちこはゴブリンがいる場所に話に言った。

近くで見ていた理子が文太に話しかけた。


「何興奮」「理子よ!!見ろこの種!!ハッハッハッ、この種の味はまさに」

「耳元ではしゃぐな!バカ!」


理子にゲンコツと名の一喝されて正気を取り戻す文太。


「ウムム…すまん。我を忘れていた…ちょっと待ってくれ。」


文太はすり鉢でゴリゴリと種を砕き、細かくなった所で理子に言った。


「つまんで食べてみろ。」

「…」


理子は怪しむ様に文太を見た後に細かくなった種を食べてみた。


「!?ペッ、ってこれ胡椒(コショウ)じゃねぇか!ゲホッ」


「そう!まさしくペッパー!我は調味料を得たり!ハッハッハッ!」


文太は高笑いしながら笑みを浮かべた。


「さて…他に調味料がほしいところであるが…無い物ねだりしても仕方ない!お?帰ってきたないちこよ。」


セピアラの種を調達する様に伝言したいちこが文太の即席な調理場に戻ってきた。


「空いてる仲間に伝えたよ~腹の足しにって何人かは持ってたからもらってきた~」


「ウム!早速ソース作りにかかろう。」


文太は先程潰して粉にしていたセピアラの種を小さい皿に移してスピルベリーをドサッと入れる。


「いちこよ、ティンク麦を砕いた同様にドロドロになるまで潰してくれ。」


いちこに潰すことを言うと文太はモラカブとママメルキノコをナイフでカットして、さらに耳と毛を取り除いたラビラビの肉をもカットする。


「さて焼いていくか…フライパンがほしいところであるが幸いにも鍋がある。」


先程()でていたなべを外してもうひとつの鍋を土台の火で温める。カットしたモラカブとママメルキノコを入れて炒めて、少し炒めた後にカットしたラビラビの肉と粉にしたセピアラの種も入れていく。

炒めてる最中にいちこの作業が終わり声をかけてくる。


「潰し終わったよ~」「ウム、それ事こちらに」


文太は炒めてる鍋にすり鉢で潰したスピルベリーを投入して混ぜ合わせる。


「後は味の方は……ん~やはり足りないが予想通りだ!旨味も出ている。いちこも味わってみろ」


(はし)代わりした木の棒の先端に混ぜ合わせてソースにした物をいちこの手の甲に落として舐めさせた。いちこは少し見つめた後にパクッと手の甲についたソースに口に含んだ。


「…お、美味しい~!何これ!?」


「これでミートスパはいいだろう。後は…シンプルに焼き肉を作るか。」



































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