腐が仲間に加わった。どうする?
18.1.26 タイトル改定
傍から見たら三角関係、中身は熱い友情と腐った欲望。その名は!!
「オリオンさん?」
「気にしないで上げて、彼は病気なんだ…。」
「大事なものを盗まれたお前には言われたくない。」
「ななな、何を言ってるんだい?オリオン君?」
「それは大変ですわ!いったい何を盗まれたんですか?」
焚き付けておいてなんだが、動揺する純情の手を握る腐女子。それを見ている俺を横目で見て微笑む悪魔
「しゃ、サクラさん。て、てててて!」
「あ、すみません。私ったら…。」
そう言って、サクラはミストの手を顔を俯かせ恥ずかしそうに離す。
「あっ…。」
残念そうな顔をするミスト…。お前…。
「こうですよね!!」
「おい?なぜ俺にミストの手を握らせる。」
「え?それは眼福ですから。」
…あれ~、おかしいな~?会話のキャッチボールが成立しないぞ~。
「温かい…。」
お~い、ミストお前わざとか?そうなんだよな?
「はわわ。」
ほら~、燃料投下するから…。サクラが手で顔を塞いじゃったよ。勿論、指の隙間からこっちを見ているけれど。それを見て、頬染めんな馬鹿!
「ふんっ!」
取り敢えず、握ったままの手を振りほどく。
「「あっ。」」
お前らもうデキてるだろ?
「瓦礫の撤去は終わったな。」
それを無視して、会話をする。
「そうですね。」
「ああ、うん。そうだね。」
ああ、会話のキャッチボールが成立するって素晴らしい。
「彼、大丈夫ですか?」
「サクラさん、気にしなくていいよ。オリオンは馬鹿だから。」
ああ、会話のキャッチボールなんてなかったんだ…。
「そうですね、馬鹿は放っておきましょう。」
「そうそう、あっでも。オリオン思考に夢中になってないで、戻ってきてくれる?」
ミストに呼びかけられトリップしていた思考を現実に戻すために、メニューを…。
「何ガチリアルに戻ろうとしてるのかな?」
ログアウトボタンを押す前に、俺の右手はミストに捕まれていた。
「なななな、何のことかな?」
「ごまかし下手過ぎない?」
「ああ、阿吽の呼吸で繰り返される行動が―――――。」
俺とミストのやり取りで、サクラがトリップに入った。今の内だな…。
「ミストとサクラが集めた瓦礫を、メニューの《取引》から俺に渡してくれないか?」
「急に素だね。」
こうでもしないと進まないから、仕方なかったんだ!お、俺だってこんなことしたくなかったさ。でも。でもな!これが最善だったんだ!!
「そうですね、≪取引≫を取り敢えず終わらせましょう。時間も時間ですし。」
ちっ。意外と早く戻ったな…。やはり同類:腹黒な気がする…。
それは置いといて、サクラが言うように“ゲーム時間”で現在は、深夜0時。ゲーム開始時間はリアル共に正午であったことと、運営開始キャンペーンにより時間が倍速になっているので、リアルでは午後6時ぐらいだろう。
「そうだな、夕飯を食べたい時間だし。《取引》を終わらせてログアウトしよう。」
「だね。」
そう言って、俺達はメニューから《取引》を選びそれ専用の画面を呼び出す。
この《取引》画面。相手を選択した後に、その相手に渡したい物とその値段を画面内で選択する。その後、相手が欲しいと思ったものを、金で交換するものだ。
また物々交換の場合は、メニュー内の《交換》画面から行うことができる。
「と言っても所持金は、ほぼゼロだから無料で《取引》するんだが。」
「ふふ、そんなこと言わなくても分かって、あっ。」
「どうしました?」
サクラが、妙な所で話を区切って、俺の取引画面に…。
「ごめんなさい、間違えて値段を入れてしまいました。」
申し訳なさそうにそう申告するサクラ。
「ああ、そんな気にすることないですよ。それは一回それを取り消してしまえばいいので。」
「そうなんですね。ありがとうございます、ミストさん。」
ミストに対して、バックに本当に花が咲いたと錯覚するような笑みを浮かべるサクラ。それ“だけ”をみれば、ただのドジだ。
「さっきから黙り込んでどうしたのさ、オリオン?」
そう、俺は眉間がより顔全体を覆う毛玉は軽い膨張をしている。唯一毛玉から伸びている鼻にも、縦皺が刻まれているだろう。
「お前…わざとだな?」
「「なっ?!」」
「な、何を言ってるんだい、オリオン。彼女がそんなことをするわけないだろう!」
「なぜそう言いきれる?」
「そ、それは…、彼女がそんなことして、メリットが無いじゃないか!」
「そうだな。普通の人間は、こんなことをしてもデメリットしかない。」
そう、“普通”の人間ならな。
「そ、それじゃあ。」
「いいえ、ミストさん。もう良いのです。オリオンの言う通り、私は狙ってやりました。」
「よ、呼び捨て…。じゃ、じゃない。そんな何で、あなたが?!」
そうだな、ミスト。同意見だ。テメェ、何さらっと呼び捨てしてんだ、あぁん?という意味を込めて睨む。
「ほんのでき心だったんです。オリオンが、まさか気付くなんて。」
「お前の敗因は、俺ですら無知と侮ったことだ。」
「ふっ。私もまだ若輩者だったってことですね。あの数字の羅列の意味が分かるとは…。」
そう言って、サクラは右手を差し出す。
それを、俺は右手の甲で叩く。
「ふざけるな。だがお前とは、今度の同人誌即売会で良い酒が飲めそうだ。」
「っ。ええ、その時はぜひ。」
サクラは今迄の作った笑顔じゃない、本心からの笑顔を見せた。不覚にもそれは綺麗で一瞬見惚れてしまった。
「サクラ、まぁなんだ。これからよろしく。」
俺は、一度叩くために振りぬいた右手の平で、彼女の右手を握った。
これで、サクラがめでたく俺達の正式なパーティーに参加した。
「えと、どういうこと?」
一人は、状況についてきてないようだが…。
思いついたネタがあるのに、現時点で書けないジレンマ…。
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