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城の目的

 ところで、この狭い日本にどれほどの数の城があるかご存知であろうか?

都道府県47に各5つぐらいあって200~300ぐらい? それとも多く見積もって1000ぐらい?



 何と驚くなかれ! その数、3万~4万ほどあるそうだ。



 もっとも、その中で立派に城や砦と言えるものは数千ほどらしいが。

それにしても、なぜこんなにも大量の城が作られたのだろう。



 数の多いのは、領地の各地の物資を集積するための砦である。

鉄道発明以前の陸送は人力や荷馬車を利用した運搬であるが馬車はとても効率が悪い。

なにせ1日に8時間走行の計算で200kgの荷物を40km運ぶのが限度だからである。

その癖、1日当たり15kgの食糧を要求するのだから始末に負えない。


 そのため、洋の東西を問わず城の数はとても多かった。

ある国王は生涯で100以上の攻城戦を経験したというから、城から城が見えたとしても不思議ではない。

恐らくは40kmの間隔で何かしらの砦があったのではないだろうか。

ゲリラや強盗に襲われてもどこかの城にすぐに逃げ込めるという算段である。



 だが、恐らく最も多いのは戦争の際に”使い捨てにされる城”である。

有名どころでは秀吉が一夜にして建てたという墨俣一夜城だろうか。


 墨俣城を調べると、立派な石垣と天守閣を備えた城が出てくるので


「ファッ! 一夜でこんなん作ったの!? サルの土木技術力は化け物か!!」


と思うかもしれないが、秀吉が作った墨俣城は、

家数軒を木造の柵で囲んだだけみたいな小さな代物である。


恐らくは、こんな感じの出城や本陣の防衛のための小城が各地に作られたのではないかと思われる。






 お城の目的は様々である。

地域の行政機関としての城、領主や大名の力を見せつける為の城、群がる敵を跳ね返すための城。


 城には二つの顔がある。

 領民や周辺勢力に見せるためにある”見せる城”

これは安土城・首里城・二条城などである。

変わり種として、ノイシュバンシュタイン城やシンデレラ城がある。


 次は敵の足を引っ張り、殺すことに注力した”殺る気に満ちた城”である。

被災してしまった熊本城・勝蓮城など大部分の城はこちらに属する。


ここでは”殺る気に満ちた城”について説明していきたい。

殺る気に満ちた城———城塞としての究極の目的は一つである。


それは『可能な限り時間を稼ぐ』それだけである。


 よく言われるのではないだろうか? 『増援のない籠城は必ず負ける』と。

しかし、実際には攻撃側は一枚岩でない事は多いし、予定を大きく超えると負担はとても大きくなる。

あなたも『予定が遅れてるから、終わりまで連勤よろぴくね』と言われたらキレたくなるだろう。

そして、この場合の給料は予定が完了されない限り絶対に払われない。


 それに、往々にしてある国が巨大化する事を快く思わない国というモノは非常に多い。

あの時は増援出さないと回答したけど、やっぱり出そうとなることもしばしばである。


 コンスタンティノープルは古代ローマの系譜であるビザンツ帝国の首都である。

コンスタンティノープルの陥落は、20万の軍勢に対し7000の兵で実にひと月以上も善戦した戦いだ。

栄華を誇った古代ローマの末裔たち、とは言えどもこの時点でビザンツは完全に斜陽であり、かつての栄光の残り香によって生きながらえているに過ぎなかった。


 宗教的にも孤立気味で、頼れる増援はなし。

傭兵の紹介(賃金は自費)だけや、商船の護衛として入ってきた戦艦二隻とその船員のみというあり様。

それでも、彼らはひと月も戦い、オスマン側も被害の多さに撤退論も出ていたのだ。


 ”if”の想定が立つだけでも、その奮戦が無意味であるなどとどうして言えようか?



 そもそも歴史において根本的に大きな間違いがのさばっている。

それこそが『戦わずに勝つ』という考え方そのものである。

孫子は恐らく究極の目的として例示したのだろうが、それを簡単な手段だと考えている人間が実に多い。

『戦わずに勝つ国』を創るために戦って勝つ必要があるという事だ。


『戦っても確実には勝てないので降伏する』、『負ける可能性があるので常に譲歩する』


クソくらえである! それらをすべて受け入れていたら小国はただの大国の奴隷ではないか!!

それに対しNOを突き付けるのが城塞という道具である。


『ベルギーは道じゃない、国だ!』この言葉を忘れてはいけない。


えっ? 結局、石ころをどかす様に占領されたって? 小国が大国に抗うのは難しいね⋯⋯⋯

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