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幼なじみ4人組

 村の良いところ......。


 自然がいっぱい。

 水が美味い。

 星が綺麗。  


 もう思いつかねぇ......。

 

 村役場の机で長耳 わたるは、村のアピールポイントを考えながら机に突っ伏していた。


「近年、稀にみる嫁不足を解消しなければならない!」


 そんな村長のお言葉で、嫁に来てくれる女性を何とか呼び込もうと悪戦苦闘しているところだった。


 田舎は大体、自然がいっぱいで水が美味くて星が綺麗なんだよ!


 『米は豊作、嫁不足!』


 こんな言葉をパソコンの画面に張り付けて遊んでいたら上司に無言で頭を叩かれてしまった。


 ちなみに、この上司は女性で独身。

 見た目もまぁまぁと言った所だが、俺は勘弁だ。

 性格がキツすぎる。


 まったく、あんたが率先して嫁に行けってんだよ。

 

 業務の終了を知らせるチャイムと共に俺が机を離れると、


「そんなんで嫁さん来るの?」

 と上司に嫌味を言われてしまう。


「すんません、今日青年団の集まりなもんで」


 俺はへこへこと頭を下げ、そそくさと役場を出ていった。


****


「おう、亘! こっちだ、こっちだ」


 幼なじみの『横耳 武』が奥のテーブルから手招きをしてくる。

 相変わらずのムキムキだ。


 他の2人の幼なじみの『奥耳 太一』と『耳森 啓吾』も先に来ていたようだ。


「遅かったじゃねえか、またキツい上司に絞られてたか?」

「まあ、そんな所だ」


 そう言ったのは『奥耳 太一』

 去年、俺の上司に告白して振られているが誰にもバレていないと思っている。

 まあ、お調子者だが憎めない奴だ。


「何飲む? ビールでいい? あ、料理も何か頼もうか? はい、箸」

「お、おう」

 

 色々と言って来たのが『耳森 啓吾』

 オネエ疑惑もあったが、ちゃんと女に興味があることを俺達は知っている。


 男にも興味があるかは知らない。


 結局、幼なじみと飲むだけなのだが、全員青年団に所属しているので嘘は言っていないだろう。


 バレたら嫌味は言われるだろうがな......。


 大いに飲んで嫁不足を嘆きながら飲み屋を出ると、見慣れた満点の星空が広がっていた。


「長耳村は良いところだ~!」


「良いところだ~!」


「誰か嫁に来てくれ~!」


「くれ~!」


 俺達は空に向かって叫んだ。


 そして居酒屋のおやじに怒られた。


 親父さんは奥さんがいるから、俺達の気持ちは分からねえさ......。


 ぶつくさと言いながら酔っぱらい4人で仲良く田舎道を歩いていると。

 

 ガクンッ!


 地震はいつも、突然にやってくる。


 かなり大きな揺れに、俺達は酔いが醒めてしまった......。

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