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10ページ目 主人公、攻略法を模索するの巻

今回は前回の反動で短い、です。


今日が最終日、である。


若干取り乱した感はあったような気がしないでもないが、何はともあれ2日目を乗り切ることができた。そこが重要なのだ!


……ギムさんに抱き着いてワンワン泣いたり、ギムさんにそのまま優しくなでなでされたり、帰り道にベート達が俺とギムさんの会話を温かい目で見守ってた、なんてことはなk、なかっt、ありましたあああああ!


なんてことを部屋のベットの上でゴロゴロしながらやっと消化して今に至る。


消化不全で胃がキリキリっとする。ギムさんは劇薬っぽいから今の俺には危険。


ということで教会にこっそりひとりで向かう。日はまだ南中していない時間帯である。


ギムさんはここのところ遅寝早起きの生活がたたって今頃はベットの中。協力は嬉しいけど、無理はしてほしくない。


さて、1人で出発しようと思ったらクラウスに見つかってしまった。まあこれ幸いと警護を頼んだけど。


1人で行きたかった理由は自分の立てた仮説を実証、というか大きな賭けに出たかったからである。


当初はあのまま3日間普通に隠れ続けるという方法で行けると踏んでいた。実際1日目は何も問題はなかった。しかし、2日目で悪魔たちに姿を見られた。このままでは勝ち目は、ない。


というのも、3日目が最大の山場だったからである。


物語では、3日目は悪魔たちが最初から全力で探しに来るのである。


悪魔としては2日続けて逃げられたのだから初めから人間を探し始めるのは必然であろう。しかし、1時間探し続けても悪魔たちは人間を見つけることができなかった。そう、主人公は悪魔たちの長時間にわたる追跡から逃げ切り、そのまま悪魔たちを棺に封じ込めるのだ。


そして、その方法とは!


「書いてないんだよな、方法」


結果のみ書かれているのである。どうした絵本!最後までしっかり描写しとけよあほーーー!


というわけで俺は3日目については隠れて過ごすつもりだったのだ。もう無理だけど。


最後の悪魔の言葉。あれは冗談で言ってきたものではない。


というわけで、俺は今から望み薄な切り札を探しに教会に向かっている。


まあ、確証はないけど、可能性なら見つけた。それを使えるかどうかはこれからの俺がうまくやれるかどうかにかかっている。


そんなわけで2人で麦畑通りを進行する。麦畑沿いのあまり舗装されてない畦道、では長いから麦畑通りと勝手に命名。


すると、前方から人が歩いてくる。あちらも2人のようだ。


「こんにちは、アーニェちゃん」


「あ、キョウイチさん!こんにちわっ!」


にこぱぁっ!、なんて効果音が聞こえてきそうなほど笑顔の花が満開のアーニェ。


相変わらずカワイイ可愛い、かわいいんじゃああ!


なんて考えてると隣のクラウスが困ったオーラを出している。すまんすまん。


「こちらはブルーム城で衛兵をしているクラウスだよ」


「よろしくな、嬢ちゃん」


「はい!こちらこそよろしくお願いしますね?

それとこっちは弟のクータです!」


すると、今までアーニェに手を引かれていた小さな男の子と目があった。

くりっとしたどんぐりのような目に短くカットされた赤茶色のサバサバとした髪が印象的な子だ。


「よろしくね!クータ君」


「……おにーちゃんがきょーいち?」


「ん?そうだよ、俺が恭一ね」


するとクータはおもむろに俺を指さして、


「ねーちゃんいってたかっこいいひとな!かっこいいってねえちゃんずっといってた!」


なんて仰るのである。

日中の麦畑を沈黙が支配する。

最初に再起したのはアーニェ。


「あ、あはは!く、クータってばおねむなのかな?早く帰んなきゃね?」


「くーたねむくないよ?それよりねーちゃん、かっこいいっていってたきょーい」


「あ、お父さんから仕事!仕事任されてたんだった!

ごめんなさいキョウイチさん私たち仕事あるので帰りますごめんなさいぃ!!」


弟を背負いつつ足場の悪い畦道で華麗なスタートダッシュを決めたアーニェは一陣の風のように去って行った。最後なんて顏真っ赤だったんですけど……。


「うむ。お前、後ろに気をつけて生きろよ……?」


クラウスがさも納得したとばかりに頷いていたのでイラッとしました。


顏から赤みが取れてきた頃に教会に到着した。

教会にはできれば一人で入りたい、とクラウスに相談すると、


「お前が姫様をどうこうすることはないんだろ?なら問題はない」


と言ってきた。俺は素直にありがとうと言った。


そして俺は道すがら考えてきたことを胸に、教会に単身乗り込むのだった。

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