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第246話 妖精と凍結世界

コミカライズ連載中です。是非、ご覧ください。リンクは活動報告から!


今回、切り所が見つからず、少し長くなっています。

 ネクロ・リードの身体が崩壊すると、眷属だった少女達から歓声が上がった。

 ほぼ全員が嬉しそうな表情を見せていたが、極一部の少女は悲しそうに見えた。


「コルネリア、浮かない顔をしてどうしたんだ?」


 悲しそうに見えた少女の1人、コルネリアに事情を聞いてみる。


「今から、本当に身勝手なお願いをする」

「何だ?」

「私を殺して欲しい」

「はぁ!?」


 それは流石に想定外のお願いだ。

 コルネリアの声が聞こえた少女達は笑みを消し、コルネリアを不安そうに見つめた。


「……理由を聞かせてくれ」

「私はこれ以上、生きた死体リビングデッドとして苦しみながら過ごしたくない。100年前のあの日、私はネクロ・リードに殺された。死者は死者として、大人しく土の中で眠るべき。……当然、これは私だけの主張であり、他の子に押し付けるつもりは一切ない」


 コルネリアにとって、生きた死体リビングデッドとして過ごすことは苦痛のようだ。

 そこで、コルネリアと同じく悲しい顔をしていた少女の1人が前に出てきた。


「お願いです、わたしも殺してください!わたし、化け物として生きていくのは嫌です!ネクロ・リードの魔法で作られた汚らわしい身体で生きるくらいなら、死んだ方がマシなんです!」


 少女達の間にざわめきが広がっていく。


「同じような考えの子が居たら、手を挙げてくれ」


 俺が尋ねると、ポツポツと手が挙がっていく。

 悲しそうな表情をしていた子は全員が手を挙げており、コルネリア達の言葉を聞いて、同じような考えを持ってしまった子も居るようだ。

 そして、合計30人の少女が手を挙げた。約10%を多いと見るか、少ないと見るか……。


「初めに言っておくと、眷属になった子を俺の手で殺すというのは有り得ないことだ」


 縁があって俺の配下となった者を、俺自身の手で殺すなんて有り得ない。


「分かっている。直接殺して欲しい訳じゃない。ただ、死ぬことを許して欲しいだけ」

「魔力供給がある限り、生きた死体リビングデッドは簡単に死ねないぞ?」

「それなら、魔力の供給を止めて欲しい」

「それ、ネクロ・リードと同じ死に方だけど良いのか?」

「うっ……」


 手を挙げた少女達の顔が嫌悪感に染まる。

 ネクロ・リードへの嫌悪感は、同じ死因すら忌避する程に強いらしい。


「困った。どうしよう……」


 俺としては、死なないで欲しいとしか言えない。

 しかし、強く死を望む者を命令で無理に生かすのも酷だろう。

 こうなったら、納得して生きてもらうよう説得するしかない。


「もし、人間に戻る手段があるとしたらどうする?」


 生きた死体リビングデッドであることが嫌なら、『蘇生アンク』……違う、『再誕リバース』で人間に生まれ変わらせることなら可能だ。

 生きた死体リビングデッドのまま生きることが問題なら、これが対策になるはずだ。


「俄には信じられないけど、貴方が嘘を言うとも思えない。……ただ、私は生き返りたい訳でもない。生きた死体リビングデッドにせよ死者蘇生にせよ、道理から外れていることに変わりはない。私は生物としてあるべき姿に戻りたいだけ」

「そうか……。人間に戻れるなら死ななくていい子は手を下ろしてくれ」


 俺がそう言うと、20人の少女達が手を下ろした。

 しかし、コルネリアを含む10人の少女は手を下ろさない。ここからが正念場だな。


A:マスター、提案があります。フェアリーテイルの魔道書を使用しては如何でしょうか?


 アルタ、その魔道書はこの状況を打破できるのか?


A:フェアリーテイルの効果は、生きた死体リビングデッドを妖精としてというものです。


 何だ、そのネクロノミコンをピンポイントで狙い撃ったような効果は……。


A:推測ですが、ネクロノミコンの対策として作り出された魔道書だからだと思われます。ネクロ・リードが美術館の隠し部屋に厳重に保管していました。


 ネクロノミコンの対策となる魔道書をネクロ・リードが保管していたのか。

 美術品として価値があったのか、他の理由があったのか……。


A:フェアリーテイルによる生まれ変わりなら、コルネリア達の拒否反応を防げるかもしれません。


 ああ、試してみる価値がありそうだな。

 ただ、魔道書は相性によって読める、読めないが決まるはずだ。フェアリーテイルの魔道書を読める人材は居るのか?ぬか喜びは1番辛いぞ。


A:問題ありません。さくらがフェアリーテイルの魔道書を読めます。正確に言えば、この世界に現存する全ての魔道書を読むことが可能です。


 さくらは読書が好きだが、本からも愛されているらしい。

 ところで、俺に読める魔道書は何かあるのか?


A:…………。


 OK、理解した。


「コルネリア、この世界にはフェアリーテイルの魔導書という物があるらしいな?」

「!?」


 気を取り直して質問すると、コルネリアを含む10人の少女達の表情が驚愕に染まる。


「まさか、フェアリーテイルが残っているの?」

「ああ、そのまさかだ。どんな効果か知っているか?」

「伝承によれば、フェアリーテイルはネクロノミコンの犠牲者達に与えられた最後の救い。生きた死体リビングデッドを妖精として生まれ変わらせる魔法」


 アルタに聞いた効果と同じだ。

 伝承と効果が一致しないケースもあったから、ハッキリしたのは良かった。


「伝承にも間違いはなさそうだ。死なないで、妖精として生きてくれないか?」

「……生きた死体リビングデッドとして死に続けることも、人間として蘇ることも嫌だけど、妖精として生まれ変われるなら、私達の救いになると思う」

「そうか。妖精に生まれ変われるなら死ななくていい子は手を下ろしてくれ」


 俺がそう言うと、残る10人の少女達も手を下ろした。

 ホッと一息吐いていると、先に手を下げた少女の1人が近付いてきた。


「申し訳ありません。私も生き返るのではなく、妖精に生まれ変わりたいです」

「ああ、それは構わないけど……」


 もしかして、他の子も妖精に生まれ変わりたいのでは?


「全員に質問だ。妖精に生まれ変わりたい子は手を挙げてくれ」


 俺が問いかけると、全員……309人の少女達が漏れなく手を挙げた。

 ここまで満場一致だと気持ちが良いね。


「マリア、隠し部屋にフェアリーテイルを取りに行ってくれ」

「はい」

「さくら、フェアリーテイルを使って、皆を妖精にしてあげてくれ」

「わ、分かりました……」

「お持ちいたしました。さくら様、こちらになります」


 俺が頼んでから10秒も経たずにマリアが戻ってきた。早い。

 さくらは手渡されたフェアリーテイルの魔道書を開いてパラパラと捲る。


「さくら、どうだ?使えそうか?」

「はい、内容はハッキリ読めますし、問題なく使えそうです……」

「問題は、最初に誰に使うかだな……」


 大丈夫だとは思うが、俺達の想定と違う結果になる可能性も0ではない。

 言い方は悪いが、最初の1人が実験台であることは変えようのない事実だ。


「私に使って欲しい。万が一のことがあれば、そのまま死んでも構わないから」


 そこで手を挙げたのはコルネリアだった。


「……諸手を挙げて賛成はできないけど、他に手はなさそうだな」


 生きたい者と死んでも構わない者なら、後者を実験台にするのが合理的と言わざるを得ない。


「コルネリア、心の準備は良いか?」

「心の準備は大丈夫。何があっても、貴方達を恨むようなことはしない」

「分かった。さくら、頼む」

「はい……」


 さくらがフェアリーテイルの魔道書を開き、魔力を込めた指で白紙のページに触れる。

 何かをなぞるように指を動かしていると、コルネリアの身体が輝き始めた。


「これが……私?」


 光が収まって現れたのは、10cmくらいに縮み、ファンシーな服を着たコルネリアの姿だった。

 背中には光で出来た羽が生えており、宙に浮いた状態で自分の身体を眺めている。

 余談だが、今まで着ていた服は地面に落ちている。


「ふう、無事に成功しました……。仁君、これで良かったですか……?」

「さくら、お疲れ様。助かったよ。誰がどう見ても妖精だな。コルネリア、気分はどうだ?」

「言うまでもない。生まれ変わったような気分」

「はは、実際に生まれ変わったんだよ」

「本当に身体が軽い」


 小さい身体で俺の周りをクルクルと飛び回る。

 羽はあまり動いていないので、鳥のように羽ばたきで飛ぶ訳ではなさそうだ。


「さくら、少し席を外すから、他の子達にもフェアリーテイルを使ってあげてくれ」

「300人、ちょっと多いけど頑張ります……」


 さくらには申し訳ないが、今回は分担することができないので1人に任せることになる。


「ドーラ、付いてきてくれ」

《はーい!》


 俺、ドーラ、マリアの3人は、ネクロ・リードが本の修復をしていた部屋に入る。

 修復を終えたネクロノミコンの魔道書が机の上に置かれていた。俺はネクロノミコンを手に取ってドーラに渡す。


「ドーラ、この本を弱いブレスで焼いてくれ」

《わかった!ぷちふぁいあー》


 ドーラの口からほんの少しだけブレスが出て、ネクロノミコンを一瞬で灰にした。

 ドーラのステータスを見ると、『死者の書を滅した者』の称号が追加されている。


「これで全員に異世界産の称号が付いたな。目標達成だ」

「おめでとうございます」

《おめでとー!》


 何か大きな意味がある訳ではないが、統一感って素敵だよね?

 意気揚々とさくら達の居る部屋に戻ると、既に20人程の少女が妖精になっていた。


「そうだ、言い忘れていた。妖精になった子は、異世界に持って行く物があれば取りに行ってくれ。この世界に戻ってくることはできないだろうから、悔いの残らないようにして欲しい」

「分かった。何かが残っているかもしれないから、探してくる」


 コルネリアがそう言うと、妖精となった少女達が部屋を出て行こうとする。


「その身体だと物を動かすのは大変そうだから手伝おうか?」

「問題ない。妖精はこんなこともできるから」


 コルネリアの身体が輝くと、生きた死体リビングデッドの時と同じサイズになった。

 服は妖精サイズの時と同じだが、背中から羽は消えている。


「……結構、便利そうだな」

「うん、便利」


 そう言って再び妖精サイズに戻ると、他の子達と一緒に部屋を出て行った。



 全員を妖精にするまで1時間、妖精となった少女達が戻ってくるまで更に3時間を要した。

 今は美術館の前に309人の少女達が集まっている。


「全員戻ってきたか。やり残したことはないか?本当にこれで最後だぞ?」

「もう大丈夫。それと、お墓を作ってくれてありがとう」


 コルネリア達がネクロ・リードに殺された人達の墓を作りたいと頼んできたので、俺も微力ながら墓石の制作に協力することにした。

 具体的な作業内容を言うと、地災竜の力で巨大な石版(柔らかめ)を作り出したのである。

 妖精少女達は巨大な墓石に家族、友人、知人といった思い付く限りの人の名前を刻んでいった。

 当然、全ての犠牲者を書き残せた訳ではないだろうが……。


「……本当にあんなので良かったのか?」


 石版には何の装飾もなく、一見しただけで墓石と気付くのは難しい。

 最後なのだから、もう少ししっかりした物を作っても良いと思う。


「うん、良い。私達の心の整理のためのお墓だから、豪華にする必要はない。この世界が完全に滅びるまで残ってくれていれば、それで良い」

「そうか。頑丈に固めておいたから、その点は安心して良いぞ」


 少女達が名前を書き終わった後、再び地災竜の力で石版を硬化させたので、余程のことがなければ、この世界が滅びるまで残り続けるだろう。


「ありがとう。皆も思い残すことはない?」


 コルネリアが問うと、少女達は全員が頷いた。


「それで、私達はこれからどうなる?」

「1度石化させてから俺達の元居た世界に送らせてもらう。すぐに元に戻すから、安心してくれ」

「その後は?」

「その世界に居る俺の配下の指示に従ってくれ。まずは常識を覚えてもらう。その後は適性を見て何をしてもらうかが決まると思う。……そもそも、妖精って何ができるんだ?」


 そう言えば、妖精という種族の特徴を聞いていなかった。


「伝承では、人間よりも長生きで多彩な魔法を使える。近くに居るだけで土地を豊かにする、人間に力を与える……そのくらいだったと思う」

「なるほど……」


 アルタ、実際には何ができる?


A:コルネリアの言った通りのことはできます。その他、幾つかの特徴がありますが、総じて有用であると言えます。


 何もしなくても、平穏に暮らすだけで土地や人に益を与えてくれるのか。

 考えてみれば、妖精にセコセコと働いているイメージはなかったな。


「多分、俺達の目の届く範囲で自由に暮らしてもらうことになると思う」

「100年ぶりの自由、堪能させてもらう。それじゃあ、そろそろお願い」

「ああ、ほんの少しだけ不自由を我慢してくれ。今から石化を始める。タモさん、頼んだ」

《わかった》


 バジリスクの姿となったタモさんが妖精の少女達を次々と石化していく。

 マリアが素早く回収して<無限収納インベントリ>に入れていく。

 その後のことは元の世界のメイド達にお任せだ。いつも通り、良きに計らってくれるだろう。


「さて、俺達も次の世界に向かおう」


 全ての妖精を『深淵アビス』の外に送り、この世界で為すべきことは何もなくなった。


「ご主人様、どっちに入るか決まっているの?」

「グリモワールとネクロノミコン、光の柱は2つありますわね」


 美術館から見て北と南に1つずつ光の柱が立っている。

 北がネクロノミコン、南がグリモワールを破棄した時に現れた光の柱である。


「正直、どっちでも良いから適当に決めよう。木の棒でも倒して……」

「仁君、この世界に木の棒は残っていないです……」


 そう言えば、この世界は動物も植物も滅んでいたな……。

 俺は<無限収納インベントリ>から適当な棒を取り出して地面に立てる。……北か。


「ドーラが出した方だな。ちょっと距離があるから飛んで行こう」

《うん!》


 空を飛んで北に向かい、光の柱の近くに着地したところで嫌な予感がした。


「……この光の柱、嫌な予感がする」

「ご主人様の嫌な予感とか、絶対にヤバいヤツじゃない!」

「これは、入らない方が良さそうですわね。南の方に向かってみます?」


 セラの言う通り、北がダメなら南に向かうのも有りだろう。

 俺はもう1度棒を取り出し、地面に立てる。……やはり北だ。


「……まさか、北の方がマシなのか?」


 運は北を指し、勘は北を拒否している。

 これは、『北の方がまだマシ』を意味しているとしか考えられない。


「仁様、24時間待機して、もう1つの光の柱を出すのは如何でしょうか?」

「それも試した方が良さそうだな」


 マリアのアイデアを採用し、時間経過の光の柱が現れるまで待つことにした。

 折角なので、南にある光の柱にも行ってみる。


「これはダメだ。北よりダメだ」

「はい、撤収!絶対に止めた方が良いわ!」


 予想通り北よりも嫌な予感が強かったので、この世界で24時間の経過を待つことにした。



 翌朝、俺達はの光の柱の前に集まっていた。

 少し前に時間経過で現れた東の光の柱に向かったのだが、南に負けず劣らずの嫌な予感だった。

 やはり、嫌な予感はあるが北が一番マシなのだろう。


「この先、何が起きるか分からないから、覚悟はしておいてくれ」


 普通に考えれば、この嫌な予感は次の世界の危険度を示しているはずだ。

 転移した直後に危険に晒される可能性も高いので、注意と覚悟は必須となる。


「それじゃあ、行こう」


 手をしっかりと繋ぎ、俺達は光の柱へと足を踏み入れた。

 次の瞬間、俺達を襲ったのは尋常ではない冷気だった。


「寒っ!?」


 俺の目の前に広がっていたのは、見渡す限りの氷の世界だった。

 <環境適応>があるから緩和されているが、一般人なら即死してもおかしくない寒さである。


「マリア、結界だ!」

「はい!」


 マリアが大急ぎで<結界術>を発動し、俺達の周りに冷気を通さない結界を張った。

 <結界術>の汎用性って本当に凄いよね。


「本っ当にヤバい世界だったわね!寒すぎる!」

「マリアちゃん、ありがとうございます……。助かりました……」

「いえ、発動が遅くなり申し訳ありません」

《さむいよー》


 冷気を通さないだけで空気が冷たいことに変わりはないので、魔法で火を出して暖をとる。

 少しして身体が温まり、ようやく一息吐くことができた。

 ……アルタ、この世界の転移条件は何だ?


A:この世界の転移条件は2つです。

①3時間生存する。

②氷災竜・アイスエイジを消滅させる。


 氷災竜・アイスエイジ……氷河期の名を持つ災竜か。

 他の世界にも災竜は居るんだな。……もしかして、この世界は災竜に滅ぼされた世界なのか?


A:その可能性が高いです。この世界には、1つ前の世界以上に何も残っていません。


 アルタの説明を聞き、マップを確認してみると、本当に氷以外に何も存在していなかった。

 いや、氷と氷災竜・アイスエイジ以外何も存在しないという方が正しいな。


氷災竜・アイスエイジ

種族:災竜

称号:反存在、封印されし災禍


 マップ上の表示は『深淵アビス』の外に居た災竜と同じだった。

 称号に『封印されし災禍』とあるが、完全に封印は解けている。


「ご主人様、どうするの?災竜を倒す?3時間待つ?」

「そうだな……」


 ミオに質問されたので改めて現状を考える。


「幸い、氷災竜は積極的に動き回るタイプじゃなさそうだから、結界の中で3時間耐えれば次の世界に行ける。氷災竜をどうしても倒したい理由がある訳でもない」

「それじゃあ、ここでこのまま待機?」

「いや、折角異世界に来たのに、この場から全く動かないのは俺が耐えられない。『どうしても』とまでは言わないけど、災竜を倒したら称号が手に入るから全くの無駄でもないだろ?」


 俺の推測ではあるが、『深淵アビス』の転移条件とは、その世界における偉業である。

 時間経過以外の転移条件を達成すると称号を得られるのは、それが偉業だからに他ならない。

 折角、今までの世界で偉業を達成し続けたのだから、この世界でも狙えるなら狙いたい。

 いや、『この世界で3時間生存する』のは、十分に偉業と言えるのだけど……。


「仁様、災竜を倒せば、災竜の権能も得られます」

「ああ、それもあったな。どちらにせよ、絶対に必要なものじゃないけど……」


 俺が災竜を倒し、その魂を取り込むことで、災竜の権能を得ることができる。

 ある意味、俺の強化イベントのようなものではあるのだが、既に地水火風の災竜を倒し、権能を獲得している状態で言わせてもらえば、『過剰』の一言に尽きる。

 強大な力すぎて、普通の戦闘では使うに使えない。どちらかと言えば、前の世界で墓石を作った時のように、戦闘以外で使うことの方が多い。

 …………待てよ?


「仁君、どうかしましたか……?」

「いや、何でもない。一応、得るものもあるし、1度氷災竜と戦ってみて、3時間以内に倒せそうなら倒そう。3時間で倒そうになければ次の世界に行こう」

「時間制限付きのチャレンジってコトね。……そう言えば、ご主人様は今まで災竜を倒すのに3時間も掛けたことがないわよね?」

「基本、殴るか災竜の権能を使って瞬殺していましたわ」


 ミオ、セラの言う通り、基本的に災竜を倒すのに時間を掛けたことはない。

 火災竜以外は殴って倒し、火災竜だけは地災竜の権能で倒した。災竜の権能を使えば、相性によっては災竜を完封できることも分かっている。しかし……。


「今回は災竜の権能を使う気はない。災竜の権能を使うくらいなら、時間切れの方がマシだ」

「随分と強い拒絶ですわね……」

「仁様がそこまで言うのですから、災竜の権能を使うと何か問題が起きるのですね?」

「ああ、確定ではないけど、最悪の場合は次の世界も災竜に滅ぼされた世界になる」


 先程、気付いてしまったのだが、俺達が災竜に滅ぼされた世界に転移したのは、前の世界で俺が地災竜の権能を使ったからかもしれない。

 『深淵アビス』は縁のある世界に行きやすくなる性質がある。災竜の権能を使うことで、災竜の居る世界との縁が強くなることは十分に考えられる。

 災竜を倒すのに災竜の権能を使えば、縁は更に強くなり、災竜に滅ぼされた世界にしか行けなくなってしまう可能性すらある。それなら、権能を使わず、時間経過の転移をした方が良い。


「俺の目的は災竜を倒して回ることじゃない。明確な目的地がある以上、無駄なことは避けたい」


 俺の推測を一通り説明し、最後にそう言って締めた。


「それじゃあ、今回は殴って倒すってコトで良いのね?」

「1発殴って倒せるなら楽で良いけど、今回は難しい気がするんだよなぁ……」


 恐らく、氷災竜は俺が今までに倒した四体の災竜よりも強大な力を持っている。その根拠は、四体の災竜が司る被害に比べ、氷災竜が司る被害の規模が明らかに大きいからである。

 地震、津波、噴火、暴風雨を甘く見る気はないが、被害が国の単位を超えることは滅多にない。

 しかし、氷河期は違う。氷河期は種の存亡に関わる被害をもたらす。そんな現象を司る存在が弱い訳がない。何より、実際に1つの世界を滅ぼしたという実績がある。


「殴って倒せなかったら、皆で色々な攻撃方法を試し、何が効くか確認することになると思う」

「弱点探しはボス討伐の醍醐味よね!」

わたくしには分からない感覚ですわ……」

「マップで何か分からないんですか……?」

「災竜の詳細な情報は得られていない。マップで分かる範囲では、明確な弱点は無さそうだな」


 普通に考えれば、氷には炎を当てるべきだと思うが、そこまで簡単に行くかどうか……。


「まずは一殴りするために災竜に近付こう」

「ご主人様!寒くて結界の外に出たくありません!」


 ミオが勢い良く手を挙げた。それもそうだな。


「<環境適応>に<拡大解釈マクロコスモス>を使って強化しよう」

《さむくない!》

「これなら、結界の外に出ても大丈夫そうね」


 <拡大解釈マクロコスモス>で<環境適応>を強化すれば、外の冷気にも耐えられるはずだ。

 その後、少し話をしてから氷災竜の元に向かうことになった。



 時間が限られているので、氷災竜の元へは空を飛んで移動する。

 分厚く黒い雲が空一面を覆っており、僅かな光しか届かないため、この世界は全体的に暗い。

 幸い、雨は降っていない。この寒さで雨が降ったら、確実に雹になるだろうけど……。


「本当に災竜は大きいわね」

《でかーい!》

「全長はおよそ10km、身体は全て氷で出来ているようですわ」


 しばらく飛び、氷災竜の姿が見えてきた。

 四足歩行で翼の生えたドラゴン……の氷像と言えば分かりやすいかもしれない。


「近付く程に寒くなっている気がします……」

「それは気のせいじゃない。アルタ曰く、氷災竜の付近は絶対零度に近いそうだ」

「絶対零度って、氷河期よりも寒くないですか……?」

「確実に寒い。名前は氷河期だけど、氷河期以上のことができるみたいだな」


 そもそも、氷河期の被害というのは世界の全てが氷に覆われるようなものではない。

 氷河期を司っているのではなく、氷と冷気を司っていると言われた方が納得だ。

 そんな話をしている間に氷災竜の姿が近付いてきた。


「さて、そろそろ到着だな。まずは思い切り殴ってくるよ」


 俺は少し先行して、最初の一撃を決める準備を始めた。

 まずは契約精霊であるレイン、エクリプスとダブル精霊化をする。

 <狂戦士化>と<闘気>を発動し、複合スキルの<闘神>を発動する。

 その他、手持ちのステータス、攻撃力上昇スキルを手当たり次第に発動していく。


「行くぞ!」


 可能な限りステータスを強化して全力で加速する。

 空を飛んだまま、拳を1度引き込み、持てる全ての力を込めて突き出す。


「ジーンパーンチ!!!」


 特に意味のない掛け声と共に氷災竜の身体を思い切り殴りつけた。

 補足しておくと、ジーンのパンチではなく、仁のパンチを伸ばした掛け声だ。

 拳が当たった直後、凄まじい轟音を響かせ、氷災竜の身体が砕け始めた。衝撃が全身に伝わっていき、僅か数秒で10kmを越える巨体がバラバラになる。


「やったか!」


 今、ミオが明確に余計なことを言った。


「やって無さそうですわね」

「砕けた氷が集まっていきます……」


 バラバラになった氷災竜の身体……氷塊が集まり、再びドラゴンの形になっていく。

 壊すことはできるけど、殺すことはできないタイプの敵らしい。


「仁様、離れてください!」


 氷災竜が反撃してくる可能性があるため、俺はすぐに氷災竜から距離をとった。

 しかし、氷災竜はドラゴンの形を取り戻した後も一切動かなかった。


「本当に全く動かないのか。反撃がないのは気が楽だけど」

「色々と試し甲斐がありそうね」

「ああ、一応、反撃に注意して攻撃を始めよう!」


 急な反撃を警戒して、1人ずつ攻撃していくことにした。


「さ、最初は私ですね……。緊張します……」


 さくらが杖を握りしめて前に進む。

 補足しておくと、攻撃の順番はくじ引きで決めた。


《がんばれー!》

「はい、行きます……」


 さくらは<無詠唱>で<火魔法>LV10の『サンライズ・ダウン』を発動した。

 氷を溶かすなら炎を使うのは定石だよな。

 <並行詠唱>を含むいくつかのスキルを使用することで、同時に10を越える巨大火球が現れた。

 他にも魔法を強化する<魔道>、消費MPを下げる<魔法の習熟者マジックマイスター>といった魔法関連のスキルをガンガン使っているようだ。


「えい……!」


 巨大火球が氷塊に向けて飛んで行き、着弾した瞬間に爆発する。

 巨大火球は次々と着弾していく。更にさくらは新しい巨大火球を次々と生み出していく。

 火球の影響か、ほんの少しだが周囲の温度が暖かくなった気がする。

 その後、さくらは1分程魔法を連射し続けた。しかし……。


「多少は溶けますけど、効率は凄く悪いですね……」


 魔法の火力に対して、明らかに溶けている量が少ない。

 もしかしたら、災竜には魔法が効きにくいのかもしれない。考えてみれば、今まで災竜に向けて魔法を放ったことはなかったな。


「もう少し、試してみます……」


 さくらはそのまま<風魔法>、<土魔法>、<雷魔法>、<光魔法>、<闇魔法>の最上位魔法を連射したが、<火魔法>同様に大きな効果は見られなかった。


「魔法全般が効きにくいみたいですね、残念です……」

「さくら、お疲れ様。次はドーラだな」

《ドーラ、いっきまーす!》


 普通の魔法は効きにくいが、ドーラの<竜魔法>なら効くかもしれない。

 ドーラは『竜人種ドラゴニュートの秘境』で入手した<竜魔法>強化セットを使用している。

 <竜撃>でブレスをチャージし、<竜滅>でドラゴン特効を得た。災竜にドラゴン特効が効くかは知らない。最後に<竜鱗>で防御力を上げている。<竜鱗>は要らないな。


《ふるちゃーじ、ふぁいあー!》


 ドーラの口から最大火力のブレスが放出される。

 炎のブレスが氷災竜に当たると、氷がドンドン溶けていくことが分かる。


「普通の魔法よりは溶けていますね……」

「ああ、だけど、すぐに凍っている」


 確かに氷は溶けているが、溶けてブレスの当たっていない場所まで流れるとすぐに凍る。


《むー……》


 ブレスを撃ち終えたドーラが不満そうな表情を見せる。

 折角氷を溶かしたのに、氷災竜の体積は一切変化していなかった。


「次はわたくしの番ですわね」


 そう言ってセラは右手に大剣、左手に大槍を構えた。

 大盾による防御を捨てた両手武器2本装備である。


「行きますわよ!」


 セラは氷災竜の周囲を駆け回り、首を切り落とし、翼を切り落とし、前脚を切り落とし、後ろ脚を切り落とし、尻尾を斬り落とした。切り落とした部位はしっかりと槍で貫いている。

 しかし、どの部位も破壊されてすぐに復活する。


「……弱点部位は無さそうですわ。それと、顔を切り落としても見向きもされません」

「氷災竜、本当に生きているのか?実は前から死んでいたって言われても驚かないぞ」

「ああ、そっか。HPが見えないから、生きているか死んでいるか判断できないのよね」


 ミオが納得したように頷く。

 実は、災竜はHPなどのパラメータが見えないので、生死の判断もできないのである。

 俺達が倒したのならリザルトがあるから判断できるが、元々死んでいたら判断する方法がない。


「よく考えたら、氷災竜が死んでいても、俺達のすることは変わらないのか……」

「転移条件は『氷災竜を殺す』ことではなく、『氷災竜の消滅』でしたわね」


 俺達の目的は氷災竜の『殺害』ではなく『消滅』なので、極論生死は無関係となる。

 そういう意味では、今までの試みは『殺害』に向き過ぎていたかもしれない。


「次はマリアだな。『消滅』を意識してくれ」

「はい、招致いたしました」


 マリアは2本の剣を構え、勇者戦用スキルである<草薙剣くさなぎのつるぎ>、<八尺瓊勾玉やさかにのまがたま>を発動した。


「はっ!」


 マリアは2本の剣で氷災竜を斬りつけ、氷を切り出した後、その氷を素早く<結界術>で囲んだ。


「なるほど、囲ってしまえば復活できないのか」

「マリアちゃんは本当に器用よね」

「私には絶対に真似できません……」


 バラバラになった後の合体を防ぐために、<結界術>で本体から切り離したようだ。

 マリアは<結界術>に入れた氷に触れる。


「駄目です。<無限収納インベントリ>に入れることができません」


 どうやら、切り出した氷は生物扱いで<無限収納インベントリ>に入れられないらしい。

 次に小さく切った氷に『ファイアボール』を当てる。小石ほどに小さければ、簡単に溶かすことができるようだ。


「溶けて水になりましたが、蒸発させることはできませんし、すぐに凍ってしまいます」


 氷を水にすることは可能だが、水を蒸発させることは不可能だった。

 その後もマリアは氷に対して色々と試していくが、どれも目立った効果は見られなかった。


「申し訳ありません。今の私では氷災竜を『消滅』させることは難しそうです」

「いや、あれだけやって駄目なら仕方がない。……最後はミオだな」

「ふっふっふ、ついにミオちゃんの番がやってきてしまったわね」


 不敵な笑みを浮かべ、ミオが前に出てきた。


「自信満々ですわね。何か秘策でもあるんですの?」

「あいはぶのーあいであ」

「まさかの無策!」

「マリアちゃんがアレだけ色々やった後に何ができるって言うのよ。弓なんて効く訳ないでしょ?」


 打撃も斬撃も効かないのに、弓矢が効くとは思えない。

 攻撃のバリエーション的に最後を任せるのは厳しかったと言わざるを得ない。


「何もしないのもアレだし、ミオちゃんのコレクションでも披露しますかね」

「コレクション、ですか……?」


 そう言ってミオが取り出したのは数本の矢だった。


「私の弓は普通の矢も使えますから、アドバンス商会に頼んで面白い矢を集めてもらいました」


 ミオの弓には矢を魔力で作り出す能力があるが、普通の矢を放つことも可能である。

 軽くステータスを見てみたが、確かにどれも面白い効果を持つ矢だった。


「まずはコチラ、魔矢・カースドヘア。<聖魔鍛冶>により生まれた呪われし矢です!」

「の、呪われているんですか……!?」

「さくら様、安心してください。この矢に込められた呪いは、捨てても帰ってくるというものです」

「呪いの人形みたいですね……」

呪いの髪カースドヘアって言うのも日本人形の逸話っぽいな」

「その効果、もしかして射ることでも発動するんですの?」

「もちろん、発動するわよ。えいっ!」


 セラに効果を問われ、ミオが素早く魔矢・カースドヘアを放った。

 矢は氷災竜に当たり、ガリガリとしばらく削り進んだ後に止まった。

 そして、数秒後にはミオの手元に矢が戻ってきていた。


「ほらね?」

「矢に付与される効果としては大当たりだな」

「かなり頑丈だから、使い減りしない矢として重宝されるわね。私には必須じゃないけど」


 呪われた武器なのにメリットしかないという面白い矢だった。


「次はコレ、イカロスの矢。太陽信仰の部族が10年間毎日祈り、日の光に当て続けた矢よ」

「祈りで矢に特殊効果が付いている。何かのスキル持ちが居たのかな?何処の部族だ?」

「残念だけど、既に日照りで滅んだらしいわ」

「世知辛い……」


 10年間日の光に当て続けたということは、10年間雨が降らなかったとも言える。

 太陽信仰が太陽の災害で滅ぶのは虚しすぎる。


「常に太陽の熱を帯びている火属性の矢だから、氷には相性抜群のはずよ」

「<火魔法>も火のブレスも効かなかったんだよなぁ……」

「言ってみただけよ。えいっ!」


 同じく、矢は氷災竜に突き刺さり……。


「GYUOOOOOOOO……」


 氷災竜が身体をよじりながら叫ぶ。


「「動いた!?」」


 俺とミオが同時に声を上げ、全員がすぐに武器を構えて警戒態勢を取る。

 しかし、氷災竜は再び動かなくなってしまった。

 少し待ち、とりあえず警戒態勢を解除する。なお、マリアだけは警戒態勢を崩さなかった。


「もしかして、太陽の光に弱いのか?」


 今まで、何をしても動かなかった氷災竜が1本の矢で動いた。

 単純な火や熱に弱いとは考えにくい。そこで違いとなるのは太陽の要素である。


「……有り得るわね。この世界の氷河期って、恐竜絶滅の時の隕石による氷河期っぽいのよ」

「確か、衝突による粉塵で太陽光が遮られて……あっ……!」

「なるほど、上空の黒い雲はその再現って訳か」


 地球の知識があるミオ、さくら、俺には理解しやすい話だった。

 災竜は災害を再現するのなら、災害に相応しい弱点を持っていても不思議ではない。

 氷災竜が隕石衝突による氷河期を司るのなら、それを終わらせる太陽が弱点なのも納得だ。


「でも、『サンライズ・ダウン』は効きませんでしたよ……?」

「多分、太陽の名前が付いているだけじゃ駄目なんだろうな」

「『太陽属性』とでも言うべき物が必要っぽいですね」

「私の武器にも太陽の名前は付いていますが、効果はありませんでした」


 マリアの武器の名前は『太陽神剣・ソルブレイズ』と『月光神剣・ルナライト』と言う。

 太陽に関係がありそうな名前だが、太陽に関する逸話は存在しない。


「……お前、行けるのか?」


 <無限収納インベントリ>から日光と書かれた木刀、『光刀・サンシャイン』を取り出す。

 もしかしたら、この木刀には『太陽属性』が……。


「駄目か……」

「何故、行けると思ったんですの……?」


 『光刀・サンシャイン』で氷災竜を殴ったが、何の効果も見られなかった。無念……。


「他には、上空の黒い雲を払うとかかしら?氷災竜が絶対に弱体化するわよ」

「風災竜の力があれば楽だけど、普通のスキルで雲を払うのは厳しいだろ……」

「光明が見えたし、試せることは色々と試してみましょう?」

「そうだな。色々とやってみよう」

《がんばるー!》


 こうして、『太陽』というキーワードを得た俺達は、引き続き色々試していった。しかし……。


「……時間切れだな」

「残念ね。結構良い線行ったのに」


 色々試したが、3時間が経過して光の柱が現れてしまった。

 1番効果があったのは、黒い雲を動かし、氷災竜に一筋の日光を当て、その場所を集中攻撃した時だった。

 日光が当たっている場所は回復できないようで、ようやく攻撃が通ることを実感できた。

 しかし、この方法では身体の一部しか攻撃できないし、常に動かし続けないとすぐに雲が復活してしまう。そして、すぐに回復してしまう。


「雲を一気に払う手段があれば……」


 マリアが呟くが、最低でも10km分の雲を払う手段は俺達にはなかった。

 ある意味では災竜の一部なので、魔法が効きにくいというのも問題だった。

 もしかしたら、もっと色々と試せばワンチャンあるかもしれないが、最初に決めた通り時間になったので次の世界に行こうと思う。


「再挑戦するかもしれないから、氷は持って行こう」


 氷災竜ではない氷を切り出し、<無限収納インベントリ>に格納しておく。

 縁のある物があれば、この世界に再び来ることができるらしいからな。

 こうして、俺は初めて時間経過による光の柱を通ることになった。

仁には珍しく、決着を付けずに終了です。

アイスエイジは災竜登場初期から構想はありましたが、元の世界では出す条件が整わず、深淵送りになりました。

アイスエイジを倒す太陽属性を天照大神にするか、太陽神ラーにするか悩み中。


アンデッドの少女を配下にするのは人聞きが悪いので、全員妖精になってもらいました。

妖精が少女なのはむしろ自然でしょう。

実は、「妖精」も元の世界で出したかったのですが、条件が揃わずに深淵送りでした。


本当に深淵は没ネタを使いやすい空間です。

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マグコミ様にてコミカライズ連載中
コミカライズ
― 新着の感想 ―
「そうだ、言い忘れていた。妖精になった子は、異世界に持って行く物があれば取りに行ってくれ。この世界に戻ってくることはできないだろうから、悔いの残らないようにして欲しい」 「分かった。何かが残っている…
<生殺与奪LV9>使って魂を直接殴り倒せない?
[一言] 災竜に魔法が効きにくいっていうのは水災竜で検証したよね?
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