第7話
・盲目の天才ケイト 迷宮の攻略を終えて
・間章時点のステータス
ステータスは久しぶり過ぎるので、抜け漏れがある可能性があります。
単純に外しただけの物もありますが、漏れていた物は気付き次第修正いたします。
標題:盲目の天才ケイト 迷宮の攻略を終えて
視点:ケイト
時期:第13章頃
エステア王国は迷宮の国です。
実力者の大半は地上で活動する冒険者ではなく、迷宮で活動する探索者になる事を選びますので、必然的に冒険者ギルドの依頼は滞りがちとなります。
緊急性の高い依頼は、冒険者ギルドではなく、国や街に直接向かう事も多々あります。
この国では、冒険者ギルドはあまり期待されていない組織なのです。
「はい、依頼品の確認が終了いたしました。おめでとうございます。これでCランクに昇格が決まりましたよ」
私、シンシアさん、カレンさん、ソウラさんの4人は現在、探索者として働く傍ら、冒険者として地上でも活動をしています。
そして本日、ようやく目標としていたCランク冒険者になる事が出来ました。
「ありがとうございます。全員分の昇格をお願いできますか?」
「はい、勿論です」
カレンさんが4人分のギルドカードを受付嬢さんに渡しました。
私は生まれつき喋れませんし、シンシアさんはあまり喋らせたくありませんので、念話が出来ない相手との会話は、カレンさんかソウラさんに任せる事になります。
「昇格の手続きが終わりました。Bランク昇格の要項をお聞きになられますか?」
「いいえ、Bランクになる予定はありませんので結構です」
「Cランク止めですか……。それは残念です」
「すいません。パーティで話し合って決めていたんです」
Bランクの冒険者になると、色々な柵が増えます。
冒険者の活動一筋ならともかく、探索者も続けるとなると、Bランク以上の柵は不利益の方が多くなると判断しました
何より、Cランク冒険者と言う肩書きは、旦那様とお揃いなのです。
それだけで、『Cランク冒険者』が『Bランク冒険者』の価値を凌駕します。
私達が迷宮の50層を攻略した後、エステア王国では様々な変化が訪れました。
国家の中心でありながら、不明な点の多かった迷宮に関して、新たな情報が齎されたのですから、それも当然と言えるでしょう。
1番大きな変化と言えば、『迷宮の攻略』を国の主導で進める事になった事でしょうか。
迷宮を攻略した翌日、私達4人はエステア王国の首都にある王城を訪れました。
そこで、国王陛下を始めとした国の重鎮達に、迷宮攻略時に得た情報を提供したのです。
「ふむ、崩壊でも閉鎖でもなく現状維持か。それは朗報だな。しかし、問題は迷宮を管理する者が居ると言う点だ。予想していたとは言え、主要産業が他者の手の内にあると言うのは、あまり好ましいとは言えぬからな」
カレンさんの話を聞き終えた国王陛下はそう仰られました。
カレンさんの説明は、キャロさんから説明を受けた正規の順序に従っています。
その順序では、キャロさんは姿を現さず、声だけの登場です。ボス部屋に響くキャロさんの声に従うことで、迷宮攻略の報酬を得る事が出来るのです。
キャロさんの身の安全を考えれば、姿を現さないのは当然と言えるでしょう。
なお、何らかの理由でキャロさんが居なくなった場合、録音した音声で代用するそうです。
キャロさんが居なくなる理由は教えていただけませんでしたが、想像は出来ました。
そして、国王陛下が興味を示したのは、迷宮攻略の報酬の話ではなく、その後に行った管理者への質問部分だったという訳です。
迷宮が攻略されると崩壊する可能性があるのに、国家として迷宮の攻略を禁止しなかったのに理由があります。
それは、国王にのみ閲覧を許される文書の中に、迷宮に関する一般で知られている以上の情報が記されており、その中に迷宮攻略後の情報も含まれていたからです。
私も、旦那様に拾われる前は疑問に思っていたのです。
何故、この国はこれ程まで迷宮に特化する事が出来たのでしょうか?
迷宮専用魔法の道具なんて、何も知らずに作れる訳がありません。
そこから考えていけば、国と迷宮の間にある接点に辿り着く事は容易です。
少なくとも、過去に迷宮側からの情報提供があった事は確実です。
歴代の国王陛下も、古い文書なので全ての情報を鵜呑みには出来ないが、国として保管している文書である以上、大きな間違いはないと判断していたようです。
補足になりますが、マップから文書を確認した所、事実しか書かれていませんでした。
ただ、その文書の書き方には癖があり、過程を飛ばして結論だけが述べられるため、文章として非常に読み難くなっていたのです。
旦那様曰く、『それは東の癖だな』との事で、どうやら、先代の迷宮支配者直筆の文書だったようです。
文書の閲覧は国王にのみ許されていますが、情報の共有は禁止されていません。
迷宮攻略が禁止されていないのは、一部の情報が国の重鎮にも共有されていると言うのが一番の理由です。
なお、二番目の理由は、迷宮攻略を禁止し、探索者を敵に回した場合、国家運営が成り立たなくなる危険があるからだそうです。少々、迷宮に特化し過ぎではないでしょうか?
ただ、その文書には迷宮の管理者に関する情報はありませんでした。
国王陛下が『予想していた』と仰ったのは、文書の存在から管理者の存在に行きついた結果だと思われます。
国が主導する『迷宮の攻略』は、私達の齎した情報の裏付けをとる事が1番の目的です。
私達が信頼されていないという訳ではありません。
国家に所属している訳でもなく、成人すらしていない探索者が齎した情報だけで、国の中心である迷宮に関する判断をする訳にはいきません。
裏付けを取るのは、国家として当然の事なのです。
問題は、裏付けを取るのに相当な苦労が必要な点です。
そこで、国王陛下はこう仰られました。
「お主達には非常に申し訳ないことを頼むのだが、国が選んだ者達を連れ、迷宮を1から攻略してもらえないだろうか?」
国王陛下は、1番確実な方法を選択いたしました。
それは、1度迷宮を攻略した者に、再びの攻略を依頼するという方法です。
旦那様に念話で確認した所、命じたのは正規の方法で迷宮を攻略することであり、その後、何をするかは私達の自由だそうです。
こうして、私達4人はエステア王国に雇われることになりました。
国家に雇われた探索者として、私達は迷宮を自由に探索する権利を失いました。
迷宮攻略は速度重視ではなく、安全重視で行われるため、自由時間は多く取れるのですが、他の方々とはぐれる訳にはいかないので、勝手に探索する事が出来なくなったのです。
私達は今まで、迷宮の攻略だけに全力を尽くしていました。
迷宮を完全攻略し、探索が制限されてしまった事により、私達4人の心に大きな穴が出来てしまいました。
この大きな穴を埋めるにはどうすれば良いか、私達は話し合いをしました。
迷宮の完全攻略と言うのは、心の穴の原因ではありますが、今までと違う事を始める良い機会とも言えます。
話し合いの結果、私達は地上で冒険者として活動することを選んだのです。
冒険者と探索者では必要とされる技能に違いはあるでしょうが、今までの経験が全て無駄になる訳ではありません。
迷宮攻略の事しか考えていなかった私達が見聞を広めるには、冒険者は打って付けだったのです。
幸い、知人に冒険者が大勢居ますので、助言を頂く事は容易です。
「その理由で冒険者活動を始めるなら、Bランク以上になるのは控えた方が良いよ」
冒険者の先輩であるクロード君に話を聞いた所、真っ先にCランク止めを教わりました。
曰く、旦那様もCランクで止めているそうです。
その瞬間、私の目的は『Cランク冒険者になる』に決まりました。
その目的を達成する最大の障害だったのは、冒険者として本格的に活動を始めた初日、冒険者ギルドの受付嬢さんからの提案でした。
「迷宮を攻略したとお聞きしました。それほどの功績があれば、省略してCランクに昇格することも出来ますね。お望みでしたら、Bランク昇格の推薦も出来ますよ?」
違います。そう言う話では無いのです。
途中を省略して旦那様と同じランクになっても意味が無いのです。
旦那様と同じように昇格していきたいのです。
そして、Bランクになる事は全く望んでいないのです。
私達は受付嬢さんの善意の提案を丁重にお断りし、最初のGランクから始める事にしました。
勿論、ランクに見合わない依頼は受けず、低ランクの採取や討伐を受けています。
冒険者としての活動と並行して、探索者としての務めも果たしていきます。
国が選んだ6人の同行者と私達4人、合わせて10人で1層から迷宮を攻略します。
迷宮攻略において、1つのパーティの最大人数は10人と言われています。
10人を超えた場合、迷宮攻略においていくつかの罰則が発生します。
1番分かり易いのが、相転移石が使い難くなる事でしょう。相転移石は近くに魔物が居ると使用できないのですが、その『近く』の定義が、10人を超えた場合広がってしまいます。
広範囲の魔物を殲滅しないと、相転移石による帰還が出来なくなってしまうのです。
旦那様はこの事を知りません。正確に言うなら、気にしていません。
しかし、迷宮攻略時、一部の例外を除き、必ず10人以下で行動していました。
意識せずに最適解を選ぶ旦那様が素敵です。
……話が逸れてしまいました。
今回、安全重視という事なので、国が選ぶ6人は精鋭の兵士だと考えていました。
しかし、その6人の中には、エステア王国王女、カトレア様が居たのです。
「王族として、真実を見届ける必要があります。その役割には私が適任なのです」
迷宮攻略への同行は、カトレア様が自ら志願したそうです。
戦いの心得があり、王族としての証言力があり、次期国王になるつもりのないカトレア様は、同行者として適任と言えるでしょう。
カトレア様以外の5人は、想像していた通り精鋭の兵士でした。
ただ、私達の性別や年齢で侮っている様子が見えましたので、模擬戦で上下関係を教えて差し上げました。
ステータスを相当に落としたシンシアさん相手に、5対1で攻撃を掠らせる事すら出来ないのは、『国の精鋭』と言う評価に疑問を感じてしまいます。
国王陛下からの依頼では、同行者の6人は迷宮内では私達の指揮下に入ります。
同行者の立場を高くすると、迷宮内で専門家の指示に従わない可能性があるからです。
安全重視なら、専門家の言葉に従うのが1番良いに決まっています。
自称精鋭の5人も、その事は理解していたようですが、実際に幼い少女である私達を見たら、侮る気持ちが生まれてしまったそうです。
流石に、模擬戦でボロボロにされたら、侮る気持ちも無くなるでしょう。
10人での連携訓練を数日間掛けて行い、十分と判断してから迷宮に入りました。
同行者の6人も相転移石を持っていましたが、別の場所に登録されていた為、足並みを揃えるために1層からの開始となります。
これで、50層に登録した相転移石が無駄になりますが、50層ボスの初回討伐報酬として、迷宮内なら好きな場所に転移できる『転移石』を頂いているので問題はありません。
この『転移石』ですが、公開のリスクが高すぎるため、国にも報告はしていません。
実は、相転移石が無駄になる補償として、国王陛下から相応の金銭を受け取りました。
旦那様の世界の諺に、『一石二鳥』という物があるそうですが、特に関係はありません。
冒険者になってすぐの頃は、探索者と冒険者の勝手の違いに苦労した物です。
迷宮は必ず日帰りでしたが、冒険者の依頼は日を跨ぐこともあります。
迷宮は天候に左右されることはありませんでしたが、冒険者の依頼は天候を考慮する必要があります。
迷宮は魔物の種類が限られていましたが、冒険者の依頼では想定外の魔物と戦う事も多々あります。
また、私の<演算>スキルは要素が限定された空間で効果を最も発揮します。
冒険者として活動する地上は、様々な要因が入り乱れており、迷宮と同じように<演算>スキルを使う事は困難でした。
迷宮内で得意としている行動予測ですが、地上では精度が低くなってしまいます。
<迷宮適応>による補正も無くなるので、身体の動きにも違和感が残ります。
改めて、自分達がどれだけ迷宮に特化していたのか、思い知る結果となりました。
しばらくの間は、迷宮と地上の差を埋める事に注力しました。
結果として、迷宮内には劣りますが、行動予測の精度も上がりましたし、迷宮と地上で交互に活動しても、違和感を覚えないくらいに慣らす事が出来ました。
Cランク冒険者になる頃には、探索者と冒険者を両立する事にも慣れました。
不思議な事に、冒険者として成長する度に、迷宮内の動きも良くなりました。
スキルレベルが上がった訳では無いのですが、より使いこなせている実感があります。
普段と違う事をすると言う事は、良い成長の機会なのかもしれません。
二度目の迷宮攻略を成し遂げたら、また違う事に挑戦してみようと思います。
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登場人物
名前:ケイト
性別:女
年齢:12(登場時)
種族:ハーフエルフ
称号:仁の奴隷、盲目
備考:エステア王国で仁に買われた盲目の愛玩奴隷少女。マップにより目が見えないハンデを克服し、本来の天才的頭脳を開花させ、仁の信者となった。後衛の魔法職兼リーダーとして、シンシア、カレン、ソウラと共にエステア迷宮を攻略した。本話では仁が登場しなかったので理性的だったが、仁が近くに居る時は基本的に仁の事しか考えていない。
名前:シンシア
性別:女
年齢:11(登場時)
種族:人間
称号:仁の奴隷、人間の勇者
備考:魔物に村を襲われ、孤児奴隷となった所を仁に買われた少女。間章6話で紹介済みなので省略。
名前:カレン
性別:女
年齢:10(登場時)
種族:人間
称号:仁の奴隷
備考:シンシアと共に仁に買われた双子の赤い方。シンシアとケイトの個性が強いので目立たないが、実は姉妹揃ってかなり優秀である。迷宮内では双子ならではの連携でシンシアのサポートをした。常識人枠として、ソウラと共に苦労している。
名前:ソウラ
性別:女
年齢:10(登場時)
種族:人間
称号:仁の奴隷
備考:シンシアと共に仁に買われた双子の青い方。親が気にしていなかったので、どちらが姉でどちらが妹なのかは不明。見た目は髪の色以外瓜二つだが、性格はそれなりに違う。作中では違いが書き分けられるほどピックアップされない。
名前:カトレア・アズウェル
性別:女
年齢:15(登場時)
種族:人間
称号:エステア王国王女
備考:兄の死の原因となった勇者に復讐するため、仁の配下となる事を受け入れた王女。復讐を終えた後はあまり表舞台には出ないようになった。周囲には小食と思われているが、実際には仁の屋敷で人一倍の量を食べている。迷宮攻略に同行することを決めた理由の1つに、少しきつくなったドレスが関係するとかしないとか。
標題:間章時点のステータス
進堂仁
LV2021
スキル:
武術系
<武術LV10><飛剣術LV10><竜闘術LV10>
魔法系
<魔法LV10><無属性魔法LV10><竜術LV10><精霊術LV10><始祖竜術LV10><精神攻撃LV10><魔神魔法LV10><固有魔法>
技能系
<技能LV10><魔物調教LV10><獣調教LV10>
身体系
<身体LV10><縮地法LV10><飛行LV10><竜体LV10><鬼神体LV10><魔神体LV10><環境適応LV10><完全耐性LV->
その他
<外法LV10><幸運LV10><迷宮支配LV10><世界樹支配LV-><王の威光LV-><超越LV10><加速LV-><真実の眼LV-><天駆LV-><鬼神の咆哮LV-><森羅万象LV->
異能:<生殺与奪LV9><千里眼LV-><無限収納LV-><契約の絆LV-><多重存在LV9><拡大解釈LV10><???>
装備:神霊刀・伊世完、不死者の翼
契約精霊:レイン(無の大精霊)、エクリプス(瘴霊)
補足1:統合スキルをレベル10にしたため、個別のスキルはユニーク級だけが残った。
補足2:<外法>は<呪術>や<奴隷術>のように教育に良くないスキルを統合した。
木ノ下さくら
LV2017
スキル:
武術系
<武術LV10>
魔法系
<魔法LV10><魔道LV10><固有魔法>
技能系
<技能LV10><速読LV4>
身体系
<身体LV10><環境適応LV10><完全耐性LV->
その他
<幸運LV10><魔法の習熟者LV-><超越LV->
異能:<魔法創造LV->
装備:流星杖・シューティングスター
補足4:<速読>は異能によるポイント追加無し。
ドーラ
LV2018
スキル:
武術系
<武術LV10>
魔法系
<魔法LV10><竜魔法LV9><固有魔法>
技能系
<技能LV10>
身体系
<身体LV10><突進LV10><咆哮LV10><飛行LV10><噛みつきLV10><環境適応LV10><完全耐性LV->
その他
<幸運LV10><竜撃LV10><竜滅LV10><竜鱗LV10><超越LV->
装備:支配者の杖・オルタナティブ、聖楯・竜牙
補足5:種族固有スキルはスキル統合できないので残った。
補足6:最終試練で強化されなかった盾は、ミミに神話級を作ってもらった(伊世の後)。
ミオ
LV2018
スキル:
武術系
<武術LV10>
魔法系
<魔法LV10><固有魔法>
技能系
<技能LV10><魔物調教LV10>
身体系
<身体LV10><環境適応LV10><完全耐性LV->
その他
<外法LV10><幸運LV10><自動書記LV-><超越LV->
装備:彗星弓・コメット、聖剣・タリスマン、聖剣・タリスマンの指輪
補足7:<料理>は自力でレベル10にしてから統合スキルをレベル10にした。
マリア
LV2019
スキル:
武術系
<武術LV10><飛剣術LV10><魔法剣LV10><神聖剣LV10><剣帝LV->
魔法系
<魔法LV10><結界術LV10><固有魔法>
技能系
<技能LV10><忠誠LV10>
身体系
<身体LV10><縮地法LV10><環境適応LV10><完全耐性LV->
その他
<勇者LV9><外法LV10><幸運LV10><超越LV10><草薙剣LV-><八咫鏡LV-><八尺瓊勾玉LV->
装備:太陽神剣・ソルブレイズ、月光神剣・ルナライト
セラ
LV2018
スキル:
武術系
<武術LV10><飛剣術LV10>
魔法系
<魔法LV10><固有魔法>
技能系
<技能LV10>
身体系
<身体LV10><環境適応LV10><完全耐性LV->
その他
<幸運LV10><英雄の証LV9><敵性魔法無効LV-><超越LV->
装備:守護神の大剣、守護神の大楯
間章は次話で終了予定です。その後は本編に戻ります、多分。
今更ですが、間章ではなく、別作品としてSS置き場を作るべきだったのかもしれません。
小出しにするなら、今からでも作ろうか検討します。短編が本編の邪魔と言う意見も分かるので……。




