第87話 結界と秘境の結末
5章の最後、いつものリザルト回です。
切りどころがわからなくて、無暗に長くなってしまいました。そして大半が説明。
エルの名付けが終わったところで、一通り確認するべきこともなくなった。
他のメンバーはまだ結界付近で待機してくれているので、そろそろ戻ることにしよう。
ブルーに乗り結界に向けて飛んでいく。
面倒なことになりそうなエルは、再びうどんのようにちゅるんと吸い込んでおいた。
L:出来れば、ずっと顕現していたいのじゃが……。
少なくとも『竜人種の秘境』では顕現させるつもりはない。
それ以外でも、外に出ている時は基本的に出さない予定だ。
後、見られて困るときは疑似人格も休眠状態にするからな。
L:無念なのじゃ……。
A:聞き分けが悪いようなら、人格の破棄を検討いたします。
L:そ、それだけは勘弁なのじゃー!
アルタさん、エルに対して全く容赦がないですね。
当然、アルタがエルの人格を破棄したいと言っても、俺が許可することはないのだが……。
A:同じ疑似人格として、下手なことを許すわけにはいきません。
L:うう……。アルタ殿にも逆らえんから、大人しくするのじゃ……。
始祖神竜としての威厳なんざ、微塵も残っちゃいないな。
……まあ、時々は外に出してやるから、そんなに落ち込むな。それに、使い魔としてやってほしいことがあれば、その都度出すことになるからな。
L:約束じゃぞ!時々でいいから出して欲しいのじゃ!使い魔仕事バッチ来いなのじゃ!
A:うるさいです。
L:はいなのじゃ……。
何か可哀想だし、屋敷にいるときくらいは顕現させておいてあげてもいいかな……。
「ご主人様、そろそろ着くわよ」
「おう、ご苦労様」
そろそろ『竜人種の秘境』の結界(破壊済み)に到着する頃だ。
さくら達は一か所に集まって俺のことを待ってくれているみたいだな。
さくら達のいる付近に向けて高度を落としていく。
「ボス戦、終わったぞ」
「仁様、お疲れ様です」
「仁君、お帰りなさい……」
「きゅー《おかえりー》」
皆が出迎えてくれたので、俺もブルーから飛び降りる。
俺が降りた後、ブルーも人間形態(全裸)に変化している。ちなみに、ミカヅキとリーフも既に人間形態(服有)である。
「ああ、特にセラはご苦労だったな」
「いえ、問題ありませんわ。あの程度の魔法ならば、苦も無く消し去れますので、お気になさらないで下さい」
「セラちゃん、最後大活躍だったものね!」
ミオの言う通り、セラは最後に始祖神竜の最大級ブレスを消してくれたからな。
それにしても、魔法が一切効かないって、本当に色々と有用だよな。
英霊刀・未完でも魔法を吸収できるし、対魔法戦力はかなり整っていると言えるだろう。
「それはそうとご主人様!スキルとか色々と手に入れたのよね!」
「ああ、今回はかなり大量だったぞ。後で説明してやる」
「やったー!」
ミオはスキルの方に興味津々のようだが、とりあえずは後回しにさせてもらう。
一通りは検証済みだが、ミオに話をすると意外な使い道が出てくるかもしれないからな。
出来れば、もっと落ち着いた状況で説明してやりたい。
「ミカヅキとリーフもご苦労様。問題はなかったか?」
「はい。問題は何もありませんでした。……ただ、戦いが終わってから、妙に体が軽いのですが、これはどうかしたのでしょうか?」
「わたしもですよー。何か身体に力がみなぎってきていますー。これなんですかー?」
さくらとミオを乗せて戦ってくれた、ミカヅキとリーフのことも労った。
しかし、彼女たちはレベルアップと急激なステータス上昇には慣れていない様で、不思議そうにしている。
今回の戦闘では大量のドラゴンを討伐したので、全員が全員相当なレベルアップを果たしている。もちろん、騎獣として参加していたブルー、リーフ、ミカヅキも例外ではない。
「よく考えれば私もそうね。きっとご主人様が何かしたんでしょうけど……」
「ああ、なるほど……」
「……?」
多少なりとも俺と付き合いのあるミカヅキは、ブルーの言葉だけで少し納得してしまったようだ。解せぬ……。
ただ、付き合いの浅いリーフだけは理解していないようだな。
「もう、ご主人様の人となりを理解しているようですわね」
「まあ、仁君ですから……」
セラ、さくら、そこはフォローするところじゃないのか?
「……ブルー達のは単なるレベルアップの影響だろ?詳しいことは後で誰かに聞いてくれ。それより、そろそろ『竜人種の秘境』の中に戻ろう。ドラゴンが全滅したのに、いつまでも族長たちを放っておくのも憐れだし」
今度は全員で『竜人種の秘境』の中、族長の屋敷へと向かっていく。
正確には向かっているのは『丑の門』だ。族長の屋敷と、壊された『未の門』をつないだ延長線上にある『竜の門』である。
そこにほとんどの竜人種が集中しているからな。
しばらく飛んだら『丑の門』が見えてきた。
ちなみに、部外者が多いので、『ポータル』は使用していない。念のためと言う奴だ。
「おお、お主達、無事じゃったのか!」
戻ってきた俺達を見つけた族長が竜人種の集団から出てきて、安堵の声を上げる。
そう言えば、老人喋りと言うことで若干エルと被っている気がするな。
L:酷いのじゃ!妾をこんな爺臭い奴と一緒にするでない!
A:……。
L:煩くしてすまんのじゃ……。
「まさか、本当に外のドラゴン達を全滅させてしまうとは、思わんかったのじゃ」
「言っただろ?ドラゴンを倒すって。俺は約束は……」
「よくも!よくもアカツキを!」
族長と話を続けようとしたら、竜人種の中から、どことなく見覚えのある老婆が出てきた。
ああ、蛆虫野郎のいた分家の老婆か……。その後のドラゴン戦の方が印象が強かったから、すっかり忘れていたよ。
老婆は俺に掴みかかってこようとしているが、周囲の竜人種がそれを抑えている。どうやら、族長が蛆虫野郎の末路について説明したみたいだな。
「先も説明したじゃろうが!アカツキは『竜の門』を破壊し、秘境を滅ぼそうとした!どのみち極刑以外はなかったのじゃぞ!」
「アカツキはその人間共に嵌められたのです!『竜の門』の破壊だって、人間共が行ったことをアカツキのせいにしたに決まっています!」
「ワシも直接見ているんじゃぞ!」
「族長もアカツキの事を疎ましく思っていたのでしょう!?何の証拠にもなりません!」
「はぁ……。今は何を言っても無駄なようじゃな……。連れて行くのじゃ……」
まるで話の通じない老婆に対し、族長が深いため息をつく。
族長の言う通り、今の老婆は何を言っても自分に都合のいい解釈しかせず、こちらへの敵意を収めることはないだろう。
族長が手を上げると、老婆を抑えていた竜人種達が、老婆を掴んだまま後ろに下がっていく。
「離しなさい!私の話はまだ終わっていないのですよ!私を誰だと思っているのです!」
フェードアウトしていく老婆から目を離し、再び族長に向き合う。
「ああいうのはちゃんと抑えておいてくれよ……」
「すまんかったのう。先ほど説明をしたときは大人しかったから、油断していたのじゃ」
「……まあいい。見ての通り、ドラゴン達は全滅させたから、集落に戻っても問題はないぞ」
「そうじゃな……。とりあえず、戻るしかないじゃろうな……」
族長は歯切れの悪い言い方をし、他の竜人種達に集落へと戻るように伝えた。
他の竜人種達も一様に不安そうな顔をしたまま、族長の指示に従って集落へと戻っていった。
まあ、今後の事を考えたら、明るい気持ちになんかなれる訳がないよな。
族長は責任者として最後まで『丑の門』に残るという話なので、俺達もそれに付き合う。
族長には話しておきたいこともあるからな。
「竜人種達は今後どうするつもりなんだ?」
ほぼ全ての竜人種が『丑の門』を離れた時点で族長に質問をする。
「そうじゃな……。『竜人種の秘境』を守る結界が割れた以上、周囲のドラゴンを一時的に全滅させたところで、再び集まってくるのは明白じゃ。この秘境は既に竜人種にとっての安全圏ではなくなっておる」
『竜人種の秘境』の周囲にある『竜の森』と言うのは、元々ドラゴンが生息していた訳ではなく、『竜人種の秘境』があるからこそできたモノだった。
竜人種がいる場所にドラゴンは集まってくるのなら、一時的に全滅させても根本的な解決にはならない。
「今、ワシらに残された選択肢は3つある。まず、これが1番確実なんじゃが、ドラゴンを倒す力を持ったお主達に『竜人種の秘境』に永住してもらえるように頼み、お主達に秘境を守ってもらうと言うモノじゃ」
「きゅー!《みがってすぎるー!》」
族長があまりにも他力本願なことを言うので、俺に肩車をされているドーラもぷんぷんと怒っている。
族長はすぐに頷いて話を続ける。
「無論、こんな願いを聞いて貰えるとは思っておらん。あまりにもこちらの都合を押し付けすぎているからのう」
「それはそうだ。一応、俺にも目的があって旅を続けているわけだし、一か所に永住するつもりは今のところない。配下を守るというのも主義だが、『永住して秘境ごと守れ』と言うのはあまりにも度を超し過ぎている」
『力を貸してほしい』と言うのならともかく、『人生を捧げろ』なんて要求をしてくるような配下なら、こちらから願い下げである。
その場合、迷わずにテイムを解除して放逐だ。
なお、『秘境を守れるように鍛えてくれ』ならばOKだったりする。
ちなみに、ドーラ(肩車)はここに至るまで1度も『竜人種の秘境』に対する助力、助命を俺に頼んで来ていない。
どんだけ秘境に興味ないんだよ……。
「じゃが、それくらいには後がないというのも事実なのじゃよ……。他の選択肢は、1つがお主達に頼らず、ドラゴンが来たらその都度自力で討伐していくと言うモノ。そして、最後の1つがこの秘境を捨て、常に移動を続けることでドラゴンに捕捉されないようにすると言うモノじゃ」
族長はさらに2つの案を出したが、すぐに首を横に振った。
「しかし、正直な話どちらも現実的とは言えん。ここに残る?この間のようなドラゴンが1匹やってくるだけで壊滅するというのにか?移動を続ける?目的もなく逃げ続ける旅に、ずっと引きこもっていたワシらが耐えられると?」
族長が言うまでもなく、どちらの選択肢にも明るい未来はないだろう。
そんな貴方に朗報です。
「少なくとも、この秘境を出て行く必要はないと思うぞ。秘境を守る結界はもう修復されているからな」
「……は!?」
口を大きく開けて呆けた顔をする族長。
蛆虫野郎によって壊された結界の中に入ってから、『丑の門』に向かうまでの間に、ダンジョンマスターになって結界を直した。それだけの話である。
『ポータル』を設置済みなので、ダンジョンコアの間に行くのは一瞬で済むからな。
ついでに、『竜の門』が壊れたことで無効になってしまった機能もいくつか回復させておいた。
本当は『竜人種の秘境』のダンジョンマスターにはならないつもりだったが、ここまで状況が荒れてしまったのならば仕方がないだろう。
「俺達が結界の中に戻ってしばらくしたら、結界が修復されたみたいで外に出られなくなっていたんだよ」
嘘ではない。その修復を行ったのが俺達であるということを伝えていないだけだ。
「『封印の洞窟』に何があったというのじゃ……?」
あの地下ダンジョン、『封印の洞窟』なんて無駄に格好いい名前で呼ばれていたのか。
ほぼ無人の手抜きダンジョンのくせに生意気な……。
「ま、まさかお主達が……!?」
「さて、何のことかね」
まあ、この状況で俺達が無関係と思う程、族長はボケていないということだ。
とりあえず、知らない振りをしてみるが、あまり効果はないだろうな。
「……もう驚くまいと思っておったのじゃが、まだまだ甘かった様じゃな」
「ちなみに族長はその洞窟について、どれだけのことを知っているんだ?」
驚愕を顕わにしている族長に質問をする。
俺の知識はアルタとダンジョンコア由来のモノだが、族長はどれくらいの情報を持っているのか気になった。
「あの洞窟については、代々族長のみに言い伝えが残っておるのじゃ。言い伝えでは、あの洞窟は竜人種が100人以下になった時に開くとあった。そして、その中にある宝珠があれば、結界を直すことも可能じゃろうが……。『竜の門』が破壊された段階で、結界の解除条件がなくなるという話もあり、あてには出来んと考えておったのじゃ」
伝承に間違いや不足はないな。
そこまで知っているのなら、族長もダンジョン製作者の意図に気付いているのかね?
「……しかし、その宝珠は最初に触れた者にしか扱えん。そして、最初に触れた者が『竜人種の秘境』の全てを管理することが出来るようになるという話じゃ。……つまり、この『竜人種の秘境』はお主に支配されてしまったということじゃな」
「……まあ、ここまで来て隠す意味もほとんどないか。その通り、この秘境はこの俺が征服した。何か文句があるか?」
中途半端な誤魔化しを続けるのは趣味じゃないので、開き直って征服宣言をしてみた。
「悪いとは言わんよ。どのみち竜人種に未来はなかったのじゃ。ある意味、最初に言った『お主に守ってもらう』に近い形じゃともいえるしのう。……して、お主はこの秘境の支配者になり、ワシより、族長・皇帝よりも強い権限を得て何を望む?」
「それは……」
族長の問いに対し、俺は俺の望みを答えた。
族長との話を終えた後、俺達も集落へと戻った。
族長は集落の竜人種達を集めて、『竜人種の秘境』の結界が俺達の手によって修復されたことを公表した。
ただし、その手段については公表しなかった。もちろん、『竜人種の秘境』の管理権が俺の手にあるということもだ。
ほとんどの竜人種は、結界が修復されたことを素直に喜んでいたが、一部の勘の良さそうな竜人種は、その裏にある事実にうっすら気が付いているのか、複雑そうな顔をしていた。
その勘の良さそうな連中は、俺にテイムされていない竜人種に限られている。そうだよな。勘の良い奴が、食欲に負けてテイムなんかされないよな。
そして、その後に族長はある宣言をした。
それは、この秘境にある掟を一部改定すると言うモノだった。
当然、竜人種の大部分はそれに反発した。しかし、続く族長の言葉でその反発の大部分は強制的に黙らされることになった。
「掟を変えねば、再び結界が壊れるとしても、同じことを言えるのか?」
俺の指示通りに掟を変えなければ、俺の権限で結界を壊すって脅しているんだから当然だよね。
族長の有無を言わせない発言に、住民たちは渋々改定案を受け入れることになった。
次に議題に上がったのが、今回の『竜の門』破壊の責任追及だ。
族長、及び『竜の門』の門番達が蛆虫野郎の責任であると明言をした。
蛆虫野郎の死亡は既に公表されており、非難を浴びたのは老婆の一派である。
最初、蛆虫野郎の独断であると言い訳をしていた一派だが、蛆虫野郎の行動を誰も止めていなかったことと、老婆が蛆虫野郎を擁護して俺達の行動を邪魔していたことから、一派全体の責任とされた。
老婆達の一派は見苦しくも身勝手な反論を続け、最後には『竜人種の秘境』から完全に離反することを選んだ。
後でリーフに聞いたところ、相当に酷い言い争いだったそうだ。不快になるのがわかっていたから、一時的にその場を離れていたんだよね……。
罰を与えるだけで済ませるという族長の言葉を無視し、老婆達は少しの身支度の後、『丑の門』から秘境の外へと旅立って行った。
老婆達が生きてどこかに辿り着くことを考えると、竜人種及び『竜人種の秘境』の秘匿性はほとんどなくなったと言っても良いだろう。
そこで、族長に頼まれて俺は『竜の門』の転移機能を無効にすることになった。これで、老婆達の係累が『竜人種の秘境』に戻ってくることはなくなった。
俺達は『ポータル』で行き来が出来るから関係がないしな。
『ポータル』に関しても族長に説明をしておいた。もちろん、異能など詳細は説明せずに現象だけだが……。そして、族長によって『ポータル』の件も公表されることになった。
その結果、何が変わったのかと言えば、俺はテイムした竜人種達をある程度自由に外に連れ出せるようになった。
その理由は、竜人種が秘境外にいるリスクが消滅したからだ。具体的には3つ。
老婆達が秘境を出て行ったせいで、秘匿性が保証されなくなったことが1つ。
『竜の門』が機能を停止して、竜人種であろうとも『ポータル』以外では『竜人種の秘境』に入れなくなったことが2つ。
『竜人種の秘境』の管理者である俺が、竜人種をテイムした主人であることの3つである。
竜人種がドラゴンに襲われないのか?と言う心配は不要だ。
そもそも、ドラゴンは竜人種の具体的な居場所がわかる訳ではない。
竜人種が放つ高位の<竜魔法>に反応して、おおよその居場所がわかるだけだと始祖神竜が言っていた。
つまり、秘境の外でも高位の<竜魔法>を使わなければ問題がないのだ。無論、偶然でも見つかれば迷わずに襲ってくるが……。
よって、俺は何の遠慮もなくテイムした者達を秘境の外に連れ出せるようになった。
逆に、俺にテイムされれば秘境の外に出られることを知った好奇心の強い者達が、テイムを希望する事態になったくらいだ。
もちろん、引きこもりの常識知らず共をいきなり街に放つことも出来ないので、メイド達による調教が済んでからになるだろうな。
上手くすれば竜人種に乗った竜騎士部隊とかも作れるかもしれないので、今後に期待である。
そして、これがある意味1番の難問だったのだが、「次期族長」についての話である。
結論から言えば次期族長の選出は保留となった。しばらくの間は族長に引き続き『竜人種の秘境』の(表向きの)長として管理を続けてもらう。
もちろん、いずれは次期族長を決めなければいけないだろう。
しかし、元々竜人種はその寿命故に気が長く、急な変化に対応するのが得意ではない。今回、様々なことが急に起こったため、次期族長選出には結構な時間がかかるだろう。
補足すると、ドーラ、ブルー、リーフの3人にも次期族長候補としての資格が復活した。
普通の人間の従魔ならともかく、『竜人種の秘境』の管理権限を持つ俺の従魔と言う事は、ある意味より族長候補として相応しい立場であるとも言える。
『竜人種の秘境』の族長と言うのは、迷宮支配者の代行業みたいなものだからな。
そうそう、ブルーに関しては『竜人種の秘境』に立ち入る権利も復活したよ。ドラゴン撃退に貢献したことで恩赦が出たみたいだ。
尤も、ブルーとなった今、族長にこだわる理由が無くなってしまい、元々興味のなかったドーラ、リーフも含めて誰1人として族長になりたいとは言わないんだけどな。
掟によっては3人以外の誰かが族長になるかもしれないし、どうするかは竜人種達が決めることだろう。
秘境の管理権限を持つ俺の一存で決めることも出来るだろうが、俺はそんなめんど……、竜人種の意思を蔑ろにするようなことはしないからな。
族長たちの話が終わった後、最後の準備を終えた俺達は『ポータル』で帰ることにした。
加えて言うのなら、屋敷に連れて行く竜人種の第1陣も一緒だ。
「さて、それじゃあ忘れ物はないな。……何か忘れていたとしても、すぐに戻ってくればいいだけなんだがな」
「ご主人様といると、本当に旅をしているのかわからなくなってくるわよね」
ミオが今更分かりきっていることを口にする。
「そうですね……。下手をすれば元の世界で旅をするよりも快適だと思います……。元の世界で友達や家族と旅行なんてしたことないですけど……。そもそも、友達がいないので……」
「あー……」
さくらの地雷はどこに埋まっているのかわからないからな。ミオも言葉に詰まっている。
「あ、すいません……。こっちの世界には友達もいますから、大丈夫です……。サクヤちゃんとか、カトレアちゃんとか……」
さくらとサクヤは友人で、サクヤとカトレアは食道楽仲間?だ。
その縁でさくらとカトレアも友人になったらしい。基本的には奴隷や従魔以外の配下、さくらと同じ立場の者と友好関係を築いているようだ。
「さくら様の友達は王族ばかりですわね。いえ、異常なのはその全員がご主人様の配下と言う事の方ですわね……」
「仁様ですから。王を統べるくらい当然のことです」
少なくない人数(2ケタ以上)の王族を従えているので、俺からは何も言えないんだよな。
ああ、ある意味では『竜人種の秘境』でも王族に近い存在を配下に加えたことになるのか。テンリ、ヒスイ、始祖神竜の3人だ。
L:妾は別に王族ではないのじゃぞ?命令権のようなモノも持っておらんかったし……。
言われてみればそうか。じゃあ、ブルーとヒスイの2人だけか。
L:2人『だけ』と言えるのがますたーの恐ろしい所じゃな。
確かに、色々と感覚が狂ってきている自覚はあるな。
王族が配下になるのが当たり前に思えてきているから……。
さ、さて、準備も終わったことだし、本当にそろそろ帰るとするか。
「じゃあ族長、『竜人種の秘境』のことは任せるぞ」
「うむ、任せておると良い。何か問題があった時は連絡をするのじゃ」
「ああ、そうしてくれ」
いくら『竜人種の秘境』を支配したとはいえ、俺は秘境に常駐するつもりはない。基本的には今まで通り族長にトップに立っていてもらうつもりだ。
族長自体は俺にテイムされているわけではないが、秘境には俺の配下が何人もいるので、族長から俺に連絡を入れることも不可能ではない。
ついでに言えば、メイド達の一部が『竜人種の秘境』に駐在するつもりらしい。理由を尋ねたところ、これだけ広大な支配地域をメイドネットワークから外すことなんてできない、と言われた。
言っている意味が良く分からなかったので詳しく聞いてみると、メイド達は独自にネットワークを構築しており、俺の管理する土地、拠点などに最低2人はメイド達を駐在(ローテーション制)させているらしい。
だから、カスタール女王国やエステア王国の王宮にもメイドの一部が入り込んでいるのだとか……。どんだけだよ……。
「きゅ、きゅいきゅーい《おじいちゃん、ばいばーい》」
「うむ、シラユキも、いや、ドーラも元気でやるのじゃぞ」
「きゅ!《うん!》」
族長がシラユキと呼ぶのを止めたところで、俺達は『ポータル』によりカスタールの屋敷へと転移した。
「主様、お帰りなさいませ」
「お帰りなさいませ」×30
屋敷へと戻った俺を出迎えたのは、いつも通りピシッとメイド服を着こんだルセアと、30名くらいのメイド達だった。
もう大分慣れたが、相変わらずの殿様待遇である。
「ああ、ただいま。一緒にいるのがさっき話した竜人種だ。しっかり教育しておいてくれ」
「はい。かしこまりました」
そう言って一緒に転移してきた竜人種達を指す。
竜人種達は初めて秘境の外に出たせいか、周囲をきょろきょろ見渡しており、上京してきた田舎者のようだった。まあ、間違いではないのだが……。
彼らには、まずは人間世界の常識を教え込む。その後、それぞれの目的に合わせた教育をしていくことになる。半分以上は料理を仕込むみたいだけどな。
もちろん、ブルー、リーフ、ミカヅキにも常識の教育は必要だから、ここで一度別れることになる。ブルーは名残惜しそうにしていたが、最後には諦めてトボトボ歩いて行った。
メイド達の用意した夕食を食べ、久しぶりにじっくりとお風呂に入った後は、お楽しみのリザルト紹介の時間だ。
早速、今回のドラゴン軍団戦、及びその後の始祖神竜戦で得たスキルや異能、武器などを皆に説明した。
「と言う訳で、俺は新しい武器とスキル、そして3つの異能を手に入れたと言う訳だ」
「それで顕現したのが妾という訳じゃ」
一通り説明を終えたところで、始祖神竜のエルを顕現させてみた。
俺の身体から、さっきまで戦っていたドラゴン(美少女モード)が出てきたときは、皆も驚いてくれた。
「相変わらず、ご主人様の異能はぶっ飛んでいるわね」
《むー!ドラゴンきらーい!》
いつものように苦笑するミオと、エルを見て嫌悪感丸出しのドーラである。
エルも嫌われる理由がわかっているので、困ったような顔をして俺の方を見てくる。
「ますたー、どうしたらいいのじゃ?」
「ドーラ、コイツはもう俺の使い魔だ。ドーラに対して、悪さなんかしないぞ」
「そうじゃ。妾はますたーの所有物じゃ。竜人種に対する敵意などもう持っておらぬ」
《むー……。わかったー、ごしゅじんさまがそう言うなら、ドーラがまんするー……》
しばらく悩んでいたドーラだったが、最終的には我慢してくれることになった。
まあ、精神的に深い部分にある嫌悪感をそう簡単には無くせないよな。だから、我慢してくれるだけで十分だ。
「よーし、ドーラはいい子だなー」
《えへへー》
そう言ってドーラの頭を撫でる。
今までの不機嫌そうな顔はどこかへ吹っ飛び、今は満面の笑顔である。可愛い。
「それで仁様は始祖神竜の<完全耐性>スキルを使えるのですよね?」
「ああ、そうだな。他にも<竜体>とか<竜術>、<始祖竜術>も使えるぞ。それがどうかしたのか?」
マリアの問いに答えるが、何となく<完全耐性>をチョイスしたことは予想が出来る。
「これで仁様の身がより安全になったのですよね。そう思うと嬉しくて……」
「マリアさんも相変わらずですわね……」
俺やセラの予想通り、俺の身の安全に関わることだった。
とは言え、<完全耐性>が今回の戦いで取得した1番の当たりスキルだというのもまた疑いようのない事実だろう。
なんと言っても状態異常完全無効だ。ゲームだったら一点物級のアイテムや、クリア後にしか手に入らないアイテムと言ったレベルだ。
強者が格下に敗北する場合、その多くは奇襲か油断か状態異常である。
その内の1つを潰せると考えると、やはり強力なスキルであることは間違いがない。
「でも、仁君が安全になるのは良い事ですよね……?」
「それはもちろんですわ。ご主人様は割と平気な顔をしてとんでもないことをしますから、耐性はあって困るものではないですもの」
「そうよね。誰に耐性を付けるか聞かれたら、迷わずにご主人様一択よね」
《ごしゅじんさまがむてきー!》
満場一致で俺専用スキルらしい。
「それにしても、本来使えないスキルを異能で無理矢理有効化するって、いよいよもってゲームのチートっぽくなって来たわよね」
「それは俺も考えたよ。ゲームだと大体そう言うチートって不具合動作の元なんだけどな」
俺もミオも相変わらずのゲーム脳である。
ちなみに俺の知っているのは、バグやチートで本来使えない種類の武器を装備して戦うと言うモノだ。グラフィックや仕様上の都合でフリーズしたりすることもある。
「そうなんですか……?私はあまりそう言う話には詳しくないですから……」
さくらもゲームをしたことのある異世界人だが、細かいチートの話にはついて来れないようだ。真っ当なプレイヤーなんだろうな。
ベータテスト中にデータ改ざんする友人にも見習わせてやりたいよ。
「そうねー。この世界がゲームだったら、ご主人様の身の回りはバグとか不具合の温床よね」
「そりゃそうだ」
尤も、そんなことを言い出したら、新しく魔法を創りだすさくらの<魔法創造>はどうなるという話ではあるが……。
だって、仕様にはない魔法を勝手にゲームに追加するって話だぞ。完全にゲーム自体を作り変えているだろう?ちょっとしたバグで済む話じゃないと思うぞ。
異能の考察は始めるとキリがないからこの辺りにしておこう。
「で、次は最終試練の話か。エルの事をぶっ刺したら、霊刀・未完が進化して、俺が称号とスキルを得ることになったという話だな」
武器は超強化、スキルは死にスキル、称号は添えるだけ。
実質武器にしか役に立っていないという体たらくである。
「仁様の武器が強化されたというのなら、私に是非はありません」
「マリアちゃんはそうかもしれないけど、普通はそれで済む話じゃないからね?神話級よ神話級!レア度の上から2番目よ!」
マリアはもうコメント不要として、ミオの方は興奮しっぱなしだ。
もちろん、その気持ちはもわからなくもない。
「俺の予想では、最上級のレア度である創世級になったら、『未完』が『完』になると思う」
「もう一回、エルちゃんのことをぶっ刺したら行けるかしら……」
「や、止めて欲しいのじゃ!?妾も最終試練とか初耳なのじゃ!それに最終なのじゃから、1度しか有効じゃないと思うのじゃ!」
物騒なことを言うミオにエルもたじたじである。
エルの言う通り、もう1度エルを刺したからと言って、同じことが起こるとは思わないけどな。
「正直、<超越>が死にスキルになるのは勿体ないから、次に機会があったらマリアに止めを刺して欲しいな。出来れば、『英霊刀・未完』を持った状態で……。ああ、でも俺専用だから効果が使えないのか……」
元々スキルポイント取得にボーナスの大きいマリアだ。<超越>スキルのボーナスがついたら、どんなことになるのか想像もつかない。
だからと言って、その時に俺専用装備の『英霊刀・未完』を持っていても、武器としては役に立たない。痛し痒しとはこのことだろう。ちょっと違うか?
「お任せください!『英霊刀・未完』を持った状態で最終試練とやらを殴り倒せばよいのでしょう?仁様が肉弾戦を得意としていらっしゃるので、私も鍛錬は欠かしておりません」
マリアが自信満々に言うが、想像してみて欲しい。
12歳の少女が、刀を持った状態で、凄まじい威圧感を放つドラゴン(エル)を殴り飛ばす光景を……。シュールだし、意味不明である。
そして、問題は『12歳の少女』以外の部分は概ね俺そのものだということだ。……何やってんだろうね、俺。
「その時は頼む。だが、無理をして『英霊刀・未完』を持たなくてもいいからな?」
「いえ、大丈夫です!お任せください!」
マリアの目を見ると真剣そのものだった。刀だけに……。
久しぶりに下らない駄洒落が出たな……。
リザルトについての話を一通り終えた後、俺達は迷宮の53層に来ていた。
「じゃあ、タモさん。これを吸収してくれ」
そう言って俺が<無限収納>から取り出したのは、『竜人種の秘境』で討伐したドラゴンの死骸の山である。
もちろん、この死骸の山はタモさんに吸収させて、タモさんを強化するために使うつもりなのだ。それぞれの種類を1匹ずつ吸収しても十分に余る量を討伐したからな。
余談だが、ドラゴン軍団戦ではドラゴンをほとんど回収できなかったのだが、その後でダンジョンマスターになった際に一括回収で集めたのだ。
《わかっ……た……》
それだけ呟いて、タモさん達は言われたとおりにドラゴンの死骸を吸収していく。
タモさんは、<分裂>スキルにより現在16匹にまで増えており、その内の14匹がここに来ている。
それぞれがドラゴンを吸収していくので、瞬く間にドラゴンの死骸は消えて行った。
「とんでもない光景じゃ。どうやら、ワシの知っておるスライムとは違うようじゃのう……」
「タモさんはご主人様の懐刀だからね。実際、懐に入っていることも多いし」
「そうですわね。隠れた防衛戦力としては一級品ですわ。王家御用達ですわ」
エルの驚愕にミオとセラが答える。
現在、この場にいない2匹のタモさんはサクヤとカトレアの懐に入っている。セラの言う王家御用達とはその事だろう。
サクヤとカトレアは王族だ。そして残念なことに敵も多い。
しかし、2人はそれほど戦闘能力が高いわけでもない。いざという時の備えはいくらあっても困らないだろう。と言う訳でタモさんをSPとして貸し与えることにしたのだ。
マップがあれば大抵は大丈夫だと思うが、念には念を入れて、と言うことだ。
全てのドラゴンを吸収し終わった後、今度はタモさん達が一か所に折り重なるように集まった。
「ん?今度は何じゃ?」
「吸収した魔物の情報を共有しているみたいだな。そうすると、全員が全てのドラゴンに<擬態>できるようになるんだ」
「本当に謎の生態ですよね……。どうなっているんでしょうか……?」
さくら、タモさんの生態を真剣に考えるのは止めた方が良いと思うよ。
タモさん達は混ざりあって1つの巨大タモさんになる。その後、再び分裂して14匹のタモさんに分かれた。
これだけで<擬態>対象が増えているので不思議だ。ちなみに、この方法は同一個体でしか使用できないため、そこらのメタモルスライムを捕まえて混ぜようとしても弾かれてしまうだけだ。本当に、謎生態である。
その後、タモさん達は俺の指示通りにドラゴンへと<擬態>していった。
とりあえず、『火神竜』、『水神竜』、『地神竜』、『風神竜』と言った、偉そうな名前のドラゴン達に変身させてみた。
「ドーラ、嫌悪感はあるか?」
《ないよー。だいじょうぶー》
「それじゃあ、ドラゴン形態を使っても構わないな」
ふむ、美少女形態で顕現したエルには嫌悪感があるのに、ドラゴン形態に<擬態>したタモさんには嫌悪感がないのか。不思議だ。
もしもドーラがタモさんドラゴンフォームに嫌悪感があったら、ドラゴンへの<擬態>は禁止するところでした。
「よし、ご苦労様。それぞれ持ち場に戻ってくれ」
《わかった……》
タモさんドラゴンフォームをひとしきり鑑賞した後、タモさんにそう言って持ち場に戻らせる。まあ内1匹は残っているんだけどな。目的?俺の護衛だよ。
迷宮から屋敷に戻り、そろそろ寝るかと言うところで、大きな問題が発生した。
《ドーラがペットだから、ドーラがいっしょにねるの!》
「私はご主人様の騎獣よ!寝るときも一緒にいたいんだから!」
「使い魔である妾がますたーと一緒にいるのは、自然なことだと思うのじゃ」
簡単に言えば、ペット、騎獣、使い魔の縄張り争いである。
3人は3人共俺と同じ部屋で寝ることを所望したのだ。よく一緒に寝ているドーラはともかく、他の2人が同じ部屋を要求してきたときには驚いたものだ。
《だきまくらの座はゆずらないよー!》
「くっ、それは仕方があるまい。じゃが、ブルーとやら、そもそも、お主は騎獣じゃろ?だったら宿舎で寝るのが相応しいんじゃないかのう?」
「な!?私に馬小屋で寝ろっていうの!冗談じゃないわ!アンタこそ邪魔だから、顕現なんてしないで大人しくしていなさいよ!」
「それは絶対に嫌じゃ!折角ますたーが屋敷の中では常に顕現していていいと言ってくれたのじゃぞ!寝るときだって顕現していたいのじゃ!」
幸か不幸か俺のベッドは広いので、ドーラを除いて後1人くらいは余裕で入れる。
そのスペースに騎獣か使い魔のどちらが入るかと言うのが、今回の大問題である。
まあ、見ていればわかるが、本格的な敵対と言う訳ではなく、俺を筆頭とした群れの中でどちらが上位の存在かと言うことを主張し合っているという方が正しいみたいだ。何と言うか、獣ベースの考え方だよな。
この場合、個々の戦闘能力は関係なく、大切なのはどちらが俺に気に入られているか、である。俺の隣で寝るということは、その証拠になるということなのだろう。
「ご主人様が決めて頂戴!私とこのドラゴン、どっちが一緒のベッドで寝るのか!」
「そうじゃの。いくら妾たちで争っても、最終的に決めるのはますたーじゃ!ならば、それで白黒決着を付けようではないか!」
当然、最終的にはそうなるよな。決めるのは俺だから。
そして、答えは最初から決まっている。
「いや、同じ部屋で寝るのは許したが、同じベッドで寝るのを許したつもりはないぞ」
「「な!?」」
2人が揃って驚愕する。
全く同じ反応をするなんて、本当は仲いいんじゃないか?
「ペットはともかく、騎獣も使い魔も一緒のベッドで寝るようなものじゃないだろ?この部屋で寝たいのなら、その辺に布団でも敷くか、小さめのベッドでも持って来いよ」
ベッドでのドーラのポジションは『抱き枕』。つまり寝具の1つだ(非道)。
ベッドの中に女の子がいればいいという話ではない。大切なのは俺の快眠に貢献出来るか出来ないか、と言う1点に尽きる。
「うー……。騎獣じゃあ、ペットには勝てないの……?相棒もいいけど、愛も欲しいよ……」
「くっ、これは誤算なのじゃ。少女の姿を取らせておるから、そう言うのが趣味なのかと思ったら、本気でただの使い魔として見ておるとは……。ますたーに取り入って、常に顕現し続けるという妾の目的が……」
よく聞いてみると、2人の立ち位置は微妙に違うんだよね。
まあ、騎獣と使い魔と言う別の立場からのアプローチなので、当然と言えば当然なのか。
「じゃあ2人とも別の部屋に行くか?頼めば部屋くらい用意してもらえると思うぞ」
「「それは嫌(じゃ)!」」
またしてもほぼ同じセリフを言う2人。やっぱり仲が良いんだな。
この時間に部屋を用意させるのもアレなので、どのみち今日はこのまま寝てもらうしかないんだけど……。
A:マスターがメイドに頼めば、時間に関係なくどんなことでもすると思います。
うん、だからこそ信者には気軽に頼みにくいんだよね。
気軽に頼んだことが、後にとんでもない事になってそうだから……。
結局、2人は俺の部屋の中に布団を敷いて、そこで眠ることにした。
『竜人種の秘境』に行ったのだから、ある意味当然とも言えるが、俺の周囲のドラゴン、竜人種率が急上昇した気がする。
……まあいいか。
来週は本編お休みで、再来週までに登場人物紹介(半数以上竜人種)と番外編(苦労奴も出るけど列伝ではない)をどこかで投稿します。
6章は毎週日曜更新できそ無理うです。