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木々の間から注ぐ光は、柔らかく辺りを青く照らしていた。いや、青だけではない。緑や紫、赤い光でさえも射し込んで森全体を光の粒で満たしている。この賑やかな光の中でも何処か寂しげであるのは、鳥や虫の声、風のさざめきが無いからだろうか。
はあ、と一人の少年は地べたに座り込んで、大袈裟な溜め息をついた。
「……なんでこんなところに……」
そう、ここは光の森。大人たちから聞いた、宝石でできたおとぎ話の世界。――だと思っていた。けれど、自分は実際にここにいる。
――スーノ、おばあさまによろしくね。お行儀よくするのよ。
数時間前に母から言われた言葉を思い出す。
祖母の見舞いに行く帰り、ほんの少しの遠回り。ほんの少しの好奇心。あの水溜まりを飛び越えようとしなければ。
スーノはもう一度溜め息をついた。
そう、服を汚して「帰りたくない」などと一瞬でも思わなければ、こんなところに迷い混むことなど無かっただろう。