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 彼女はそっと爪の大きさほどの石を差し出した。その石は彼女の髪と同じ色で、透き通った淡い緑色をしている。

「これ、あんたにならあげてもいいわ、スーノ」

「僕に……?」

 この森のものが人間の手に渡ることを、何よりも嫌った彼女が。スーノが驚いていると、オリビンは口を尖らせた。

「さっさと受け取りなさいよ。重いんだから」

「あ、ありがとう。大切にするよ」

 それはただの石。花の形をしてもいなかったし、本当にただの粗削りの宝石。そうだ、とスーノは思い立って、袖の飾りボタンを引きちぎった。

「僕だけ貰うのはなんだか悪いから」

 これ、とボタンを手渡す。花弁をたくさんつけた、木で出来た花。丁寧に着色もしてあって、宝石とは異なる柔らかさを伴っていた。

「くれるんなら、貰わないわけいかないじゃない」

 照れたように言う妖精は、ボタンを受け取ってぎゅっと胸に抱いた。

「……ねえ、オリビン」

 石をそっと握りながら、スーノは呟いた。

「また、君に会える?」

 そうね、とオリビンは頬に手を当て、考え込むようにふわふわと漂った。

「あたしが覚えてて、あんたがまた会いたいって言うのなら、会ってあげなくもないわ」

 じゃあ、とスーノは顔を輝かせた。

「絶対だよ! 約束だよ!」

「や、約束だなんて、確約できないわよ! あたしが忘れるかもしれないし、そんなの気分で変わるんだから」

 キイキイと言い募る彼女を、スーノはにこにこと見ていた。

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