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気まずい沈黙だった。
何か悪いことを言ったのではないかとスーノがヒヤヒヤし始めた頃、オリビンは彼の目の前に来て、腕を伸ばした。
「適当なこと言ってるんじゃないでしょうね!?」
「いた、いひゃひゃひゃ」
小さな手でつねられる頬は針に刺されるかのように痛い。たちまちスーノは涙目になる。
「だ、だっれ、ともらひ、いないのからっれ」
ぴたりとその手が止まる。
「……オリビン?」
つねられた頬をさすりながら、スーノは彼女に呼び掛けた。その顔はまるで何かを我慢しているような、悲しげな顔。
「……そうよ、悪い? でも、ここにくる人間なんて、愚かな奴らばっかり! そんな奴らと友達になったって、いいことなんて一つもないわ!」
ある者は近づいて宝石をねだろうとし、またある者は妖精を捕まえようと企み。たまたま迷い込んだだけの人間でも、この光り輝く森に目が眩むのだ。純粋に仲良くなろうとする者は誰一人としていなかった。
じゃあ、とスーノはにっこりと笑う。
「ちょうどいいや。僕の、初めての妖精の友達になってよ」
ダメ? と首を傾げる。オリビンはぐるぐると視界を彷徨わせて、何かを言いかけてやめるを繰り返し――。
「あ、あたしは構わないわよ。と、友達になってあげても……いいわ」
最後の声は小さくて掻き消えそうだった。
まったく、全然素直じゃないなあ。口には出さなかったけれど、スーノは思ったのだった。




