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  作者: 堂山鉄心
6/18

鏡 6

      6


 正志のやつ・・・

 あんな岩井さんの言うことなんて気にしやがって・・・

 俺達はいつも一緒にやってきたんだ。

 あんな昨日今日の付き合いしかない先輩に何が分かるって言うんだ?

 分かってるよ。

 何も言わなくてもお前の考えてることくらい手に取るように分かる。

 ほら・・・

 ばっちりアウト・ローぎりぎりにカーブを決めてやった。

 大丈夫だ。

 お前の配球に間違いなんかあるもんか。

 どうだ!

 さっきのカーブで身体が泳いだせいでイン・ハイの速球に手も足も出ない。次のストライクからボールになるアウトコースのスライダーに手を出せばよし。ダメでも最後のイン・ローで・・・

「何であそこでカーブなんだよ!」

 え・・・

 何で・・・って岩井さん・・・

 あっ・・・だめだ、だめだそのカーブはっ!

「わぁぁぁぁぁああああっっ!」


 夢・・・か・・・

 身体中が痛い。

 昨夜さんざん泣き喚いたせいで、喉も焼け付くようだ。

 俺はまた真一になってたのか・・・

「くぅ・・・」

 やはり・・・

 やはり岩井さんの言うようにあのカーブが間違っていたのか・・・

「違います。自分のコントロール・ミスです。」

「ばかやろう!そんなこたぁ分かってんだ。それより握力の落ちたお前に細かいコントロールで勝負させたことを言ってるんだ!そんなことも見抜けないで何が正捕手だ!」

 返す言葉がなかった。

 確かにその前から真一のコントロールは怪しくなっていたし、あの場面はそういうことも含めて配球を考えるのがキャッチャーの仕事だ。しかし・・・あそこで他に何を投げさせろって言うんだ・・・

 考えても仕方の無いことをグルグルと考えた。

 あぁ・・・俺が真一だったら・・・

 あそこでもう少し慎重に・・・ボールになっても良いくらいの気持ちで丁寧にアウト・ローに向けて・・・

 次はイン・ハイの速球だ。

 ん・・・全く反応出来ないじゃないか?

 じゃあ、お次はこのスライダーで・・・

 ほら・・・正志。やっぱり俺達は最高だ。俺達なら甲子園に行ったって誰にも引けをとらないぞ。

『彗星のように現れたキラ星・宮田真一。甲子園で大活躍の2年生に真の文武両道を見た。』

 マスコミだって俺を放っておかないかもな・・・

 その後、俺はプロのドラフトを蹴って東大の文一に入る。東大初の六大学制覇だって夢じゃない。

 あははははは・・・

 誰も俺を止めることなんて出来ないんだ。

 宮田真一は万能なんだから。




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