表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 堂山鉄心
3/18

鏡 3

       3

 

「正志君は本当に良く食うなぁ。」

「それだけだもんね。真一君に勝てるのは。」

 クリームシチューを取り分けながら俺の母親が笑う。

「あら・・・そんなことないわよ。正志君は面白くてクラスでも1番の人気者だって先生もおっしゃってたわよ。」

「そうなのよぉ・・・大して役に立たないことだけは得意なのよねぇ。」


 夜、部屋に戻って鏡を見る。

 そこに映っているのは、クラスの人気者という役回りを必死の思いで演じ続けている2番目の男だ。

 暫くして今度は窓を見る。

 この窓とほんの少しの空間を隔てた先にある窓。

 その先には真一がいるはずだ。

 何をしているんだろう・・・

 俺はまるで恋する女の子のように、狂おしいまでの気持ちで真一のことに想いを馳せる。

 寝転がって漫画でも読んでいるか?

 それともゲームでもしているのか?

 時々、難しい本を読んでいることはあったが、俺は真一が勉強しているところなど、ほとんど見たことがない。

 敵わない・・・

 世の中には稀に天才と呼ばれる者がいるのだそうだ。

「宮田は天才タイプ。それに比べて正志は努力の人だよな。」

 完全に別格扱いの真一に対して、俺は庶民のヒーローなのだろう。

 努力はする。

 でも、真一に対抗するのはほとんど諦めた。

 鏡の中の男は所詮2番目の男なのだ。

 しかし、3番目の男にならないための努力をしているに過ぎない。

 そして俺は眠りに就く。

 ベッドの中で俺は時折真一になって遊んだ。

 テストの結果発表。

 体育の時間。

 そしてクラブ活動。

 小学校のかけっこで、真一になって一番でテープを切る。

 中学の時の球技大会で、相手チームをノーヒットに押さえた。

 廊下の壁に張り出された実力テストの結果発表を、興味なさそうに横目で確認し、颯爽と歩き去る。

 弱いものには優しくしてやり、乱暴者には言葉で諭す。

 夢と現実の境目では俺は万能だった。

 真一は万能だった。


 朝、目が覚めたら俺はやはり俺だった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ