アルト3歳
生まれてから3年。
俺は龍のことについて毎日朝から晩まで勉強させられ、ある程度までいったら今度は魔法と、休み無く勉強をさせられていた。
といっても別に勉強が嫌いだったわけでもなければ、ファンタジー系のことはもともと好きだったこともあり、正直勉強をしているという気分ではなかった。
何が一番困ったかというと、やはり死んだばかりの生肉を食べることかな。
ヘタに火で焼こうとすると、龍の力は強すぎるのか消失したことが幾度かあった。
「父様、母様、俺は今日から外に出てもいいんですよね。」
「父様と一緒ならね。あなたにはまだ神王龍の加護が必要なんだから。」
母親は光王龍のため、神王龍の加護は与えられないらしい。
ま、当たり前か。結婚したところで龍としての性質が変わるわけねぇしな。
「飛ぶ練習もしなければな。きっとお前にも使命がある。
急ぐに越したことは無い。それに神王龍は10歳から20歳の間は人の社会で生きる決まりがある。」
それは今まで何度も言われた言葉だった。
位的には人間は龍より下の存在だが、物を作る技術は他の種族に負けないほどだという。
だから、その技術を学ぶために最低10年間は人の社会の中で生きなければならないのだ。
なぜまだ生まれて間もない10歳から20歳かというと、大人の龍はでこピン程度の力で人を殺せるが、このくらいの龍は意識して力をこめないと殺せないほどの力だからだ。
とはいえ、龍がそう頻繁に生まれてくるわけではないので、神王龍以外は100歳未満が行くことになっている。
たまに人間社会が気に入ってそのまま残る物もいるが、人間よりはるかに長寿のためドラゴアという種族であるとしている。
「わかっています。」
この世界ではまだ、この龍の島以外の場所を知らない俺は、正直わくわくしていた。
異文化に触れることはとても勉強になるのだ。人生においても。
「そうか。ならいい。さて、いくぞ。」
俺は父親の後について必死に空を飛ぶ。
この体の動かし方は、生まれた直後にわかった。
人間だったのが嘘のように、とてもしっくりきて動かしやすい体は、昔から自分の体はこれだったかのようにスムーズに動く。
しかし、まだ赤ん坊なため筋肉量は少なく、ちょっとしたことでも疲れている。
そんな俺を気遣って父親はゆっくりと隣を飛んでいる。
しかも、かなりな巨体が低空飛行しているため、下の木々はめちゃくちゃ揺れている。というか枝が何本か折れてしまっている。




