戦闘技術試験
先ほどのような魔法対策の結界が張られていない部屋に通された俺たちは、きょろきょろとあたりを見ていた。
島では戦闘訓練をする場所には必ず復元の魔法がかけられているのに対し、ここにはまったくかけられていないからだ。
「次は戦闘技術ね。魔法の使用は禁止よ。本気で来なさい。」
やばい、あちらさんは本気だ。
刃は潰してあるようだけれど、普通に剣を持っているあたりが怖いな。
龍スペックがあるから負けることはないけれど。
でも倒しちゃうと面倒だし、いいところまで戦って適当に負けるか。
「いくわよっ!」
来なさいとか言っておきながらお前が来るのかよ?!
俺は少しあせって剣を構えた。
思ったより早く仕掛けられたんだから仕方がない。
「おっ、あれを受け止めるのね。」
って、試験管が受け止められないような攻撃を仕掛けてくるのか?普通。
「さすがにあせったがな。」
俺はそういって攻撃を払いのけ、さらにカウンター攻撃を繰り出す。
「うふふふっ、楽しくなってきたわねっ。」
さっきのカウンター攻撃で相手に火をつけてしまったらしい。
一般人なら切り刻まれているほどの攻撃を連続で繰り出すギルドマスターから逃げるように、俺は後ろへと後退しながら攻撃を受け流す。
下手に一度攻撃を受けるとその後は切り刻まれそうな攻撃のため、仕方なく防いでいるのだが、これがまたよくなかったらしい。
「これじゃだめなのね。うふっ。なら、これにしましょう。」
魔法攻撃を織り交ぜ、ルール違反を行い始めたギルドマスター。
「ファイア・ストーム!」
「うそだろっ。」
俺はあわててバリアを張った。
張らなければ俺は丸焼きになっていたに違いない。
火と風の合成魔法で、上級のファイア・ストーム。
「なにしてるんです?!」
ミーシャとボルディがあわてて俺を守ろうとしたが、間に合っていない。
バリアは自分で張ったものだからな。
龍の姿ならほとんど効かない程度の攻撃でも、この姿だとしっかりダメージを食らってしまう。