カイトとの再開
「アルト?」
いつの間にか近くにいたメルディが俺に話しかけてくる。
「メルディ。どうした?」
「アルトがどうした?」
俺は心配そうな顔をしているメルディに聞けば、メルディは逆に同じ質問で返してきた。
「あいつ、だよ・・・海斗・・・。」
俺は海斗を指差した。
前世での出来事は親にも、クディルやメルディたちにも話してあった。
その一言だけで、メルディはわかったのだろう。
急に鋭い目つきに変わった。
「アルト、帰る!」
まるで敵でも見ているかのように海斗をにらみながら、俺をぐいぐいと引っ張っている。
「亜琉斗?!」
いつもなら考えられないほど大きな声を出したメルディに反応した海斗。
やはりあいつだったらしい。
他人の空似であって欲しかった。
「すみません、お聞きしたいんですが・・・」
海斗は俺に駆け寄ってきた。
「なんでしょうか。」
俺は笑顔で答えた。
亜琉斗は笑顔なんてあまり見せない人間だったから。
「竜王亜琉斗、もしくは大空海斗ってご存じないですか?」
うわー、直球な質問来た。
「・・・さぁ。」
俺は腕を組んで、考えるフリをしてそう答えた。
「アルトに関わるな!帰れ!」
メルディ、それは自白してるって。
「カイトになに言うんだよ!お前!」
海斗の友人らしき人物がメルディを怒った。
「ロギア、いいんだ。ありがとう。」
メルディに怒鳴ったロギアという少年は、海斗に諌められていた。
「僕はカイト・ウィルバーナ、10歳だ。前世は大空海斗だった。よければ少し話をしないか?」
海斗、いや、カイトは、俺をじっと見ていた。
きっと俺が竜王亜琉斗かどうかを見極めようとしているんだろう。
「話すこと、ない!」
一方的に威嚇しているメルディが、なぜか飼い主にしか懐いていない犬のように見えてきた。
きっと、犬の尻尾や耳を生やしてもかわいいだろう・・・って、ロリコンでも変態でもないからなっ。
そんなことは思ったりしていない・・・と言っておければいいなぁ。
「これから宿に帰るんです。そこで良いなら話を聞きますよ。メルディも、あまり人を威嚇するな。」
俺はメルディの頭をぽんぽんと叩いて、カイトを見た。
「いいよ。行こう。」
宿に来て、ラティを見て帰ってくれることを願う。




