旅立ち準備
「・・・と、あ・・と、アルト!起きてください!」
思いっきり体をゆすられて、俺は目が覚める。
「後1時間・・・。」
俺は布団にもぐりこんでいくが、その布団が取り上げられた。
「せめて後5分とか言ってください!5分でも寝かせませんが。とにかく早く体を起こしてください。」
布団を取り上げたクディルは、その布団を俺の足元に置き、クローゼットから服を取り出す。
「・・・眠い。」
「眠気覚ましのモーニングティーです。飲んだらこれに着替えてください。」
クディルはてきぱきと俺の身支度を手伝ってくれる。
モーニングティーをカップに注ぎ、俺に差し出してくる。
とてもいい香りだ。
「・・・ありがとう。おはよう、クディル。」
俺はやっと目が覚めて、クディルに挨拶をした。
「はい、おはようございます。着替えたら広間で出発式を行ってから船に乗ります。準備はできていますね?」
俺の飲み終わったカップを受け取って、クディルは片付けながらそういった。
「もちろん。さて、着替えるか。」
俺がそういうと、クディルは一礼して部屋から出て行く。
そういうとこまじめというか、躾がなっているというか・・・だよな。
俺はクディルが出してくれた服を着て、鏡の前に立つ。
今日の服はフリルの付いた白いシャツに黒いネクタイ、ズボンは黒で、縫い目が赤だ。地球で言うゴシックファッションに近いだろう。
ご丁寧に黒いベストまで用意されている。
今までは和服のような服装だったため、洋服を着るのは久しぶりだ。
「これでよし。さて、いくか。」
俺は鏡で最終チェックして、荷物を持って部屋を出た。