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桜散る頃に  作者:
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第一章

4月14日、あの日彼に会わなければ・・・・・。


4月14日、PM9:00とある小さな公園で殺人事件が起きた。

襲われたのは18歳の男子と16歳の女子だ。女性の方は小さな怪我で済んだが男性の方はナイフで刺された傷が深く、病院に搬送後まもなく息を引き取った。

その男女の名前は古川美咲(ふるかわみさき)悠木玲桜(ゆうきれお)、私と、私の幼馴染だ。

私の負った傷はとっくに完治しているが心の傷は癒えないままでいる。

何度時間が戻ればいいと思ったことか。あの悲劇を無かったことにしたいと思ったことか。

事の悲劇は3日前ほど遡る。


<3日前の朝・・・>

「おっはよー!」

黒髪のロングヘアーが特徴の私、古川美咲はT市のとある公立高校に通う最中だ。

「お、美咲、おはようさんっ」

少し茶色がかった髪で中性的な顔立ちの男、彼は私の幼馴染の悠木玲桜だ。玲桜は合気道、空手、剣道と武術は小さい頃から習っていて、成績も優秀、おまけに顔が良く、学校の女子から結構な人気が

ある。私としては気に食わないのだが・・・。

「ねえ玲桜、昨日描いた絵どうだった?」

私は某イラスト投稿サイトに時々自分の描いた絵を投稿している。

将来はイラストレーターを目指してるだけあって、絵にはそこそこ自身がある。

「ああ、見た見た。相変わらず上手いな~!将来有望のイラストレーターってとこか!」

茶化した感じで玲桜は美咲を誉める。

「おちょくらないでよバカッ!せっかく今日も弁当作ってきてあげたのに・・・もうあげないっ!」

私は頬を膨らませ、ふてくした。

玲桜は両親共々海外で仕事してるため、家には一人でいることが殆どなのだ。

私はその間代わりに玲桜の弁当を自分の分と一緒に作ってあげているのだ。

「あ~あ~悪かったよっ。そう怒るなよ、な?上手いってのは本当だし・・・。俺にはぜってーあんなに描けねえもん。俺の美術の成績知ってるだろ?」

成績優秀で運動神経抜群の玲桜にも一つ弱点がある。

それは絵的センスが絶望的に無いのだ。

人間の絵を描けば棒人間を描くよりひどいことになるし、犬や猫の絵を描けば地球外生命体のような絵が仕上がる。

そのため高校に入ってからは美術は授業にとらず、音楽を代わりにとっている。

音楽のセンスはそこそこいいので結果成績優秀な悠木玲桜として学校内で通っているのだ。

「玲桜の絵が超絶下手くそなの知ってるの、学校内では私だけだね・・・」

私はクスクスっと笑いながら言った。

「キーンコーンカーンコーン・・・」

話にふけてるうちに学校の予鈴が鳴りはじめた。

「いっけね、のんびりしすぎた。走るぞ、美咲!」

玲桜は美咲の手を引っ張る。

「ちょっ、ちょっと待ってよ!そんな早く走ったら転んじゃうって!」

私は半引きずられ気味に玲桜に引っ張られた。

学校の門が閉まるまでもう少し!

玲桜はラストスパートをかける様にペースをあげた。

「速い、速いって!本当にこけるっ!玲桜のあほ~!」

私は玲桜に怒ったが、内心どこか嬉しくもあった。

こうやって玲桜と話したり、手をつないだり、引きずられたり・・・・・・。

とにかく私はこんな日常が好きだ。

少し強引なとこもあるけど優しい玲桜が好きだ。

いつまでもこんな日常が続けばいいな~・・・って。

「あともうちょいっ!おりゃあ~~~!とぅっ!」

なんとかギリギリ間に合った。

「はぁ・・・はぁ・・・もうやばい、死にそう・・・。」

息を荒げてる私を横目に玲桜はあんなに走ったのにケロッっとしている。

どこまでバカ体力なの・・・。

「じゃあ美咲、今日いつもの中庭で昼飯一緒に食おうぜっ!」

私たちは週に2、3回くらい一緒に昼ごはんを食べている。

「う、うんっ!」

まだ少し息を荒げながらも私は嬉しく頷いた。

「んじゃ、先に教室に行くわ。またな!」

玲桜はニコっと笑い手を振り、校舎へと走って行った。

「またねっ!」

私も手を振って急ぎ足で自分の教室へと向かった。

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