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運命の選択

次の日、委員会決めが行われた。

色々ある委員会の中からクラスの半分の人は何かしらに入らなければならない。

俺は去年運良く何も入らなくて良かったのだが今回、去年やってない人から優先的に入るようにしようという提案があり、皆がそれに賛同する形となった。もちろん反対する者もいたが即座に却下された。


つまり、俺は絶対に委員会に入らなければいけない。なるべく楽な委員会になりたい。が、俺はどれが楽なのか分からない。とりあえず体育委員とか風紀委員じゃなくて良さげなやつはないかと黒板に書かれている委員会一覧に目を通す。


おっ、図書委員会とか良さそう。図書館クーラー付いてるし!漫画とか読めたりするかもしれない。これに立候補してみよう。


クラスの代表者が仕切って1つづつ委員会を言っていく。入りたい委員会が呼ばれたら手を挙げていくシステムだ。決まっていく委員会がある中で図書委員会が呼ばれた。

俺は手を挙げる。どうせたくさんいるんだろうなと思いながら周りを見渡すが誰も挙げていない。


「星谷くん図書委員決定!」

クラス代表の子にそう言われあっさり決まってしまった。


どういう事だ……??人気じゃないのか??

しかしもう決まったものは取り消せない。頭の中ではてなマークがたくさん浮かんでいた。


委員会決めが終わってすぐに涼に聞きに行く。


「なぁ!涼!俺、図書委員は楽そうだなって思って選んだんだけど、俺以外手挙げてなかったよな?!なんでだ!?」

ちょっと必死な姿に笑いながら涼が言う。

「お前、知らなかったんだなー!!」

と満面の笑みでこちらを見ている。まるで悪戯好きの子供の様だ。

「えっ?何?何かあるのか…!?」

含みのある言葉を言われて気が気じゃない俺を差し置いて直ぐに言おうとしない。ケラケラ笑っている。意地悪だ。

「まぁ、簡単に言うと当番があるらしいぜ!昼休みもだけど夏休みも!」


「当番??夏休みに??」……なるほど。そういう事か。一瞬にして理解できた。確かに夏休みにまで学校に来たくないな。


「頑張ってな!応援はしてるぞ!」

俺の肩に手を置いてエールを送ってきた。

その手を払い除け自分の席に戻りこうなってしまったのはしょうがない、と この運命を受け入れるしか無かった。



初めての委員会、顔合わせの日


授業が終わって指定された教室に向かう。予め委員会ごとにどこに集まるのか記載された紙が配られていた。図書委員の集合する教室に着くと既に数人着席しており、どこに座ればいいのかと思っていると

黒板に席は自由!同じクラスの人と近くに座るように!

と書いてあるのを見つけ端の後ろらへんに座る。

同じクラスで図書委員会になったのは俺ともう一人、早川さんという女子だ。まだ来ていなかったので席を取っておいてあげようと荷物を机に置く。すると後ろから声をかけられた。


「ここの席は空いてるかな?」

今まで聞いた事のない透き通った声。一体誰だ…。


振り返ると背が高くニコッと笑っている男子生徒。光り輝いて見えた。そう、橋本洸が話しかけてきたのだ。


思いがけない人物だったためびっくりしてしまい咄嗟に声が出なかった。


「あ…。と、えっと…。うん。ここの2席以外なら多分空いてると思う…けど?」

しどろもどろながら返事をする。


びっくりしたー!!今まで存在は知ってたけど会話はおろか関わることなかったしまさか同じ委員会になるなんて思いもしなかった。なんかドキっとしてしまったな…。有名な奴だからかな??芸能人にあった気分と一緒なのかも。


「教えてくれてありがとう。じゃあ後ろの席座ろうかな。」

そう言って俺の後ろの席に座った。後ろに座ってるというだけで落ち着かずそわそわしてしまう。


委員会始まるまでまだ少し時間があるし机に伏せて寝て落ち着かせようかと思ったが後ろから背中をちょんとつつかれた。なんだろうと思い振り返る。


「ねぇ、君、B組…だよね?良かったら名前教えてくれないかな?」

笑顔で聞いてくる橋本洸がいる。


俺のこと知ってるのか…?と不思議に思いつつも星谷輝です…。とだけ答える。なんでだろう、直視できない。ま、眩しすぎる。徐ろに目線を逸らしてしまった。


「星谷くんって呼んでもいい?あ、俺はA組の橋本洸って言うんだけど、好きに呼んでくれて大丈夫だから!」


「あ、うん。じゃあ、橋本くんって呼ぶわ。」

そう言って逸らした目線を再び橋本くんに戻す。


優しい微笑みでありがとうと言われ、あまりにも優しい顔だったから今度は目が離せなくなってしまった。


じっと見る俺を変だと思ったのか橋本くんは「んっ?」と首を傾げてきた。ハッとして慌てて前を向く。するとクラスメイトの早川さんがやって来た。


「早川さん。ここ、席取っておいたから。」

声をかけて自分の荷物を取り席を空ける。早川さんは「ありがとう」と小さな声で目も合わせずに言った。その横顔は少し赤かった。……熱か?


そんなこんなで委員会は終わった。決まったことは昼休みに当番制で図書館の受付と業務をしていくということ。

1年生からA組とB組、C組とD組、と言うように2クラスずつ決められていった。2年生は1年生が一通り回ってから同様に2クラスずつ当番になった。

そうなるとB組の俺らはA組の人達と組むことになる。橋本洸がいるのだ。きっと橋本くん目当てで普段図書館なんかに来ない女子がたくさんくるんだろう。あいつも大変だな。何か困ってそうだったら助けてあげられるといいな。そう思い当番の日が印刷してある紙をバッグの中に入れた。


よし、帰ろう。立ち上がってバッグを肩に掛けると「星谷くん、ばいばい!当番よろしくね。」橋本くんはそう声をかけて先に教室から出ていった。


今日初めて話してこんなイケメンで優しい奴って存在したんだ。と改めて思った。


その日はなぜか寝るまでずっと優しく微笑む橋本くんの顔が脳裏を離れなかった。


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