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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第2章 感謝祭と諸々の騒動
94/315

94.実家での夜

ロルフたちの話が終わります…

 僕が兄様に甘えて抱きついていると、お父様が

「ふふふっ。子供に見せつけられるとはなぁ」

「あら?いいじゃない。こんなに素直な子に育って」

「そうだね。隠れて変なことされるより遥かにいい。まぁロリィに限ってそんなこと無いけどな」

「それもそうね。ラルフはロリィ以外は見えてすらいなかったでしょうし。これで貴族たちを騒がせていた独身の美兄弟は憂いなく…本当に良かったわ」

「あぁ奥様方の口撃からやっと逃げられたな」


 僕は驚いて二人を見る。兄様も驚いている。

「おや、知らなかったかい?」

「二人とも成人したご子息様やお嬢様方に人気だったのよ?

 特にロリィね。個人で叙爵されていて研究者として一流。寡黙で美形、背も高いしね。ラルフとの仲もちろん、実家との仲も良好。ゆくゆくは伯爵になるまだ22才。実家は豊かな侯爵家」

「私よりルシーに似たロリィは優しい顔だからね。眉間にシワが無ければ…ふふっ」

「そうよ?私に似てまつ毛も濃くて長いし。美しく育ったわ。ふふっ目をつけられて当然ね」

 僕は兄様を見る。いつもは研究ばかりで隈と眉間のシワが常駐しているその顔は、規則正しい生活のお陰で美しさが増している。


 兄様は困った顔でお母様を見る。

「母上が美しいのは…もちろんだけど…私?」

「うふふっそういう所よ?ロリィ。素直で可愛いらしいの。堪らないわ」

「確かに…危険だね。隈が無いだけでこんなにきれいなのだから…ルシーに似て」

 あら、と言って二人はまた濃厚なキスをする。

 エンドレスでは?でも兄様は分かるけど僕も?

「ラルフはしっかり者で…努力家。次期侯爵で…人当たりもいい。人気があって当然…顔だってこんなに整っていて…淡い水色の目は吸い込まれそうに透明できれいだ…」


 お父様とお母様は優しい顔で兄様を見ている。

「兄様…だからそういう所だよ」

 ん?なんて顔して僕を見る。もう…本当に大好き。

「くすっ良かったわ」

「今日これから一緒に寝るんだろ?」

 お父様の顔が…そんな顔で見ないで…。

「ふふっラルフは顔が真っ赤よ?なのにロリィはキョトンとした顔して…本当に二人とも可愛いわ」


「お祝いも兼ねて少しだけ飲むか!いい酒がある」

「まぁ、システィは飲みたいだけでしょ?」

「それだけじゃないさ、ルシーいいだろ?」

「そうね、私も可愛い息子たちと飲みたいわ」


 普段は飄々としたお父様と可愛いらしいお母様だが、お酒は人を変えるんだよな。

 そう、その後大変だった。キス魔になったお父様とお母様の…キスの嵐が。

 さらにお父様は男同士だからいいだろうとか言って体を触りまくるし。それを見たお母様までじゃあ私も…とか言って…。

 あら、昔は裸も見てたのよ?っていつの頃?だから太もも撫でないで…。

 あ、兄様は置物になってる。だから、兄様のそんな所…いくらお母様でもそれは…服を捲ってキスとか…

 兄様の肌に。

 お父様まで色白できれいな肌だなとか言って撫でまくって…。


 そっと兄様の服を戻して体の後ろに庇う。

「あら…嫉妬?ふふっ愛されてるわね」

「私たちみたいじゃないか」

 あらそう?そうだよルシー、だってさ。もう部屋に帰っていいかな?

「仕方ないな。解散するか…二人の時間を邪魔しちゃいけないからな」

「そうねぇ。また明日ね!ロリィ、ラルフ」


 お父様とお母様は兄様にハグとキスをして私には軽くハグをして部屋を出て行った。

 僕も兄様の手を引いて兄様の部屋に行く。

「大丈夫?」

「ん?あぁ、父上と母上だから」

 困った顔だけど嫌がってない。家族だし…。

 兄様の僕への甘やかしは両親譲りかも。兄様がごく普通に僕を甘やかすのも納得だ。家族の距離感が近いんだよな…。僕は嬉しいけど。


「兄様、一緒にお風呂入りたい」

 もちろん頷いてくれる。僕の夜着は兄様の部屋に置いてあるからそのまま浴室に行く。

 兄様は裸になることに抵抗がなくていつも躊躇なく、でも覚束ない手つきで脱いでいく。僕は恥ずかしくていつもゆっくり脱いでるけど。

 兄様はどうしたの?って見てくる。全く隠すことなく…。僕はどこに目線を置いていいか戸惑う。俯けば兄様の下腹部に目が行ってしまうし。


 やっと脱ぎ終わると兄様が手を繋いでくれる。そのまま僕の髪と体をぎこちなく洗ってくれて。そして兄様の髪と体は僕が洗う。

 兄様は目を閉じてされるままだ。なめらかな肌も細い髪も、触り放題なんて…。

 流し終わるとふわりと笑ってくれる。

「ラリィの手はとても気持ちいいよ」

 だから兄様。それは…気持ちいいなんて…煽らないで。


 俯いた僕の手を握って湯船に入る。4人ぐらいは余裕で入れる大きさだけど僕は兄様の側にいたくて隣に座る。湯の中で肌が触れ合う。兄様…。我慢出来なくなりそう。横にいる兄様を見る。

 優しく見つめ返してくれる。頬を撫でて

「ラリィ疲れた?」 

 首を振る。

「のぼせた?顔が赤いよ」

 兄様のなめらかな肩の線と鎖骨が…。顎に手が触れる。

 覗き込むように僕を見て

「上がろうか?」

 僕はまた首を振るとその体に抱きついた。

 湯の中で密着する体が熱い。体が反応してしまった。兄様…心臓が煩いよ。


 間近に兄様の顔がある。目を閉じてその唇にキスする。離すとその透明な目を見つめる。吸い込まれそうなのは兄様の目だ。その目に見つめられるとまた心臓が煩くなる。

「やっぱりのぼせた?出よう」

 僕は湯じゃなくて兄様にのぼせてるんだよ?

 僕の手を引いて湯から上がり魔法で髪と体を乾かしてガウンを羽織る。


 部屋に戻るとソファに並んで座り水差しから水を注ぐ。兄様に渡して自分も飲む。

 ふぅ。一緒に入れるのは嬉しいけど危なかった。気をつけないと。あのまま兄様を押し倒してしまいそうだった。

 色白の頬にほんのり色がついて、ガウンからのぞく胸元に目が吸い寄せられる。

 静謐な空気とその対極の色気を兄様が纏う。僕はガウンの合わせ目から手を入れてその肩をなぞる。兄様は戸惑ったような顔をして、でも抵抗しない。

「嫌なら言って…」

 兄様…止まらなくなるよ?

 目を伏せたまま抵抗しない。いいんだね…?兄様のガウンの紐をほどき、開く。

 あぁ、なんてきれいなんだ…。太ももを撫でる。ピクッとする兄様が可愛い。その柔らかい唇にキスをして…。

 口を少し開いたその顔は色っぽくて…。そんな顔は僕だけに見せて?

 兄様は目を閉じて僕の手を握る。唇で首筋をなぞる。腰を撫でて足を絡める。こんな姿…誰にも…見せないで。

 そのままゆっくりと体を繋げていく。兄様は少し苦しそうに僕の腕を握る。もう少しだから…


 兄様は目を開けて僕を見る。どこまでも透明で透き通った目で。大好きな兄様…その髪を撫で耳元で囁く。一緒に気持ち良くなろう…

 もう待てないから…一緒に…。はぁ…あ…大好きだよ?兄様。

 その顔も体も声も全て…。

 ソファから伸びる兄様のきれいな足にキスをする。そして唇にキスをして、兄様と肌を触れ合わせる。少しほてっているね。鎖骨にキスしてから体を離す。

「ラリィ…気持ち良かった?」

「とても…兄様は?」

 困った顔で僕の頬を撫でる。兄様の体を起こすと抱き上げてベットに向かう。


「寝かさないよ?」

 目をパチパチさせて…また困ったように笑った。兄様はやっぱり僕に甘い。

 そうして兄様を…明け方に僕は漸く満足して眠った。




脱線終了…

おつきあいありがとうございました


※読んでくださる皆さんにお願い※


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