81.ラルフの想い
本日2話目
様子を見ながら2話投稿できる日はしていきます…多分
ロルフは驚いた。ラルフ…君は知っているのか?
「大切な弟だ…捨てたりしない」
そう言って優しく髪を梳く。涙で濡れた目で上目遣いに私を見るラルフ。
「兄様…まだそう呼んでいいの?」
私はまた俯いてしまったラルフを見る。
ラルフはやはり知っているのか…でもなぜ?
「執事と侍従の話を聞いて。私は兄様の弟では無いとその時に…」
私は驚いた。
「いつの話…?」
「私が次期領主になると決まった日」
次期領主がラルフに決まったのは私が12の時だから10年も前?そんな時から知っていた?
そう言えば、なんだか様子がおかしくて…久しぶりに熱を出したような…?
いくら何でも小耳に挟んだ程度で具体的な話まで聞いたとは思えない。
なら調べた?ラルフはどこまで知ってる…?
私は俯いているラルフを見る。
「10年前に話を聞いて、兄様が本当の兄ではないと知ってショックで。その後4年前に自分で調べて真実を知って。その当時、屋敷に勤めていた人間を探して」
「尋ねたの?」
首を振る。
「酒場で話をしているのを聞いて…元の勤め先を知っていて事情を知らなければ分からないように話をしていて…」
雇われ人は辞めた後でも見知ったことを話さないよう守秘義務がある。だから言葉はかなり気をつけてる筈だ。
ラルフは優秀だし、目的を絞ったから分かったのだろう。お父様に妹がいたことは貴族名鑑で調べたら分かることだし。
「産まれたばかりのラリィを胸に抱いた…小さくてまん丸な手で…必死に私の指を掴んだ…私が守らなければ…そう思った」
「兄様…」
また私に縋り付く。
「嫌いになどならない…捨てたりしない…20年も側にいたんだ…信じて…大切なラリィ」
その頭に長いキスする。
時間はまだ早いが今日はバタバタとこちらに来て疲れているので早く寝よう。
ベットは2つあるがラルフは一緒に寝たがるから、最近はずっと同じベットで寝ている。
今日もそうして一緒のベットで横になりラルフの頬におやすみのキスをして寝た。
まだ熱ばかりを出していた小さな子供のころのように。
兄様は今でも変わらず優しい。僕が本当の弟ではないことを知っているのに。僕がそのことを知っていると分かっても、兄様の態度は変わらなかった。
僕は兄様と兄弟ではないと知って最初はショックだった。でもしばらくして気がつく。もしかして…?
その後、貴族法を調べた。そしてこれは……。
当事者しか閲覧できない書類を見て分かった。お父様はこのことも見越して?
いや、あくまでも万が一の可能性か…。ならば…。
兄様は自分の魅力に無頓着だ。こんなに素敵なのに…。優しくてきれいで優秀で。
本気で社交をすれば周りに人が集まるのは目に見えている。純粋で優しい兄様なのだから。
でもそれはダメだ。だって僕だけの兄様なのだから。
隣で眠る兄様を見る。起こさないようその髪に触れる。その柔らかな頬に…。
僕は我慢できなくなり、その唇にキスした。もっともっと兄様を…。夢中でキスをしていたら兄様の目が開く。眠そうに瞬きして僕を見る。
「ラリィ?」
「兄様…僕を見て…」
兄様は眠そうに首を傾げ
「いつも見てる…」
呟く。分かってる。でも弟としでではなく、1人の男として僕を見て。
僕は首を振る。
「見てるよ…?」
「それなら、僕の気持ちは?」
僕は熱を込めた目で兄様を見る。兄様は困惑した顔をする。
そう、分かっている。兄様にとって僕はどこまでも弟だって。
「ずっと兄様が僕の兄様じゃなければいいのに、そう思っていたんだ」
兄様はさらに困った顔をする。
「誤解しないで。大好きだから…でも…だから」
私は兄様のそのまぶたにキスをして、その唇をなぞる。
兄様の目が見開かれた。
気持ち悪いって思ってる?こんな僕を…。泣きそうになる。
兄様はそのまま何度か瞬きをする。密度の濃いまつ毛が揺れて影を作った。
「大切な弟だから…」
違うよ、兄様。違うんだ…僕は。
「兄様…」
「ラリィ?」
僕はそのまま兄様にキスをする。何度も何度も。
兄様は戸惑いながらも受けてくれる。
「抱かせて…」
声が掠れる。流石に兄様も僕が言う意味に気がついたのだろう。その透明な表情からは何も伺えない。
僕の横で静かに僕を見ている。
考えている?僕のことを…僕だけを見て。僕だけを愛して。僕を一人の男として見て…。
ロルフは戸惑っていた。
私はラルフに告白されているのか…?抱かせてとは恋人的な意味で…?
この歳になってもまだそういう経験がない。人にあまり興味もなかったし。
体の反応は気持ちと関係なくあるが、いわゆる生理現象であり興奮した故ではない。
ラルフの思いを聞いて正直とても驚いた。そんな風に見たことがなかったから。ラルフと体を重ねる自分は想像出来ない。
この感情は少し複雑だ。家族として接して来たのだから。どうしていいか分からない。戸惑っているとラルフの手が私の体にそっと触れる。
その手は優しくその唇は柔らかくて余計に混乱する。
私はどうしたらいいんだろう?その時、ふとアイルの顔が頭を過った。
アイル…君となら…私は。
僕は兄様の体にそっと触れる。細くてしなやかな体。もっと触れたくて…僕だけが。
ボタンに手をかける。兄様は相変わらず戸惑った顔で、でも抵抗しない。僕はつい
「兄様…抵抗しないと僕は止まらないよ?」
それでも兄様は抵抗しない。いいんだよね?
服を脱がすとその細い体が顕になる。白くてきれいな体。僕以外の誰にもこの体を見せないで…。
あぁ、どうしよう…本当に止められない。
だからもう一度
「抵抗しないと止まらないよ?」
兄様は瞑った目を開けて、まだ困惑しながらも
「ラリィなら…」
僕なら何?いいよ…。ささやか声。
全身にゾクリとした感覚が走る。兄様…僕だけの兄様。
兄様はそっと息を吐き出し囁く。
「ラリィ?」
僕は兄様と体を重ねてキスをする。涙目の兄様はとても…。ぼくを煽らないで…。頬を染めて上目遣いで僕を見る。その目から涙が落ちる。
その涙を指ですくうと
「痛い?」
頬を撫でながら聞く。
コクリと頷く兄様。でも僕も気持ちはもう止められないよ?ねぇ兄様…一緒に感じて…。
その体をぎゅっと抱きしめて…。
僕は少し汗ばんで冷えた兄様の体を上から包むように抱きしめる。
顔中にキスをして、また抱きしめる。
兄様…僕の願いは叶ったよ。大好きな兄様…。
私はラルフと体を重ねた。もちろん嫌ではないが弟として接してたから違和感が拭えない。
そして初めての経験は…。
ラリィ。私はこれからどうしたらいいのだろうか。
またアイルの顔を思い出す。私は何故今、彼のことを思い出すのだろう…?
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