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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第2章 感謝祭と諸々の騒動
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77.家族のあり方

 私は大切な末の息子を見る。その目は真剣にアイル君を見ている。彼はなんていうか…とても無垢で愛らしい。

 知れば知るほど桁違いの能力を持っているのに…自覚がないというか。

 私たちはイーリスと彼も守らなくては…。さぁ大変だ。でもね、イーリス。家族にかけられるこういう面倒は嬉しいものなんだよ?してあげられることがあるってことだから。

 また君の笑顔が見たいから、父様は君たちを守るよ。

 私はイーリスを抱きしめ決意した。


「アイル君改めて自己紹介を。私はイーリスの()でファーブル ちなみに38だよ」

「え?イリィの()()()?」


 えぇ…?どう見ても20台半ばくらいだけど。思わずイリィとファーブルさんを何度も見てしまった。

 てっきりお兄さんかと。そう言えばお父様って言ってた?えぇぇ。若く見えるとは言ってもねぇ…凄いな。

 世の中の38才、頑張れ。


 ちなみにファーブルさんは淡い金髪に薄い緑の目。

 髪は少し癖があって、長い髪を背中で1つに括っている。

 せいぜい20台半ばに見える、もちろんイケメンさんだ。爽やかで優しげな、ガッチリした頼れるお兄さんって風貌。私を抱きしめてくれたその腕の中はとても心地良かった。そして魔力が凄く濃い。

 魔力が多い人に現れる虹彩の縁の青は緑の目に同化して分かりにくいけど、しっかり見えた。

 息子が美形なら父親もかくや、だね。


「次は私だね、長兄ネーシアだよ。22 才。よろしくな」

 ネーシアさんはいかにも長男という感じ。淡い金髪にやはり緑の目。キリリとした目元のスッキリ系イケメンだ。サラサラストレートの髪は長くてやはり背中で括っている。

 イリィを見る目はまるで父親のようで包み込むような雰囲気の人だ。もちろん22才には見えない。10代後半くらいか?って見た目。若いなぁ。


「僕が最後だね。次男のリベール!20才。よろしくな。兄様って呼んで!」

 そう言ってウインクした。

 えぇっ?見た目はお淑やかな美形さんなのに…イケイケなの?それに兄様呼びはちょっと…

 淡い金髪に同じく緑の目。儚げな美形さんだ。黙っていたらひたすら愛でていたくなるくらいの。

 ストレートの長い髪をやはり背中で括っている。そしてやはり20には見えない。私と同じくらいの見た目だ。

 私を見て目をキラキラさせて待ってる?

「さぁ言ってごらん?兄様って…」

 うわぁ、恥ずかしい…。イリィを見ると…そんなに憐れみのこもった目で見ないで…。

 さらに近づいてきて腕を広げている。ええぇー。オロオロしていたらガバリと抱きつかれた。

 ビクッ…あれ?怖くない…?

「むふん」

 って謎の声出してるけど…なんかほんわかする。

「僕のことはベル兄様って呼んでね?」

 そう言って頭に頬ずりする。なんだろ?この人は全く怖さを感じない。くるむような優しさに包まれるみたい。


「兄様…離れて」

「うん?何で…?イリィの番なら僕の番と同じだろ?」

 はい?リベールさんて…超がつく天然さんですか?

 イリィがため息をつく。

「違うでしょ」

 それでもリベールさんは私を離さない。抱きしめたまま頭に頬ずりする。

 マイペースだね、こんなに儚げなのに。気が付いたらそのペースに呑まれて懐に入り込んでる感じ。

 でもそれが嫌じゃないから不思議。

「ベル兄様、もういい加減離れて!」

「羨ましい?ならイーリスもおいで」

 イリィが戸惑っているのはどっちだろ?私がいるから?それともお兄さんに甘えるのが恥ずかしい?

 リベールさんはお構いなくイリィを抱き寄せて私と一緒に腕に抱える。

 自然に触れ合う私とイリィ。その体温は懐かしくて泣きそうになる。隣でイリィも固まっている。

 リベールさん凄いなぁ。計算でやってるならなお凄い。

 と思ったら

「アイルん、早くベル兄様って呼んで…」

 超がつく天然だった…。アイルんて何?私の顎に手をかけて早く、と言って目を覗き込む。

 なんか、ヤラシイ表現やめて下さい…。

「言わないとキスしちゃうよ?」

 唇が近づいてくる…ちょっと待って…。

「ベル兄様」

 あと少しで唇が触れるところで囁くと頬を撫でてチュッと軽くキスをされた…。結局するのか…はぁ。

「うふふっ可愛い弟が出来たからね…親愛のキスだよ」

 とウインクが飛んできた。


 固まるイリィと私。

「ベル兄様!」

「うふふっイーリスにもね…」

 とイリィにガッチリとキスした。うわぁ…今のは本気のガチだ。

 やっぱりこの世界の美形は愛が重い?ようやく解放された私はそう思った。

 真っ赤になったイリィが可愛くて私もつい笑顔になる。私の笑顔を見てイリィが泣きそうな顔で笑った。

 家族っていいな、そう思った。


「私もアイルん、て呼ぼうかな?あぁ私のことはシア兄様って呼んでな」

 爽やかな顔でシレッととんでも発言。

 しかも少しドヤ顔。えっ?爽やかさんはどちらにお出かけですか?…この人も爽やかの前に(残念)がついちゃう感じなのか?

 イリィを見ると少し呆れてる。

 ズイッと近づいてきて期待を込めた目で私を見る。

「シア兄様…?」

 小さな声で言えば即座にゼロ距離まで近づいて両頬を手で挟むとチュっとキスをされる。えっ?シア兄様を見たら

 ん?って顔で首を傾げる。えっ?瞬きをするとまたチュッて…。はい?

「シア兄…2回もズルイよ」

 えーっとベル兄様はちょっと黙ってて?

 目の前のシア兄様がカバリと抱きしめてくる。ビクッ…あれ?やっぱり嫌じゃない。

 スーハースーハー。チュッチュッ。今匂い嗅ぎました?

「ふふふん…可愛い」

 シア兄様…。

「離れて!」

 イリィが割り込もうとするけど全く腕が緩まない。

「だってイーリスの番なら家族だからね!」

 やっとイリィが割って入ってくれて離してもらえた。

 超天然イケメン兄弟の愛が重い…。


「ふふふ、皆んなアイル君が困ってるだろ?ごめんよ。皆んなイーリスが大好きでね。子供の頃からずっとイーリスと結婚すると聞かなくて…」

 昔からなんだね、でもイリィの運命を考えたら仕方なかったのかも。

「私はシアとベルより先にアイル君と親睦を深めているからね」

 頼れるお兄さん風のファーブルさんもなぜかドヤ顔。

「私のことはお父様って呼んだらいい」

 優しい笑顔でそう言う。

 ……えぇ。それは…。

「父様まで」

 イリィはため息をつく。


 私はお父さんを思う。その呼び方はまだ無理かな。

「むむっ、それならファル兄様ならどうだ?」

 確かにお父様と言うには若い見た目だし?そう考えていたら…そこでドヤ顔されても…。

 それより愛称で呼んでいいのかな?

「ん?あぁ家族は愛称で大丈夫なんだよ。イーリスは特別だけど…」

「あの、私は家族じゃない…」

「大丈夫だよ?僕たちが認めれば家族だから」

 そしてまたウインクするベル兄様。そんなアバウトでいいの?

「いいのいいの、だってアイルってばこんなに可愛いんだから」

 そうしてまたベル兄様の腕の中にいる私。いつも間に?素早い。

 それならイリィはもう愛称でいいのでは?

「んー、イーリスはもうずっとイーリスだからね…」

 そっかぁ。ってか私、一言もしゃべってないけど会話が成立してない?


「ん?あぁ…ふふふっ分かりやすくて…」

 そう言ってまた私の頭にすりすりするベル兄様。

「ベル兄様っ、離れて」

「嫌だ」

 イリィの言葉にも即拒否するベル兄様。

 カオスだ…。私はどうしたら?思わずファル兄様を見る。仕方ないという顔で私をベル兄様から剥がしてくれる。そのままファル兄様の腕の中に収まる私…。

 なぜそうなるの?心地よいよ?心臓の鼓動がとても…でもね。その…こういう真っ直ぐなのは恥ずかしいよ。

 もじもじしていると、ファル兄様が肩をなでなでしてきた。

「はぁ…なんて可愛いんだろう。アイルはいくつ?」

 優しい眼差しで聞く。

「15」

 それを聞くと上を向いてなぜか震えてる?

「くぅまだ未成年…なんてことだ。まさに私の出番!」

 なぜ?

「お父様がいるから…安心していいぞ」

 何のスイッチ入ったの??

「私にこんな可愛い息子が…くぅ堪らんな…」

 何だろ?黙ってたら美形一家なんだけど…残念感が半端ない。

 なんだか肩の力が自然と抜けていく。

 

 そしてそのまま当たり前のようにキスをされる。柔らかくて暖かい唇はあの時と同じでなぜか泣きそうになる。

 私が目を潤ませていると困惑した顔で

「大丈夫…大丈夫」

 背中をトントンしてくれる。私はファル兄様に抱きついた。頬にキスをされ顔を上げると、まぶたにキスをしてくれた。

 暖かな家族。皆んな元気にしてるかな?もう遠い記憶のような…あちらの本当の家族を思った。




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